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クレジットカード利用伝票の解説 - ③基本編

はじめに

クレジットカードで買い物をする際、会計時に誰もが必ず受け取るクレジットカード利用伝票(以下レシート)。

前回記事では、日本国内のキャッシュレス化を支えている決済端末と中継センターについて解説しました。まだ読まれていない方は、以下リンクより一読した上で続きを読むことをオススメします。

日本の決済インフラを支える利害関係者は数多く存在しますが、特に重要な各プレイヤーの役割を紹介した上で、本題に入りたいと思います。

業界の主要プレイヤーとネットワーク構造

先ずは以下の相関図をご覧ください。左から順に見ていきましょう。

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■加盟店(Merchant)
一言で言うと、キャッシュレス決済が使えるお店です。お店がクレジットカード会社(以下加盟店契約会社)と契約を結び、キャッシュレス決済に対応していることを「加盟」と呼んでいます。

加盟店はJET-S、INFOX、J-Mupsといった決済端末を設置し、どのキャッシュレス決済が使えるのかが我々消費者に分かるよう、レジ周辺にステッカーを貼って示しています。

このステッカーですが、別の機会で問題提起しようと思うのでしばしお待ちください ٩(ㆀ˘・з・˘)۶

■中継センター(Payment Center)
お店と加盟店契約会社の間に介在し、クレジットカード取引情報の中継を行う決済ネットワークです。CARDNET、INFOX-NET、J-Mupsが代表的なセンターと言えるでしょう。

■情報処理センター(Information Processing Center)
中継センターと同様に、お店と加盟店契約会社間に介在しますが、キャッシュレス決済の総合プラットフォームの位置付けです。

全国の加盟店、加盟店契約会社、金融機関を繋ぎながらハブとして様々な機能を提供しています。国内を代表する情報処理センターは以下2つです。

■CARDNET
 >センター運営会社:株式会社日本カードネットワーク
 >サービス提供開始:1996年
 >参考ウェブサイト:https://www.cardnet.co.jp/
■CAFIS(Credit And Finance Information System)
 >センター運営会社:株式会社NTTデータ
 >サービス提供開始:1984年
 >参考ウェブサイト:https://solution.cafis.jp/

■加盟店契約会社(Acquirer)
キャッシュレス化の推進を目的に、お店の契約獲得と管理を行う会社です。

キャッシュレス決済が使えるお店を増やしたり、新たな決済手段をお店に提供することが、加盟店契約会社の役割となります。三井住友カード、三菱UFJニコス、UCカード、トヨタファイナンスが国内大手として有名です。

■国際ブランド(Card Scheme)
皆さんお馴染みのVisa(ビザ)やMastercard(マスターカード)。各国の金融機関にライセンスを付与するブランド提供者&ネットワーク会社です。

具体的には、グローバルに決済インフラを提供し、国を超えて決済データを授受しています。各国際ブランドは、独自の決済ネットワークを運営しているのはご存知でしたでしょうか。

■カード発行会社(Issuer)
国際ブランドからのライセンス提供を受け、我々消費者にカードを発行する会社です。

カード発行会社は単にカードを発行するだけでなく、適切なカードの利用方法や優良顧客を育成する重要な役割も担っています。なおクレジットカード以外にも、デビットカードやプリペイドカードを発行している事業者も同様にカード発行会社と考えていいでしょう。

クレジットカード利用伝票の印字項目 - 基本編

本記事で取り上げるのは以下8項目です。上から順に見ていきましょう。

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1. 加盟店名(Merchant)
前半部分で紹介した通り、クレジットカードを使用した店舗の名前です。レシートにはカードを使用した店舗名に加えて、お店の連絡先電話番号も表記されるケースが大半です。

2. ご利用日(Date)
クレジットカードを使用した日時
(秒単位まで)が表記されています。家計簿を作成する際に、「合計金額」とセットで最も注意が必要な情報ではないでしょうか。

3. 端末番号(Terminal Number)
機器本体に設定されている識別番号
です。決済端末には端末ごとに固有の番号が振られており、これを「端末番号」と呼びます。なお業界内では名称が統一されておらず、「端末識別番号」や「TID」とも呼ばれます。

5-3-5の計13桁で構成される番号ですが、実は様々な情報が盛り込まれています!

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4. カード会社(Card Company)
使用したクレジットカードを取り扱っているカード会社名
です。本記事の前半部分で少し触れた「加盟店契約会社」がここで言うカード会社となります。カード会社ごとの具体的な表記例は以下の通りです。

>三井住友カード:ビザ/マスター
>三菱UFJニコス:MUFGカード、MUFG CARD、NICOS、DC
>UCカード:UCグループ
>トヨタファイナンス:TS3カード

余談ですが、各加盟店契約会社にはKID(会社ID)という3桁の番号が割り当てられており、JET-S端末のレシートには必ず表記されます。

5. カード番号(Card Number)
使用したクレジットカードのカード番号
です。カードの所有者の特定にも繋がる固有の番号であり、取扱には十分注意が必要です。

個人情報保護の観点から、レシート上には一部番号が表示されません。もしカード番号が全桁レシートに表記されていた場合、レシートを紛失した際に第三者が悪用するリスクがあるからです。想像しただけで恐ろしいですね、、

6. 有効期限(Expiration Date)
使用したクレジットカードの表面に刻印された有効期日
(年月)です。言うまでもなく、有効期限を過ぎた(失効)カードはお店で使えません。

有効期限はカード番号と同様に、セキュリティ確保の観点でレシート上では非表示になっています。具体的リスクについて興味のある方は、以下リンクより一読ください。記事は2003年当時のものです。

7. 取引内容(Transaction Type)
支払いの取引区分
が表記されています。クレジットカード決済の場合、取引区分は「売上」「取消」「返品」のいずれかになります。

>売上:クレジットカードで支払う操作
>取消:当日分の売上を取り消す操作
>返品:当日分以外の売上を取り消す操作

8. 合計金額 (Total Amount)
クレジットカードで決済した税込みの金額
です。家計簿を作成する際に、「ご利用日」とセットで最も注意が必要な情報ではないでしょうか。

最後に

以上、レシート上に表記されている印字項目の基本情報を解説してみました。好評であれば、応用編+先進的な取り組みについても記事にしていこうと思います!

近い将来にレシート表記の乱立化が加速し、お金の管理の煩わしさを感じる機会があると思います。その際は、本記事を参考にしながらレシートに関するちょっとした疑問や不安を解消していただければ幸いです。

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