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nano.RIPEでいちばん好きな20曲を語る


数日前、iTunesを開いた私は衝撃を受けた。

nano.RIPEがApple Music入りを果たしていたのだ。

(ほかの配信サイトでももちろん聞ける)

めちゃくちゃ嬉しい。

嬉しすぎて深夜2時くらいに自室で叫んでしまった。

nano.RIPEは自分のなかではかなり特殊なアーティストである。このバンドをずっと追っているわけではない。ライブにも行ったことはない。申し訳ない。でも定期的に「ナノライプ聞きたい期」が来る。数ヶ月に一度くらいのペースで。その波が来るたびに「やっぱnano.RIPE最高だわ…」と思う。自分はこのバンドの奏でる音楽が大好きであることを再確認する。そういう存在だ。

今年は特に「ナノライプ聞きたい期」が長く深く続いた。アルバムを揃えて、ライブ映像が付いている限定版シングルも買った。その時期を経ての今回のサブスク解禁ということで本当に嬉しい。これを期により多くの人に聞いてほしいバンドだ。

以下では個人的に好きなnano.RIPEの曲を語っていく。はじめはサカナクションのときと同じように15曲にしようと思ったが、語りたい曲が多すぎて20曲になった。有名曲が多いが、このバンドを聞き始めるきっかけになってくれたら嬉しい。


それではどうぞ。



20位 ノクチルカ

まずはファンクラブの名前にもなっているこの曲から。「初期衝動」って感じがしてとてもいい、上のLiveバージョンは特に。

疾走感のあるイントロとAメロに乗るきみコさんの力の抜けたボーカルが良い。そこからのサビの爆発もまさに王道。あと更に楽器隊のテンポが上がる2番のAメロめっちゃ好き。

伝えたいことが今日だって 伝えきれぬほどあるんだって
伝えたいから歌っていた

nano.RIPEの魅力のひとつは、なんと言ってもきみコさんの書くストレートな歌詞だろう。サカナクション・ナカノは4番・D.A.N.などの書く、抽象的で意味を掴みにくい詞が大好きな自分は、逆にメッセージ性の強い詞が苦手である。

でも、nano.RIPEの詞は1周回って好きだと胸を張って言える。きみコさんのあの特徴的な声で歌われることも、許容できる一因なのかもしれないが、とにかくこの点でもわたしにとってnanoは特別なアーティストだ。

カッコ悪くたっていいよ 笑い飛ばしたっていいよ
飛び越えた向こう側はキレイだろう



19位 絵空事

アニメ『さんかれあ』のOPとして起用された7thシングル。タイアップや楽曲提供時に超優秀なのもnano.RIPEの魅力のひとつだろう。アニメの雰囲気にドンピシャで合わせた名曲を書き下ろしてくれる。

全体的に隙のない構成だが、特に落ちサビ「今ここにあるものが全てだ」のあとのドラムが好き。あとラスサビ「物語の続きはこの手の中」の「てのなか」のリズム最高。



18位 ラルミー

nano.RIPEは盛り上がるハイテンポなロックをやるバンドだというイメージが強いひともいるかもしれないが、個人的にnanoの真骨頂はローテンポなロックバラードにあると思っている。情感たっぷりに歌い上げられることで、詞がスッと入ってくるのも大きいかもしれない。

この曲はエモーショナルなサビも凄いが、A・Bメロの展開にいつも唸らされる。ギターの鳴り響くイントロ→ささやくようなAメロ→一気に声量の上がるBメロ、のように静と動を行き来する感じがたまらない。



17曲 虚虚実実

アニメ『食戟のソーマ餐ノ皿』のEDとしてタイアップした18thシングル。

この曲はnanoのなかでもかなり尖っているというか、「カッコよさ」に振り切っている曲だろう。だから正直、はじめはあまり好きではなかった。わたしがnanoに求めているのはカッコよさよりエモーショナルさだから。でも"強い"イントロにいつからか白旗を上げざるを得なくなり、今ではすっかりこの曲の虜だ。

サビ入りのドラムの連打と、ラスサビ繰り返し部分のギターが特に聞いていて気持ちがいい。



16位 パトリシア

「nano.RIPEの真骨頂はロックバラード」というのは、他でもないこの曲がメジャーデビューソングであることに象徴されている。エモーションに振り切ったような、まさにナノライプの魅力が凝縮された一曲。

愛してるのコトバの意味を少しずつ知る

ド直球のラブソングだ。この曲のいちばんの聞きどころはラスサビのあと、上の詞を歌ってからの全身全霊の籠もったシャウトと、そこからのアウトロにあると思っている。ド直球に言葉を尽くした上での叫びには、言語の次元を越えて伝わってくるものがある。



15位 ツマビクヒトリ

アニメ『はたらく魔王さま!』最終話の特殊EDとして流れたタイアップ曲。

最初からクライマックス感のあるイントロは、ライブで流れた瞬間にどよめきが起こるほどの爆発力を持つ。また、この曲はなんと言ってもBメロのリズムが癖になる。カラオケで歌うとめちゃくちゃ気持ちいい。それからラスサビ「憧れた」の後の一瞬の間を空けての高速ドラムが大好き。



14位 月花

同じく『はたらく魔王さま!』の通常EDテーマソング。

これは「虚虚実実」とはまた違う方向で異質な曲だ。素朴なドラムと「いち・に・さん・し」という小さな掛け声から始まるこの曲は、ローテンポはローテンポでも、情動的なバラードではなく、むしろ力を抜いてリラックスできるような曲調だ。気ままに散歩をしながら聞きたい。地味ではあるが、聞けば聞くほど味の出てくる名曲だと思う。



13位 ルーペ

伊藤かな恵の9thシングルとして書き下ろされ、後にセルフカバーされた曲。

キレイなモノだけで世界を彩るのは簡単だけど
それだけじゃきっと大切なモノを見落としてしまうの

これもまた王道のロックバラードである。上記のサビがメロ・歌詞ともに"強い"。同じ詞を歌う落ちサビではきみコさんの声が震えており、あぁこれぞナノライプだなぁと心地よい感傷に浸れる。



12位 タキオン

ぼくが今向いているのは未来だっけ
スピードなら光くらいザラに出るよ

溢れんばかりの瑞々しさでめちゃくちゃ盛り上がる、ライブの定番曲。間奏では「とっるっとぅっとぅー」のフレーズとともに客と一緒にモンキーダンスをしたり、ギターのササキジュンさんが謎ダンスをする(させられる)ことで有名で「ご当地タキオン」の種類は膨大な数になるという。

これほどライブでは披露されている曲だが、ファン以外への知名度がいまいち低いことに納得いかない。数あるnano.RIPEの曲の中でも最もキャッチーであるといっても良いくらいなのに…



11位 月影とブランコ

来ました、nano.RIPEが大きく知名度を上げるきっかけとなったアニメ『花咲くいろは』のタイアップ挿入歌のひとつ。

4つ打ちにめっぽう弱いので、この曲にハマるのは仕方ない。

4月の風が吹いてる 3月のぼくを乗せて 5月のぼくの方へ
ブランコを揺らして未来へ通り抜ける

あとこのCメロがめちゃくちゃ好き。「ブラァ⤴ンコを揺らして」で思い切り上がるメロディとか最高。



10位 ハッチ

泣いたり笑ったりするといつも顔を出すパラノイド

『花咲くいろは』のイメージソングであることはうっすら把握していたが、鶴来民子(みんち)のキャラソンでもあったことは今調べて初めて知った。マジか…

この曲はなぜこんなに好きなのかよく分からないが、nanoを聞き始めた頃からずっと大好きな曲だ。エモーショナルなサビが最高というのはひとつあるが、何よりこの曲は全体的に隙がなく、「全部好き」という一言に集約してしまいたくなる。目立たないが完成度でいったら屈指の名曲だと信じている。



9位 インソムニア

さて、今回わたしがどうしても語りたくてたまらなかったのが、現時点での最新アルバムである6th『ピッパラの樹の下で』についてである。昨年8月にリリースされたこのアルバムは、今年わたしのnano.RIPE熱を再燃させた1枚だ。

前述の「虚虚実実」、アニメ『citrus』OPの「アザレア」、劇場版のんのんびより主題歌の「あおのらくがき」という3つのタイアップ曲が収録されているが、わたしがアルバムで特に気に入ったのは最初と最後の2曲だ。

1曲目「インソムニア」はこれこそ何かのアニメとタイアップするべきでは?というくらいキャッチーにまとまった、OP感全開の曲だ。聞くたびに満面の笑みで「こういうのでいいんだよこういうので」とつぶやいてしまう。

Bメロで雰囲気が変わる感じや、ブレイクが決まるサビの入りが好きすぎる。シンプル、だがそれがいい。めちゃくちゃハイセンスとか、音作りや世界観がエグいとか、そういう奇抜なことは他のバンドにやらせればいい。実直にnano.RIPEらしいロックを突き詰めていった先のものを、わたしはもっと聞きたい。



8位 世界点

最新アルバムの曲を紹介したあとだが、ここでインディーズ時代の名曲を。

掃いて捨てるほど ありふれたコトバでも伝えたくて
小さなアタシが埋められる 少しの隙間だってあるから

この詞はまさに、きみコさんの、nano.RIPEの信念を象徴しているようにしか思えない。ストレートな歌詞とは、ありふれたコトバである。それで結構。アタシが、ナノライプが歌って演奏していくことに意味がある。そうして、度重なるメンバーの脱退や訃報を経験しながら、20年以上歌い続けているこのバンドの原点にはこの曲があると思うと、もう涙なしには聞けなくなってしまった。ほんとうにいい曲。



7位 ハナノイロ

ご多分に漏れず、わたしのnano.RIPEとの出会いはこの曲だった。『花咲くいろは』第1クールのOP曲。「涙の雨が、頬をたたく、たびに美しく」歌い出しから鮮烈で、すぐに好きになった。花いろへの思い入れがハンパないので、当然この曲を花いろ抜きで語ることなどできない。P.A.WorksによるOPの作画も最高だった。

曲でいえば、ボーカルが素晴らしいのはもちろん、よくよく考えてみるとドラムが全体的に好きだなぁとも思う。イントロやBメロ、サビ前など大事なところできちんと印象的なフレーズをかまし、ラスサビの盛り上がりへの貢献具合は言うまでもない。

近づいてく 何度となく夜を越え 昨日より空の方へ
たまに枯れながら そうしてまた光に目を細め深く呼吸をして

ここ。ここでこんなにも心を動かされるのは何もボーカルのためだけではない。

御花の雑巾がけから始まったナノライプとの付き合いは、これからも続きそうだ。



6位 影踏み

こちらは劇場版花咲くいろはの主題歌だが、実はインディーズ時代からあった曲らしい。初期に名曲が多すぎる。

サビ始まりの歌い出しから全てが好きだが、特にCメロには聞いていて思わず走り出したくなる疾走感があって最高だ。

インディーズ時代、海浜幕張駅にて行われた路上ライブの映像も残っている。グッと来る。



5位 ステム

6thアルバム『ピッパラの樹の下で』のラストトラック。先に紹介した「インソムニア」がOPであれば、こちらはED感がハンパない。主人公が左に向かって走る画が見えるもん。徐々に仲間が合流してくの。立ち止まって振り向くカットで締め。完璧。インソムニアがOPでステムがEDのアニメめっちゃ観たい…誰か作って…

始めるために終わったことを 終わるために始まったことを
生まれるために泣いたことを 笑うために生まれたことを

きみコさんの書く詞は本当にストレートで飾らない。こうしたフレーズを何度も何度もリフレインして、その反復によって曲自体がドライブされていく。「ステム」はそんな曲だと思う。

別れるために出会ったことを 出会うために別れたことを
抱えてぼくらが歌うことを そうしてぼくらが生きることを

これもまた、別れを繰り返した今のnano.RIPEだからこそ書ける王道のロックだ。かっこいい。ほんとうにかっこいい。

生演奏もめっちゃ良い…



4位 15秒

「15秒だけ目を閉じて」。静かに、ささやきかけるように始まる冒頭。それがサビの前フリとなる。1サビ終わりから一気に加速して2Aメロに入るが、2番のメロディは1番とはまったく異なる。驚くほどガラッと変わるのが気持ちよすぎる。

こうして書いていると、静と動の振り幅が大きい曲にめっぽう弱いことがよく分かった。だってどれもいい曲なんだもん、仕方ないよ。

ぼくはもうどこへだって行けるけど
ぼくはもうどこへだって行かない
朝がもうすぐそこで笑うから
ふたり目を閉じて
死んだふりをしていよう

シンプルなようでいて、よくよく反芻してみるとかなり奥深い。きみコさんの詞の良さはストレートなところだとずっと書いてきたが、そう簡単に割り切れない、掴みきれない魅力がまだまだある。「ふたり 目を閉じて」の途中の絶妙な間がほんとうに良い。



3位 夢路

『花咲くいろは』の最終話でも使われた、名曲中の名曲。イントロもAメロもBメロもサビもこの上なく良くて、夢路の良さは語り尽くせないほどあるけれど、どうしても外せないのが2番途中の間奏部分。わたしはこれまで聞いてきた全ての曲の間奏のなかで、夢路のそれがいちばん好きだ。こうして言い切ると、そんなに凄いのかと気になるかもしれないが、そこはnano.RIPE、いたってシンプルである。「夢は夢で目が覚め⤴ると跡形なく消えるモノだ 思うより価値なんてない──」のあと、ドラムに率いられてギターの簡素かつエモーショナルなフレーズが続く。これがほんとうに素晴らしい。ササキジュンさん最高。トリッキーなことをせずに、こちらの心に素直に届く魅力がある。夢路大好き。ほんと好き。




2位 ルミナリー

5thアルバムの単なる1曲がこんな上位に来ることに驚くかもしれない。だがわたしにとっては、このような大名曲がこんなにマイナーなことにこそ驚きを隠せない。はっきり言おう、nano.RIPEでいちばん "強い" 曲はこれだと思う。

nano.RIPEにしては少し壮大な曲調で、BUMPのシングルっぽさがあると言えばだいたい伝わると思う。アルバム名『スペースエコー』に恥じない宇宙感がある。

光れ 光れ 照らされるより照らせ 明日を きみを 限りある今日を
砕け散った瞬間に カウントダウンが始まった 光れ

このサビが強すぎる。「こんな強い曲を書けるんか…」って最初聞いたときびっくりした。特にヤバいのがサビの後半だ。「光れ」と細かくキャッチーなフレーズを刻んでから「限りある今日を」の「今日を」でリズムを崩して浮かせる。ここで一気に視界が開ける。ほんとうに。聞いてると「眩しっ」てなるもん。そこから更に「砕け散った瞬間に」で伸ばす。ここの浮遊感めっちゃ気持ちいい。完全に飛んでる。この展開だけでもお腹いっぱいなのに「カウントダウンが始まった」でもうひと波ある。ここでこの続きを持ってこれるのは天才としか言いようがない。

ラスサビでは「限りある命を 覚悟した瞬間に カウントダウンが止まった」になる。「止まった」だよ、「止まった」。ササキジュンさんの作る起伏のある最高のメロディに、きみコさんの書くシンプルで最高の詞が完璧にハマった瞬間だ。



1位 面影ワープ

「知ってた」って?そうですよ、どーせわたしもこの代表曲がいちばん好きですよ。だってしょうがないじゃん、面影ワープめっちゃいい曲なんだから。『花咲くいろは』第2クールのオープニング。正直はじめは「ハナノイロ」のほうが好きだった。ただ、最終話まで観終わる頃には面影ワープにハマっていた。

この曲のなにがそんなにいいんだろうと考えると、結局イントロなのかな、と思う。というか、最初の一音目。ベース、ドラム、そしてギター。この3つがほんの少しズレながら重なって鳴る。ぬるりと、するりと、ぽとりと、何かが抜け出るような一音目。何かの始まりを確かに告げる音。そして夏がかき鳴らされ、「地平線をなぞるように」続いてゆく。そういう曲。

二度と戻ることはない でも消えない模様

これからも、ずっとずーっと好きな曲。




以上が、わたしのnano.RIPEトップ20曲である。細かい順番は結構テキトー。インソムニアとステムのどちらがより好きかはそのときの気分による。

ここで紹介しなかったものでも好きな曲はたくさんある。そう言えば「のんのん」の曲が入ってなかった。タイアップ有能バンドと書いたが、のんのんびよりのあの雰囲気に合うオープニング曲をロックバンドが書き下ろす(しかも何曲も)というのは本当に凄いことだと思う。nanoらしさとのんのんらしさが共存した名曲ばかりだ。特に2期の「こだまことだま」が好き。3期のOPも超楽しみ。

あと、提供曲と言えばアイドルマスターミリオンライブに書き下ろした「流星群」「プラリネ」「アイル」などの名曲も忘れてはいけない。特にプラリネは、全てのアイマス曲のなかでもいちばん好きな曲だ。愛美さんの歌声が素晴らしいのはもちろんだが、ライブでnano.RIPEもセルフカバーしている。それがめちゃくちゃ好きだ。それを観るためにライブ映像が付いているCDを買った。



というわけで、紹介し切れなかった曲を加えた「私的ナノライプ30選」をApple Musicのプレイリストとして公開しようと思う。



Apple Music公式によるプレイリストも載せておく。

「隠れた名曲」にすらルミナリーが入ってないのは本当にわけがわからない。


それから、最新シングル「エンブレム」と、NHKみんなのうたに提供された準最新シングル「ヨルガオ」もよろしく。自宅ではめったにテレビを観ないが、夏休みに大阪のホテルでふとテレビを付けたら「ヨルガオ」が流れていて運命を感じた。


このnoteで少しでもnano.RIPEに興味を持って聞いてくれたら嬉しい。ナノライプ好きは語りましょう。わたしも来年、離島から本州へ引っ越したら必ずライブへ行こうと思っている。

それでは。



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