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【kkk】インテリアと雲性

こんにちは、M1の菊地です。

【kkk】研究室(K)のかわいい(K)カーテン(K)を制作するプロジェクトについての活動報告です。

前回の記事はこちら→【kkk】 素材と戯れる

今回は敷地となる研究室の測量やそれに基づいての図面・模型作成を行いました。

測量・模型作成

実測_210206

研究室の天井を実測し、その寸法を研究室の平面図に落とし込んでいきます。60㎡ほどの研究室の天井は設備機器に埋め尽くされており、プランニングする上での制約が非常に多いなと思う一方、むしろその制約を上手く生かしながら形にしていきたいということなど、そこで考えたことを共有しながら進めていきました。

20210122_天井はがし_210206_0

天井の石膏ボードをはがしてみると、下地材が細かく入りながら、その間を縫うように設備の配管が通っており、ツルツルした面としての天井の裏が持つ情報量の多さにさらに驚きました。今後モックアップを用いて、下地と石膏ボードの引抜強度等を確認しながら実施設計への準備も着々と進めていこうと思います。

01_0.22 模型写真_210206

その後、実測で得た情報を元に研究室の模型を製作しました。

本来ならば研究室の中で布を広げたり、つるしたりしながら、1/1で布に触れることで空間構成のイメージを共有することを目標としていましたが、コロナ禍で研究室に入れる人数が制限されていることや、卒業設計の提出が迫っていることもあったことから、それぞれ空間のイメージをつかむことを目的に、最初は模型をベースに自由にスタディを行っていくことにしました。

01.22 模型写真_210206

↑研究室中央の聖域を広げていくような案

20210201_模型写真_210206

↑聖域をなぞるように配置した案

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↑壁面をなぞりながら、聖域に巻き付いていくような案


雲性

空間のイメージを膨らませる模型でのスタディと平行しながら、オンデルデリンデさんのレクチャ―の際伺った、カーテンをつくる上で重要な「機能的なもの」「装飾的なもの」「現象を起こす装置」のうちどれを軸にしながら進めていくかについて、以前、研究室の構成員を対象に行ったアンケート結果をもとに、提案の軸となるようなコンセプトをかためていこうと考えていきました。

1.研究室空間に何を求めていつも来ていますか?

2.カーテンを設置するにあたって、「機能的なもの」「装飾的なもの」「現象を起こす装置」のうち何を求めますか?

3.2.の回答についてそう答えた理由を教えてください。

という3項目に関して募集したアンケートでは、2.では意外にも「装飾的なもの」を求めているという意見が多かった一方で、1.の回答としてはほとんどの方が、他の人とのコミュニケーションやそれによって起こる発見や刺激を求めていたことがわかりました。

今年は特にそういったコミュニケーションが取れないことが多いため、わざわざ研究室に来る意味というものを考えさせられた1年であったように思えます。そういった意味では今回は設計においては、装飾的なものというのはやはり本質ではなく、集まることによって生まれる現象を、ほとんどの方が潜在的に求めて来ているのではないかという流れで話し合いが進んでいきました。

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そこでの話し合いを元に、研究室にとってカーテンがどのようなものであるべきかをより具体的にイメージしやすい言葉に落とし込むために「インテリアと○○」というテーマでブレインストーミングを行いました。そこで出てきた言葉の中から「インタラクション」「雲性」「偶然」「日常⇔非日常」というワードをピックアップし議論を行っていきました。

その中でも特に注目されたのは「雲性」という言葉でした。話し合いを進めていく中で、

雲は我々の日常生活の風景の一部として溶け込んでいる一方で、自分たちの力では制御できない力によって常に変化し続け、一つとして同じ形を持たないことから、日常と非日常の両義性をもつ存在として語れるのではないか

例えば、夕焼けと重なることで、見る人にとってその風景を非日常的な美しいものへ変化させる

膨張し大きく重なっていくことで積乱雲になり雨を大量に降らすことで、人の行動を制御する

研究室におけるカーテンはこの雲のように不規則に揺らぎながら、普段の研究室の風景を変えたり、偶然的にそこにいる人の行動を別の方向へと促すような、環境の一部として設計していく必要がありそうだと考え、スタディを進めていく方向となりました。

今後はもう一度、カーテンレールのディテールや布自体の止め方などを事例を参照しながら、実際にどのように形に落とし込んでいくかを共有しながらスタディを進めていこうと考えています。

M1 菊地裕基



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