加藤博史・水藤昌彦編著「司法福祉を学ぶ」――連携のゴールは難題



この手の本はなかなかゴールが難しいのか。

それぞれ実務を担っている・担った多くの執筆者によって書かれているが、それだけ、いろんな話の寄せ集め・試食一覧という感もぬぐえなかった。どれも深入りまではできず、ダイジェストのようになってしまって誰向けの本なのか、いまいちわからなかった。


司法福祉の目指すところとしては、やはり今まで縦割りで終わっているところを横断的に多職種連携にやっていく方向かなと漠然とイメージしているけれど、その多職種連携をより具体的にイメージできるようなものが読めるとよかった。とはいえ難しいだろうなぁ…。

「第3部 発展的学習」はいずれも単独の論文として興味深かった。
ドイツでは衛生的な条件の下で違法な薬物を使用することを許容する「保健室」が合法化されたとか。
イタリアの、刑を決める裁判所のあとの「強制処分監督裁判所(TDS)」の仕組み(職業裁判官2人+1人の臨床心理士又は犯罪学者、及び1人の医師又は専門家の4人で裁判体を構成)も面白かった。
それと、原胤昭(はらたねあき)さんの活動など。
(なお、255・256p「自」という字が2つ「白」になっている誤字があると思われます)

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?