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【2018年】年間ボーカロイド楽曲10選


 今年も昨年と同様に、重複なしの「上半期10選+年間10選」でやっていきます。上半期10選はもう投稿しているので、そこで紹介した曲を除いて、現時点で自分の好きな今年のボカロ曲TOP10をこのnoteでは紹介します。

上半期10選は以下の通りでした。(記事はこちら


では早速1曲目!曲名と投稿者名のとなりに、投稿日を付けています。


1. ガランド / ピコン (5/11)

 ピコンさんは『悲しみが足りない』を17年上半期の10選に選んでいるほど以前から注目していましたが、いや〜この曲が投稿されたときはショックを受けました。「この人こんな曲風も書けるのかよ!」って。この曲、ロキで一気に有名になった"VOCALOIDと歌ってみた"であることを除いても、現在のボカロシーンの流行ド真ん中だと思います。オシャレで踊れてティーンが好きそうな陰りのある曲調。
 だからこそ、正直なところ初めはこの曲が嫌いでした。「ピコンさんも遂に売れ線へ走ってしまったかー…」って。上半期10選に入っていないのはそのためです。

 しかし、良い曲というのは、自分のようなひねくれ者をも、問答無用でねじ伏せる力を持っています。最初から「踊りやすいな〜」とは思っていましたが、実際にこの曲で踊ることを繰り返すなかで、遂に"売れ線だろうが何だろうが良い曲は良い曲"であることを認めざるを得なくなりました。
 ちなみにこの曲は、踊りやすいだけではなくて、カラオケで歌っても超楽しいです。この曲とEveさんの『お気に召すまま』は、カラオケで必ず歌うほどになってしまいました。



2. 初恋 / 鈴木凹 (5/17)

 投稿当初は売れ線感が気に食わなかった『ガランド』とは真反対の曲がこちら。何ヶ月かしてからやっと良さに気付けたタイプの曲です。

 たしか作者さんがtwitterで「Puhyunecoさんの『アイドル』の詞を全面的に意識して書いた」と仰っていて興味を持ったのがキッカケでした。『アイドル』は大好きな曲なので、聴かないわけには行きません。
 といっても、この曲の歌詞に惚れたわけではなく、のどかで浮遊感のある曲調に惚れました。ふらついているようで少しずつ前に進んでいく感じが好きです。



3. デザート / monaca:factory (7/6)

 発表します。わたしの2018年ボーカロイド1選はこの曲です。

 何度聞いたか分かりません。これにハマりすぎて、7月8月は他の新曲を漁る気が起きなかったほどでした。
 わたしはカットアップがどうしようもなく性癖です。この曲のイントロやドロップの何言ってるのか分からない部分のことです。(これカットアップですよね?)それに加えて静かでピアノを用いた曲調、完璧です。これから先、「君どういう曲が好きなの?」と聞かれたら、黙ってこの曲を差し出していいくらい。

 なかでも「ここすき」ポイントは、1回目のドロップ後半に訪れる2分18秒のカットアップのメロディが少し変化するところです!ここすき!ここすき!伝わるといいなぁ…



4. Ascension! / okaemon (7/12)

 続いては少し特殊な曲です。以前noteを書いた、バーチャルYoutuber宇宙物理たんbotのイメージソングとして1ファンのokaemonさんが書かれたものです。単なるファンメイド作品の頃から「めっちゃ良い曲だな〜」とは思っていたのですが、なんと後に公式で宇宙物理たんbotの動画に使用されたのです。

 この動画を見ると、自然と涙が溢れてきます。okaemonさんは、宇宙物理たんbotの動画を見て、彼女がアウトリーチ(布教活動)する宇宙物理学に関することがらをふんだんに使って歌詞を書いています。

わたくしたち タイムトラベラー
1秒に1秒ずつ 未来へ向かって旅をする

その歌詞を、その歌詞をですよ、宇宙物理たんbot本人が、このように(口パクで)歌いながら、その歌詞の背景にある豊かな宇宙物理の内容をスライドで解説しているのです。

つまり、「宇宙物理たんbotの宇宙物理への愛に溢れた動画を見て、okaemonさんが曲を書いた」→「その曲を宇宙物理たんbot本人が聴き、okaemonさんの愛に感銘を受けてその歌詞を解説する動画を撮った」ということで、これ以上ないくらい綺麗な、愛による創作の連鎖が起こっているのです。愛に溢れる創作は、それが1次創作であれ2次創作であれ、次の愛に溢れた創作を生む。これを尊いと言わずして何と言いましょうか。これだからオタク文化は最高だと、ボカロ等への愛を撒き散らすnoteを普段書いているオタクの端くれとして強く思います。

 また、そのような文脈を抜きにしても、単純に曲がめちゃくちゃ良いです。あまりロックを好きにならない自分でも、びっくりするほど素晴らしい曲だと思います。特に2番Bメロ「高温高密度のエネルギーの方へ」の最後で「ほうへ〜〜⤴⤴」と上がるところが、サビへの期待感を高めるので好きです。
 好きなVOCAROCKが1曲でもある人は聞いて損は無いと思います。



5. # sharp / nwnw (9/2)

 なかなか変わった曲だと思います。音数の少なさ、それでいて壮大なオケ、不安定でありながら美しいメインの旋律。決して非常に伸びるような曲調ではありませんが、このような曲に出会えるのがボカロシーンの好きなところです。ききいるボカうた・ききいるUTAU系が好きな人は聞いてほしいです。
 特に好きなのは、何と言っても静かな盛り上がりを見せるサビのメロディです。こういう曲、デフォ子の声の良さがめっちゃ引き立つんですよね…素晴らしい。。



6. liquid / 3-shima (10/6)

 わたしが今いちばん推している今年デビューの新人Pのひとりが、3-shimaさんです。6月末の『swimming club』で初めて知って衝撃を受け、そこから『THE BLUE』そしてこの『liquid』の3作の流れで一気にこの人のファンになりました。

 何と言っても音が良いんですよね。ボカロで数多く投稿されるエレクトロニカやR&Bなかでも、3-chimaさんの水底へ深く潜っていくかのような重厚な音がたまりません。
 個人的には、春野さんが伸びたのなら3-shimaさんもワンチャンあるのでは…?と思っています。最近のボカロシーンならいけなくもない気がする。



7. Drop / imie (10/14)

 期待の新人が続きます。期待の新人というか、imieさんに関してはこんな新人いてたまるかってレベルですね。これを聞いたとき度肝を抜かれました。

 この曲も、ピコンさんのように"VOCALOIDと歌ってみた"です。正直、ここまでミクと人間が共に歌うことで真価を発揮している曲を他に知りません。まさに、どちらが欠けても成立しない絶妙なバランス。アコースティックでお洒落な曲調は、今の流行りに合致していながら、普遍的な良さも備えています。
 そしてラスサビで一気に来る開放感がたまらない。音楽を聞く気持ち良さとはこういうことを言うのか、と教えてくれます。

 間違いなく、来年の更なる活躍が期待されるPだと思います。はじめっからちゃんとしたオフィシャルHPを用意している辺り、本気度が伺えます。



8. ビビッド / あめのむらくもP (11/3)

 昨年末の『エリカ』で衝撃的なデビューをした"新世代"の筆頭、あめのむらくもP。あのコバチカさんが選んでいて、かつよく伸びる曲というのはかなり珍しいなぁと思った覚えがあります。

 そんなあめのむらくもPですが、これまでの自分の感想としては「良い曲なのは分かるけどいまいちハマれない」というものでした。
 音楽的な偏差値の高い人、音楽の素養がある人が評価しそうな曲だなぁ、それでいて大衆にも受け入れられるってことは相当の完成度なんだなぁと半ば他人事のように思っていました。自分は音楽の素養は全くないと自負しているので、時代から置いていかれているようで少し悔しかったかも知れません。

 で、この「ビビッド」ですよ。好きだー!と声高に叫ぶことが出来るのが嬉しかった、本当に嬉しかった。実際、同じように感じた人は少なくないと思います。
 「この人こんな曲も作れるのか!」と驚きはしませんでした。だって、圧倒的な基礎力というか、音楽的教養があるのは分かっていたので、ほとんどどんな曲調もこの人は作れると思います。そのため、いずれ来るんだろうなぁと期待していたアップテンポでキャッチーな曲が、その期待の遥か上を越えていく形でこうして聴けたのが本当に嬉しかったです。いい曲だ…何度聞いてもいい曲だ…



9. 今日はでかい月 / natural (11/6)

 自分的に、今年最もたくさん良い曲を聞かせてくれたのは、文句なしにnaturalさんです。まず投稿ペースが早い。それでいて、投稿する曲する曲、全て良い。
 「Satsuki」「形になっては失せて」も10選候補でした。現役最強のUTAU-Pにして、ボカロシーン全体としても大変に稀有な存在ではないでしょうか。

 で、「今日はでかい月」ですよ。わたしとしては、間違いなくnaturalさんの現時点での最高傑作だと思いますが、いかがでしょう。
 7分にも及ぶ大ボリュームとか、きりたんの声が良いとか、ギターが相変わらず格好いいとか、いろいろとこの曲を傑作たらしめる点はありますが、一言で言えば、「タイトルが最高」に尽きると思います。
 いやいや、ふざけてません。真面目に言ってます。
 何度も言いますが、「今日はでかい月」ですよ。"大きい月"でも"満月"でもなく、"でかい月"なんです。ふつうの人がこれで曲を作ったら、まず間違いなくタイトルが浮いてダサくなります。でもnaturalさんによるこの曲ではそうはならない。ならないどころか、最後まで聴けばこの曲のタイトルは「今日はでかい月」以外あり得ないと思わせられる。圧倒的な納得感が、ラスト1分のアウトロでの、でかい月をバックにした絵から迫ってくるんです。

 今年の10選中、4ケタ再生曲ではいちばんリスナー人気があるんじゃないかな〜と踏んでいますが、どうでしょうね…。だって皆も好きでしょ?



10. signal / かか (11/9)

 最後は、この10選中、いちばんもっと皆に聞いてほしい曲

 これも自分の音楽の好みをド直球に突いてくる曲です。
 まずどっしりした4つ打ちであること。夜に散歩しているときに聞きたいような、静かな高揚感があります。
 それから、地味にこの曲もカットアップみのあるボーカルの使い方をしています。好き。

誰もいない交差点で ずっと光る赤信号
入れ替わってしまったように 誰かが来るまで止まったまんま

 そして、何と言ってもここのメロディが超エモい。エモの塊。実はこの曲ずっと同じメロディフレーズを何度も繰り返す構成になっていますが、だからこそ、じわじわと盛り上げてこの最後の華が咲くんだと思います。



 以上10曲に加えて、前述の通り上半期に選んだ10曲も合わせて「今年自分がハマったボカロ20曲」となります。マイリストは統合しました↓

ちなみに、惜しくも10選から外れた中で、最後の最後まで迷ったのはじんさんの「アディショナルメモリー」でした。Aメロ「変わり果てた未来の走馬灯」の部分のキメが好きです。

【12月25日19時 追記】
 10選を出してから名曲が投稿されるのはいつものことですが、今回はマジでとてつもない音楽がさきほどこの世に生み出されてしまったので報告しておきます。上でも少し言及した、『アイドル』のPuhyunecoさんの新曲『00』です。
 正直、この人の曲はヤバすぎて『アイドル』以外は良さが分からなかったのですが、この曲はすごくポップ。マジで聞いてほしい。一度出した10選を変えはしませんが、作るのが少し遅かったらどうなっていたでしょう。


 さて、今年のボカロ事情としては、某掲示板で行われる月ごとの10選になるべく参加しようと、新曲マイリストを1ヶ月単位にしてメリハリを付けて漁ることにしたのが大きな変更点でした。この体制はもちろん長所も短所もあるので、来年少しずつ改良していけたらな〜と思います。

 それでは皆さん、2018年の残りと、そして2019年もよいボカロライフを!


【年間ボカロ10選系のnote一覧】
2017年上半期ボカロ10選
2017年ボカロ10選
2018年上半期ボカロ10選
・2018年ボカロ10選(これ)

おまけ
noteに書いていない、自分にとって初めての年間10選マイリスト↓


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