アニメ『ひそねとまそたん』(2018)感想
24/9/28(土)
dアニメストアでふと岡田麿里が関わったアニメを検索していたら、今週末までの視聴期限だと直前で気付いたのであわてて観た。
1話
どいつもこいつも色恋沙汰、セクハラ、ミソジニーまみれで最高!にマリーの作品を見てるってかんじ。
1話の『さよ朝』感がすごいな。あれよあれよとドラゴンに連れられて一緒に朝焼けの空を飛ぶ女性主人公
主人公ひそねのキャラもホントおもろい。思ったことをつい口に出してしまう、社会性に問題のあるひと。安心感がすごい。
2話
メイン2人のCVうますぎ。久野美咲も黒沢ともよも天才
デフォルメが効いたキャラデザやコンテ演出撮影等の映像もかなり好き。線がクッキリと太く濃いのもいい。
まそたんもかわいいが、やはりドラゴンとの関係は主眼でなく、人間関係の話をやるのだろう。マリーだから。そのほうが自分好みだ。
次回予告が下品すぎる。岡田麿里作品って「エロい」じゃなくて「下品」なんだよな。下品なコメディをつくるのがほんとうにうまい。
『ダーリン・イン・ザ・フランキス』みたいな、露骨にセクシャルな体勢の女性パイロット搭乗モノだけど、この系譜ってどこまで遡れるのか。
エンディング映像的に、5人のヒロインが揃うのか? そんなプリキュアみたいな
3話
女性主人公が新天地で男からセクハラを浴びながらも奮闘する。2人目のヒロインは年上男にご執心だが、彼は主人公を気にかけるので嫉妬し焼き餅を焼く……って構図はほぼ『花咲くいろは』だな。緒花とみんち(民子)と…板前の徹さん。
これも岐阜アニメなのね
「フォレスト」という単語に敏感に反応するまそたん何度見てもかわいい😍
デキちゃったから夜逃げ同然に空自を辞める女性パイロット…… 流石です。(いや、違うんかい)
まそたんは、みんなのペットというか子どもみたいなもんなのかなぁ。女同士で取り合っているところを見ると「彼氏」みたいなもんとも言える(男根の象徴!戦闘機!)が、胎内に人間を入れるところなど「母」みもあって、舞台装置としての位置付けが多義的である。
4話
EDにいた3人が一気に登場
ジミーのしゃがみ体勢でのコックピット操縦は『SSSS.DYNAZENON』でみたやつだ。それに、他のみんなは露骨にセクシャルな体勢をとっていることを踏まえると、あのしゃがみ体勢はそういう性のニュアンスの拒否とも取れて一層いいな。
ふとももww モーリスいいなぁ
ジミーにこういう声質のCV(新井里美)を付けるの、ひと昔前のアニメっぽい
ひそねの時点でなんとなく思ってたけど、ジミーは一層『おそ松さん』みたいなキャラデザだ。赤塚不二夫顔
星野(ペンギン)回だったか 日常的に気を張っていて限界が来ているDパイをOTFが隠喩する
モーリスのキャラ最高だな
ジミーも根暗というよりマイペースな面白い奴だった。
自衛隊モノとしてのリアリティはまったく追求してないが、戦力を有していても明確な「敵」と戦うなどのゴールがあるわけでなく、平和維持のために日々なんとなく訓練を続けるというのは日常アニメと相性がいい。てかこれも「お仕事アニメ」に他ならないからな。
彼女たちを「少女」と名指す権力者男性。1話ラストで「巫女」とも言ってたが、凪あすみたいな、ストレートな人柱モノをやるのか? この場合ドラゴンは男の神ということになる。
5話
OTFのパイロットになれるのは、心に空白を持つ少女のみ。これだけだと魔法少女モノとか、普遍的な少女マンガ/女児アニメっぽくもある。
欠けたアイデンティティをドラゴンと共にあることで満たす共依存関係。エヴァとか、従来の擬似ロボット操縦モノから、乗り込む機体を実際に(架空の)生物化することで、よりパイロットと乗り物の関係を人間関係のように描くことができる、ってことか。とにかく人間関係をやりたい作品
プラスサイズの女性キャラの悩みが、よくある体型コンプレックスなどではなく、「わたしみたいな巨大の人が怒ったら、人に威圧感与えちゃうよね〜」という、むしろ加害者側になることへの悩みなのがスゲー良い。
雨乞いとかいう直球の巫女要素 ダウジングは知らん
パイロットたちの心情や関係が、より分かりやすくドラゴン側に反映されるんだな。
「まつりごと」て祭り事? 政?
おっ、エンディング曲に今回仲を深めた2人もコーラスで加わってる! 星野えるさんも次回あたりに加わって完成か。
6話
1クールの中盤で2話完結の無人島合宿回を入れてくるの、『Free!』と同じだ
ジミー息を吐くようにパロディネタを喋るなぁ
「リリコス」?
新井里美さんの声良すぎる
「女がファイターパイロットを目指すこと」の過酷さ。そもそも女性自衛官モノだからなぁ。ガルパンとか、美少女ミリタリーものが世に溢れているせいであんまり意識してなかったけど、ちゃんとそういう女性の職業差別を扱っている。とはいえ、Dパイには女性しかなれないっぽい?ので、そこの設定がこういうテーマにとって大きなノイズにはなっている。
けんさんペロペロの味がまさかの伏線ww
えるさん、あれだけ生真面目で優等生っぽい雰囲気だけど、根底の陸自にいる動機が、幼い頃から憧れているF2に乗りたい、楽しい!という超純粋でアツい気持ちなの良い。
F2 → ふつー → 普通 → normal → 「ノーマ」
えっ!? まじであの「ジョアおばさん」重要キャラなの?
借りてたナオ人形の頭返せないの草
7話
「マツリゴト」ってカタカナの固有名詞なんだ…
マリー節でしかないクソセクハラ発言
やっぱり男側から異性愛感情が芽生えるのね。
『あの花』、『花いろ』、『凪あす』、『キミモテ』全部そうだな。『さよ朝』や『まぼろし工場』は女性が先だけど。
てかそもそもこの小此木とかいう男とひそねはそういう関係になるのか? 片想いに終わる可能性もある。
Dパイは「白い恋人」 めっちゃグロい設定
要は恋愛関係とは本質的に依存関係である…ってこと? さすが岡田麿里だなぁ。恋愛のエゴイズムをずっと描いてきただけある。
うわ〜そういうことか!! Dパイが恋をするとOTFへの依存が弱まって続けられなくなる。前任者が乗れなくなったのはそういうことか!
なぜ本作に岡田麿里が関わっているのか完全に理解した。あるいは、なぜ岡田麿里作品に空自のドラゴンとかいう奇天烈な設定が導入されているのか完全に理解した。
要するに「恋愛が禁止されたディストピア物」みたいなもんよね。アイドルが恋愛禁止のように、Dパイも恋愛禁止。サッカーを称揚するためによくサッカー禁止令が扱われる『イナズマイレブン』みたいなもん。
エゴと依存でしかない恋愛をそれでも肯定するために、わざわざ自衛隊とかドラゴンとかいった要素を利用して、恋愛が忌避される環境をつくる。『まぼろし工場』の設定にも似ている。巫女人柱といえば『凪あす』にも似てて、海神様に恋愛感情を奪われるくだりを思い出す。
突き詰めれば「仕事と恋愛のどちらを取るか」というひじょーに陳腐なアレになるのか。とすると、やはりひそねはこの後、小此木を好きになって一度飛べなくなるのかな。
うっわヤッバ…… これ正気でやってるのか??
Dパイに恋をさせないために、あえて一度恋させてから完膚なきまでに叩き潰す作戦が上層部によって暗躍される。
しかもそのために、空自内の人間(恋愛)関係を洗い出してホワイトボードにまとめている……
自衛隊内での恋愛のほうが離職率は低いとか生々し過ぎる!!!
よくあるミリタリー×美少女モノだと思っていた私が間違いでした。女性自衛官に職場内で恋愛させようとする、はるかにイカれているアニメでした……。
これだけ色んな作品を見てきても、まだ「岡田麿里ってつくづく恋愛のことしか頭にないのかよ」とドン引きさせられることあるんだ。もう分かりきってるとばかり……参りました。
小此木本人の目の前で、甘粕との両想い♡↔︎♡が記された図を見せるの草 なにが「もうここ一択!大本命で…」だよ!! 破局前提で何を熱弁してるんだ
ファーーwww 森山さんの離隊理由は想定通りだったが、お相手の男は森山の上司の元カレだという性格の悪すぎるゴシップ設定にぶん殴られて平伏している。まじでこんなとこまで生々しい三角関係をぶっ込んでくるんじゃな〜〜い!!(最高)
これ、前半の6話が下拵えで、この7話からが本番だな。
あ〜そういやジミーことリリコスこと絹番さんは恋愛しなさそうだよな。
キングダムww 面白すぎる
2次元の男にしか興味ないか、「リリコス」が伏線で同性愛者か、あるいは……
うわ〜〜〜〜 もう勘弁してよ〜〜〜今話だけで何度キモさで殴られれば気が済むんだよ〜〜
絹番さんは上層部からも恋愛の心配はないと判断され、他3人へのスパイとして買収される。
「過去の交際の有無」「何歳で結婚したいか」「子供は何人欲しいか」など、セクハラを軽く通り越したエグ過ぎるプライバシー情報を聞き出し横流しするよう求められる。
でも実際、女性自衛官が恋愛結婚妊娠して辞隊とか、めっちゃあるんだろうな…… 自衛隊に限らずあらゆる職種でそうだからこそ、色々と問題があり対策も取られているわけで……すげぇ社会派アニメでもある。
生々しい(異)性愛が主題のセクハラコメディって、実質これも『荒ぶる季節の乙女どもよ』な気がしてきた。ともよさんいるし。
もはや「男根の象徴」とかが逆に意味をなさないくらい、直球で性愛、男性の欲望といった要素が出てきまくる。岡田麿里はいつもそう。だから好き。
大きな組織・存在の都合により、恋愛を禁止されるなどという非人道的な扱いを受ける「巫女」たるDパイって、まどマギなどの搾取される少女としての魔法少女に似ているけれど、こっちはあくまで実際にローカルな人間関係の陰謀の話として、職場内でどの男を「あてがう」べきかといった次元で進む点でまったく雰囲気が異なる。すべてがけっきょく恋愛痴話のための設定だから……。
てか、他の基地のDパイ3名が岐阜に集められたのも、一箇所にまとめて一気に作戦を決行したほうがラクだから、ってことだよね…… 何から何までキモくてグロい構造だ。エロゲ『遥かに仰ぎ、麗しの』に匹敵するグロテスクさ。
酔っ払ってるひそねちょっとかわいすぎるな……これは小此木に限らず好きになっちゃうよ。
たしかになんで『キングダム』の来週分の原稿持ってるんだよww てか誰なんだよあいつはww
ひとみん…… これじゃあ魔性たんだよ〜
キャバクラの客と嬢を反対に取るギャグもキレッキレ
そういえばひそねって饒舌系コミュ障だからこれまでの人生で友達がほぼいなかった筋金入りのぼっちなんだよな。おそらく人生初デートにしては服装もシックにお洒落だし、割とまともにこなせている。
ガチ(性差別)名言キタコレ ちゃんと女性に言わせるのがいい。男が言ったらドン引きするだけだからね…。
え〜〜? ラスボスの風格があるジョアばあさんまで色恋沙汰が関係するの!?
(てか「ジョア」といい「白い恋人」といい「はなの舞」といい『キングダム』といい、なんでそんなに実在の商品名・店名・作品名などをそのまま使いまくれるんだよ)
やっぱりこの7話は岡田麿里の単独脚本回!!! そりゃそうだ。世界一わかりやすいマリー節満載の回だったもの。
単話でこれだけ面白いアニメの回もそうそうない。歴代ベスト級
お〜エンディングは絹番莉々子の単独ボーカルだ!!
8話
ん? オープニングが変わってる!! 「少女はあの空を渡る」から「少女はあの空に惑う」へ Aメロが同じでサビから変わっている。凝ってるな~~
(あっ…… これ、さっきの7話だけが異常セクハラ色恋回だっただけで、あとはふつーにドラゴン搭乗のほうのおはなしをやるっぽいな)
宮内庁の役人キャラ。キングダムではなくインペリアルww 前話は天皇を中心とした「国」が国民個人の恋愛を制御抑圧しようとするという、えげつなく批評的でリアルなことをやっていたわけだ。
御辰様(みたつさま) 74年周期で目覚める 海神様といい見伏の山の神といい、岡田麿里作品のこういう神要素は一度ちゃんとまとめて考えたいな。
ああいうパイロットスーツを着てドラゴンの胎内でああいう体勢を取ることも、7話のあとでは見方が一段と意味深に変わる。莉々子のしゃがみ姿勢もやっぱりそういうことだった。
『ダリフラ』ではコックピットで若い男女が後背位っぽい姿勢をとっていたが、『ひそねとまそたん』では若い女性が単独でその体勢を取る。これは、自らを呑み込んだドラゴンとの絆(性行為)の比喩であるだけでなく、女がドラゴンの胎内に逃げ込むことで人間の男からの性愛を回避する、という意味合いも読み込める。
生殖というリスクが存在する現実社会からの安全基地(シェルター)としてのOTF胎内であり、言い換えれば、若い女性を性行為から隔離する「檻」でもある。その檻のなかで彼女たちはDパイとして搾取され利用される…… ここまでくると「Dパイ」もそういう意味を勘繰りたくなっちゃうな。
神道モチーフが出てきているところからも、『まぼろし工場』の佐上衛みを感じる。生殖忌避のために若い女を「巫女」として神(ドラゴン)に捧げて永遠のつがいとさせる…… あの神機狼とかいう煙もオオカミというより龍だったし。
ジョアばあさんカッケえ~~~~ そういうことか。74年前って1944年でアジア・太平洋戦争真っただ中だもんな。自衛隊モノで今更ながら、めちゃくちゃ政治・歴史的な話になってきた……。
「ラバウルの天女」……
夢の中で飛ぶ。設定がいちいち奇抜でおもしろい。
たしかにほぼ台風だ!w 時速30~40kmで暴風域を連れてゆっくり列島を移動する「神」
台風を飛行機(ドラゴン)で誘導する任務と考えたらおもしろいなぁ
ふつうに感動して泣いちゃったよ…… 優しいおばあさんキャラが豹変して一喝するの好き好き大好き。怒鳴り声の子守歌ってことだよね。
「夢」のダブルミーニングに掛けた「わたしはずっとまそたんと夢のなかで飛んでるんだ」的な台詞もグッと来た。
睡眠しながらの三日三晩連続の飛行ってことで、1話から描かれてきた朝焼け空がよりいっそう美しく映えていた。
うお~~~~ おもしれぇ~~~~! シンプルに続きが気になる。話が面白い。
リアル「誰よその女!」だった。やはり三角関係……三角関係はすべてを解決する……かは分からないが、わたしを救済する……
次回予告とサブタイトル「ギャーー!!」だけでもう超おもろいもん
9話「ギャーーー!!」
ひそねにとって人生で初めての男「友達」……のことが好きな幼馴染女子(黒髪ロング/セーラー服)が急に現れて、「恋」かもしれないと自覚し始めるやつ~~~。やっぱり三角関係、あの人が別の人に奪われてしまうかもしれないという危機感こそが「恋愛」感情の本質なんだよね。恋愛関係が複数もつれて三角関係になるのではなくて、三角関係から恋愛関係が「産まれる」。順序が逆だというわけ。
でもここで岡田麿里ファンである自分は、ひそね視点だけではなく、「はるとくん」の幼馴染の女の子ナツメの立場からも考えざるをえない。ずっと好きだった幼馴染の男子が、就職後、自分の知らないところで職場の同僚の女性を好きになってイチャイチャしていた……と思うとやるせない。ひそね……ゆるせん!
なつめのCVが棒読みっぽさもあって絶妙に良い。拙さ≒若さ≒幼馴染属性
(あとで調べたらやっぱり声優本業ではない俳優さんだった)
本日の名言
こいつも「思ったこと言っちゃう」奴か~いww でもひそねと違って、そのことにコンプレックスを抱いていないカースト上位系女子。激アツの関係だな……ひそね-ナツメ。
はるとくんの幼馴染マウントvs同僚マウントおもしろすぎる。やっぱり男をあいだに挟んだ女性同士の関係が至高だな~~
台詞キレッキレやな。マリー脚本確定
うおおおおおおおお!!! 良すぎる!!!! マジで三角関係のライバルから自分の「好き」を定義された。ラカンの鏡像段階と象徴界。言葉によって「わたしのと "同じ" 」だと名づけられる感情。
恋心のモチーフとしての月! 『凪あす』とのリンクだ。
ギャーーーーーーー!!!!!!!!!!!!! ←人生で初めて自らの「恋」心を自覚した女性主人公のとる言動として、これ以上に良いものはあるだろうか。叫べ、乙女……走れ、叫べ!!!
あまりにも良すぎてボロ泣きしている。
吻合(ふんごう)か
7話の時点で予想できていた、そりゃそうなるだろうという展開だが、ひそね1人ではなく、えると2人でこうなるところが面白いよね。4人が2-2で分かれる。
恋をしてこれまでの自分とは違う気持ちを持つと「龍」に喰われて消化されてしまうからこの世界にいられない……『まぼろし工場』の原型のような設定だ。あの映画では恋愛してもなんやかんやで消滅しなかったけど。
恋心を持つことが何か重大な、〈神〉への背信であるかのような宣告。『凪あす』2クール目のまなかの症状の真相を告げるうろこ様を連想した。
今のところ第7話から3話連続で文句なしの神回なんですが。これ岡田麿里の最高傑作では?
え~~~~!?!? 岡田麿里脚本じゃない!?!?!? 和場明子さん
さよ朝の設定制作、凪あすやキミモテの脚本もやっている人。マリーの変名ではないのか(失礼)
そっか………… こんな盟友みたいな方を存じ上げなかったとは……不覚!
10話
そうか…… ナオの存在意義はこのときのためにあったのか。ひそねとえるが恋をしてOTFに乗れなくなり、一旦Dパイ候補生のように地上訓練に戻されたときに2人と一緒にいるための5人目の仲間。
4人のDパイ全員が恋をしたら、さすがに恋愛至上主義すぎて引いちゃうから、4人中2人というのは良い割合だと思う。名緒も入れれば3/5だけど。(てか、だから名緒はOTFに正式に受け入れられないのね。今更気付いた)
吻合はOTFの焼きもち。これからはキャラの焼きもちや嫉妬のこと全部「吻合」て呼ぼうかな
というか、OTFも含めればひそねのところは四角関係になるんだよなぁ。えるは三角関係
恋を自覚したことでDパイとして搭乗できなくなったわけだが、逆にいえば「それだけ」ともいえて、空自から追い出されて失職するわけでも消滅するわけでもなく、単に焼きもちを焼いたドラゴンから拒絶されるだけ。恋をして搭乗できなくなったひそねやえるは、実は誰にも怒られてなどいない。内容を変えても訓練の日常は続くし、迫るマツリゴトにどう対応するかは上層部が必死に考えてくれている。この、良くも悪くも呑気というか、地に足がついているというか、リアルな〈社会〉のなかで物語が流れているところが、この作品の美点だなぁと思う。
そうだよな、冷静に考えてみれば、恋をしたくらいでそんな怒られたり、なにかが破滅するのはおかしいよな。恋愛っていうのは、それをするべきだとも言えないし、してはいけないとも言えない、「良くも悪くもない」行為だからな、本来的に。だから恋愛劇って面白いんだよ。それ自体の善悪を持たず無謬でニュートラルであるがゆえに、その現象が人間関係(社会)のなかで発生したときに、良い悪いの付加価値が摩擦熱のように生まれる。恋愛の無-価値さ、「しょうもなさ」を肯定してくれる岡田麿里作品が好きだ。
えるのために敢えて露悪的に振る舞う健気さ こいつめっちゃいいヤツやん……名前覚えてなくてごめん
ジョアおばさんこわ~~~~ マジでラスボスやないか。若い頃に仕事のために恋を捨てた老年女性が、その長い人生を掛けて若者にも同じように恋を捨てるよう「助言」する…………
キス疑惑の生き吹きかけから赤ん坊時の話に繋がるのか~うま
あっ! 「回想がちゃんとあるタイプの幼馴染関係」だっ! てことは、これまでのマリー作品の統計上、この幼馴染への恋は成就しないな…… それに、わりとそこそこ年齢差があった。同い年の幼馴染ではない。「妹みたい」。そりゃあ小此木にとっては恋愛対象というよりも庇護対象だよね。やばいなつめさんめっちゃ負けヒロインじゃん。
『まぼろし工場』の正宗と五実の関係に似ている。歳上側は歳下を子ども(娘)やきょうだい(妹)としてしか見れず、歳下側は歳上への幼い頃からの憧れがやがて大きな恋愛感情になる。『凪あす』の光と美海もまんまだな。
そう考えると、岡田麿里って妹への愛や子どもへの愛を決して恋愛には結びつけてこなかったのか。近親相姦ネタをよくやっている印象だけど、近親愛はすべて歳上へのものであり、しかも成就しない。
とすると、ひそねと小此木は同い年なのか? 空自歴は小此木のほうが長いが……。でも小此木は大学も出てるっぽいし、甘粕が高卒就職ならやっぱり幾らか年齢差あるような。
久野美咲の鳴き声のような演技が天才的。
セクシージャガーww
名緒さん…… なんかここにきて唐突に、縁の下の力持ちの整備士たち(ほぼモブ男)礼賛が始まってワロタ。ようやく航空機オタクが喜びそうなことを。。
え~~~~!? いい引き
あと2話か~~ どうなるんだろ。マツリゴト本番で1話分は使うよなぁ。となると次回11話でひそねがなんやかんやで復帰? しなかったらどうするのか想像できない。
「くさびめ」だなんだという物騒な気配のするセカイ系っぽい(というか樋口さんなのでエヴァっぽい)要素はぜんぜん興味ないので無視している。
11話
えっ!?!! おばあちゃんが乗るの!?!?!?
「サダ」さんかっこよすぎるだろ。若い女性だけじゃなかったんだな、OTFに乗れるの。「魔法少女」モノとかとは全く一線を画している、ということだ。(あ~よかった)
まじかよ…… クライマックスの大一番で仕事辞めて実家帰ってニートになってる主人公……
10話ラスト付近のひそねの語りの流れで、小此木への恋心がうやむやになってOTF復帰したら納得できなかっただろうから、この展開にしてくれて本当に嬉しいし、ひそねカッケ―!!最高!とも思うけど、嬉しい以上に衝撃がデカくて。まったく予想だにしなかった展開だから。
辞めるとハッキリ語ったひそねに初めて自衛隊らしくブチ切れて「出ていけ!!」と叱ってくれる上司も優しいしカッコいいよ。恋してDパイ失格になったときは誰も怒らなかったが、ここはきちんと怒鳴るべき場面だ。
「クズ女」かぁ。キーワードだなぁ、岡田麿里作品全般への。
サダさんの親友・やえちゃんの回想。戦時中の戦闘機、「お国のため」ということで完全に特攻を暗示している。
うわ~~~~ ここにきて特大感情百合じゃねぇか!! ヤバ……泣く…… そうか……さださんは別に「男」を諦めてOTFを取ったわけじゃないのか。同性の親友だけを見て、「女」との誓いを守り続けて、その生と死に背かないように、これまでの人生を歩んできたのか。。 純ヘテロものだと思っていたが、さらにかき回して奥行きを出してくるとは……
ここでさださんが乗っているまそたん(モンパルナス)が吻合を起こしたのって、そういうことだよね? 吻合はOTFの焼きもちなんだから、焼きもちを焼かれるような感情は愛だよ、恋愛だよ、同性愛だよ。やはり第三者によってその感情に名前が付けられるのね。三角関係こそ恋愛感情の母胎。
ひそね富山出身なんだ。岐阜→富山
雨中のスライディング土下座ww
卒アルに自分で書いた言葉。言葉がつねに感情より先行する。「好き」という言葉がまずあって、あとから自分の今の感情がそれだと(第三者に指摘されて)わかる。人は言語のなかに生まれ落ちる。ますますラカンっぽいなぁ
小此木への恋愛感情も、元を辿ればまそたんへの「好き」に集約される。だから吻合は起こさないハズだ……と。あらゆる「好き」を肯定する。まぁ、マリーらしいし、良いとするかぁ。正直11話ラストでそうなってもよかったし、それだと納得できなかったんだけど。いったん除隊させてニートにしてからドラマチックに復帰することで無理やり納得させられている感はある。
OTF胎内って同時に2人入れるんだ。しかもサダさんとひそねって。
珍しく一般の会話で「ベクトル」が物理学的に正しい意味で使われている……
さださんが徘徊老人に……
あ~まぁそれはそうですよね…… 知ってたけど嫌だなぁ。生贄、なつめさん、どうなるのかなぁ
今度はエンディング、カラオケver.かよwww ほんと遊び心満載でいいアニメだ~~~次でラスト!!
貞(さだ)さんなのね。
12話
そうだそうだ! 「ヘビーすぎっすよぉ!」
楔目の設定はほぼ『凪あす』のおふね引きでの生贄の巫女だなぁ あれもワケわかんない根性ノリで解放されたし…… マリーこういう設定をうまく処理するの苦手だから。『まぼろし工場』然り……
ああ貞さん…… お国の無駄な犠牲になんかならないつもりだったのに。あくまで自分が八重ちゃんを裏切ったのだと背負い続ける。海上でのキノコ雲…… モロに水爆実験すぎるって!! なんでこんなに……すげぇ好きな百合が人類の惨禍にまみれているんだ。
生贄の真相を知ってワチャワチャ混乱して騒ぐひとみん達すき ノリがずっとコメディを手放さない
愛する「ヒロイン」を救おうと「主人公」が奮闘するのではなく、あくまで女が女を、それも恋敵を救おうとするのがよい。好きな男を思いきり愛するために、自分と同じ男を好きな恋敵の女を犠牲にせず、ロマンティックなセカイ系の幼馴染二者関係で終わらせずに、三角関係を守り続ける。それが自衛隊なんだ。
生贄を捧げる神聖なはずの場で繰り広げられる、女同士の究極のキャットファイト。「人生の初めから続く幼馴染への初恋」と「この歳まで熟成された練りに練った初恋」の、このうえなくしょーもない「初恋」マウント合戦。
こんなにも・・・・こんなにも自分にとって都合の良い、自分好みでしかない展開のアニメがあって……いいのか? 神さま
そうなんだよ。二者関係は死によって昇華されるが、三角関係は〈生〉にしがみつくことのみによって継続するんだよ。三角関係こそが、自分のすきなひとをあいつにだけは取られたくないという何よりも大きな吻合……嫉妬という醜くしょうもない感情こそが、生を根底から駆動させる糧なんだよ。
いやはや・・・まじかぁ~~~ じぶんの大好きな岡田麿里が、じぶんの大嫌いなセカイ系……エヴァの文脈を、樋口真嗣本人と一緒に、見事にマリーらしいやり方で真正面から粉々にしてくれた。・・・天晴れ!!
まそたんで特攻!? やってることが危なすぎて……
あぁ……そうか。執拗で露骨な特攻モチーフも、その犠牲・死のロマンチシズムを徹底的に否定するためのものだったんだな。生きて大切なものを見つける。そのために生きる。貞ちゃんと八重ちゃんにも、もう1人がいれば、三角関係であったなら、無駄な犠牲が出ずに済んだかもしれないね。その3人目は、ひそねとなつめのように「男」じゃなくたって構わない。女が女を救うとき、その触媒となるのは男でも女でもなんだっていい。とにかく三角関係が生を繋ぐんだ。
楔目のさらなる「真実」が「そんな物理的なものだったんですね」と評されるような、なにも生まれた時からそのために育てられた神聖な少女でなくてはいけない理由などまったくないものであったこと。簡単に「男」でも代替しようと思えばできる役目であること。何もかも素晴らしい。
えっ!? これどうなんの? どうなったの~~!?!?
まさかあの「べろべろべろべろ……」でみんなの犠牲となったわけではあるまいな?
……それでオレ(山脈)が生まれたってワケ さすがにこれは武甲山モチーフじゃないよね? 富山だし
生まれた時から生贄の巫女として育てられてきた女子高生たちが、けっきょく生贄にならずに生き永らえて学校に提出する進路に困ってるの良いな。花を咲かせたい、かぁ。
こいつらは二者関係だけど……永久に幸せになってくれ(ノーマがいれば三角関係♪)
これまで「国」が貞さんにかけた迷惑と彼女の功績を考えればほんとに百万円でも安いわそのジョアは!!!ww
そうか、ここでもひそねが「本当のこと」しか言えない、という設定が効いてくるわけか。憎いねぇ
おお、小此木がまそたんに嫉妬するの地味に初めてじゃないか?
うおおおおおお!!!! 最後の最後で「男」を呑み込み、最愛のまそたんの胎のなかで男女が再び巡り合う………… 終わり方が完璧すぎるだろ。
お前……名緒ぐるみ(頭部)も無事だったんかーいww
おわり!!!!!!!! こんなに綺麗にまとまった話を岡田麿里が書いていたなんて…… 最高傑作といっていい。
まとめ
めっっっっっちゃ好きでした。ミリタリーもドラゴンも全く興味がないので、これまでそんなに食指が動きませんでしたが、ふたを開けてみればいつもの岡田麿里の恋愛セクハラ痴情のもつれコメディでした。
秋元康が原案を出したらしい『キミだけにモテたいんだ。』のときも思いましたが、岡田麿里って、自分でイチからぜんぶ設定を練らずに、他人の世界設定のアイデアに乗っかったうえで自分らしさといえる三角関係-恋愛群像劇を作るのが本当に上手い脚本家だな~と思います。水島努と組んだ『迷家-マヨイガ-』は悲惨だったし、山本寛・東浩紀と組んだ『フラクタル』は微妙でしたが、今回の樋口真嗣(&小林寛)とは相性が非常に良かったです。
前半も決してつまらないわけではなく、無人島サバイバル回(6話)などフツーに感動して泣いてましたが、第7話からの方向性の急変、この作品の「やりたいこと」が一気にあらわになってからは、全部「神回」でした。
職場内の恋愛関係に「上」(国)が介入するさまをスパイコメディとして演出する激ヤバな7話、なつめが現れたことでひそねが小此木への「好き」を自覚する9話、そしてエヴァ-セカイ系の建て付けを三角関係における女同士の結びつきによってぶっ壊す12話が特に大好きです。
岡田麿里ファンの自分が思う『ひそまそ』のすばらしかったポイント
もちろん、声優陣の演技や、キャラデザ・作画・撮影・美術などの映像面でも色々とすばらしかった点はありますが、ひとまず「岡田麿里作品として」ストーリーと設定面を中心に挙げていくと以上のようになります。
さすがに思い入れ深い『あの花』『花いろ』『凪あす』らへんを上回りはしませんが、岡田麿里らしさ、この作家が追求してきた主題への回答、コメディとしてのエンタメ性、1クールの完成度……などを踏まえて、まちがいなく岡田麿里の最高傑作のひとつと言っていいと思います。
では次は、同じ小林寛監督とのタッグのオリジナル1クールTVアニメ『キズナイーバー』(2016)でも観るか~~~
これまでの岡田麿里note
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