【ビジネス】コンビニが700円くじを開催する理由とは!? 学びの部屋vol.75
この記事では、コンビニの700円くじに対するビジネス観点をこと細かく説明していこうかなと思います。なぜ、700円という条件なのか?コンビニの真の狙いは何なのか?これからビジネスを展開しようと考えているあなたに特別に教えるために、ここで秘密を解き明かしていきます。
1.そもそも700円くじとは?
コンビニ利用者なら誰しもが知っているこのキャンペーンですが、万が一知らない方のために説明しておきます。
700円くじとは、コンビニ各社が年に数回行っているキャンペーンのことで、購入額700円ごとにくじを引くことができて、当たりが出ればその場でそのくじに記載してある商品と引き換えることのできる消費者に得しかない企画のことです。
700円以上購入でくじ一枚引けるのではなく、700円ごとに一枚引けるため、1400円分商品を購入すれば二枚引くことができるのです。
2.なぜ700円という設定なのか?
セブンイレブンやファミリーマート、ローソンの大手三社が足並み揃えてなぜ「700円」という数字にこだわるのでしょうか?
結論から言うと、「もう一つ追加で購入すれば、700円に届く範囲の金額を使っているから」だと思います。
お客様が一回の買い物で使う金額は平均したらおそらく600円前後であると予想されます。600円分は好きなものを選んでこれに加えてジュースやおかしなどをついでに購入してもらうことによって、くじを引けます。100円以上の値段設定の商品なんて山ほどありますしね。
要するに、いつもより100円以上多くの買い物をしてもらうことによって売上高を伸ばそうと狙いがあるのです。
しかし、この企画ではどこかにしわ寄せが来る計算となります。
消費者・コンビニ・メーカーのどこに一体しわ寄せがきているのでしょうか。
当たりの商品は無償で提供されるので、上記三つのどこかが損を被る計算となる。
3.キャンペーンのカラクリ
実はこのキャンペーン、引き換え商品分の費用はメーカーが負担しているのです。消費者はおいといて、なんでコンビニではなくメーカーなの?とお思いの方もいらっしゃると思いますが、これがカラクリなのです。
なぜメーカーが協賛という形で費用を負担しているのかを順を追って説明していきましょう。
これには「棚の確保」と「試飲・試食」がカギになります。
たとえば、一店舗あたりに150円の商品の引換券を5枚おくとしましょう。コンビニの全国の総店舗数を仮に1万とすると、
『150×5×10,000=750万』という計算になり、その分をメーカーが負担することになります。
商品価格×引換券枚数×総店舗数=メーカー負担額
これだけの視点で状況を飲み込むと、メーカーが多大なる金銭的負担を負っただけのように見えますね。デメリットの部分ははっきりと見えますが、メリットの部分がまるで見えてきません。実際、これだけの説明でしたらメーカーは当然キャンペーンを断わるはずです。だって損しかないのですから。
ではなぜ協賛してくれるのか。
そのカギの一つ目は『棚の確保』にあります。
引換券の商品になったものは確実にコンビニの商品棚に陳列してもらえるからです。引換券が当たったのに商品がなければコンビニの信用問題に関わりますからね。そのため、引き換え商品を陳列するのはもちろんのこと、引換券の商品は通常売れるであろう商品数を予想して、それと別に引換用の商品も仕入れるようにしなくてはいけません。
コンビニでは、年間ものすごい数の新商品が発売され、まさに商品棚の取りあいです。世の中にはたくさんの商品が存在しますが、コンビニのキャパは限られているので、全部置くことは不可能です。ですから、棚を確保することは極めて困難なのです。
ところが全国のキャンペーンとなれば、商品を確実に準備しておかなければならないので、確実に商品棚をキープすることができます。仮にジュース一本150円を24本注文して、その中の4本を引き換え用とします。
150×24=3,600円 150×4=600円
3,600円分仕入れてもらう代わりに、600円分メーカーは値引きすることになりますが、商品棚を確保できずに売上0よりかは3,000円分売れただけでも十分なのです。
二つ目のカギは『試飲・試食』にあります。
要は、無償提供品として試しに食べたり飲んだりしてもらって商品の良さを知ってもらうことで次回の購入に繋げるための効果があるのです。
潜在顧客や見込み客の購買意欲を高めることができるんです。
普段だったら絶対に購入しないような商品であっても、「無料」で手に入ったものであれば口にするはずです。興味がなかったり関心はあるけれど新しいものに挑戦する勇気がなかったりする人であっても、金銭を支払って購入した商品ではなく、無料で手に入った代物であれば誰しもが「その商品」を口にしてしまいます。
そこでその商品に対して魅力を感じれば、またコンビニに足を運んでくれるわけです。
では、本人が嫌いな食品が当たった場合はどうでしょう。
たとえば、筆者は紅茶が嫌いです。仮にその商品が当たった場合、タダとはいえ無理して飲む必要もないけど、かといえ捨てるのはもったいないので誰かにあげます。
ということは、必然的に誰かの購買意欲を高める可能性でてくるのです。
さらに商品を他の人にあげるときに、周囲に人がいれば確実に認知度はあがります。もちろん飲んだことのない人がいれば「ちょっと飲んでみたい」と試飲に繋がったりもするのです。つまり、商品を持った人間が広告塔になる可能性があるということですね。メーカーの商品に興味をもてば、それを販売しているコンビニに足を運びます。そしてメーカーもコンビニなどが商品を本格的に取り扱ってくれるようになり、売上が伸びるようになります。
上記のような理由があるから、多少の損は目を瞑って協賛しているんです。
仮にこの商品が、新商品であれば効果は絶大です。
なぜなら、新商品は初速が大事で初めのインパクト(売れ行き)が最も重要だからです。
「なにこれ美味しいの?」「美味しくなさそう」
消費者はまだこの商品の味を知らない状態ですので、とうぜん不信感を抱きます。もともと日本人は新しいものに消極的なイメージを抱く傾向が強く、古きよきものを大切にしたいがために、なかなか一歩を踏み出すことができません。
そのせいで初速が大事である新商品が世に浸透しなくなります。
だから新しいものに対して臆病であり、自分から進んで新しいものに触れてみようとする勇気がないのです。
しかし、それらを払拭する魔法の言葉が世の中には存在します。
それが「無料」です。
この言葉が動因となり、新商品を瞬く間にレビューします。そしてそのレビューが人から人へと伝染し、いつしか人々に愛される商品へと激変するのです。この爆発力が新商品の発展に必要不可欠で、人々の熱気がメディアを感化させ、急激に取り上げられるようになり、社会全体に広まるようになるのです。
売れるスピードが速ければ速いほど、
「それほどすごい商品なんだ」「世間がそれほど注目しているのなら」
となって、乗り遅れられない状況を生み出し、全く興味のない層を購買に走らせることができるのです。
もし初速が遅かった場合、世間の注目度は一度に大きなものになる可能性が低くなり、注目するタイミングがばらばらになり、メディアを動かす力にならず、結果的に売上が中途半端なものになります。
要は数の力ですね。新商品のレッテルが貼ってある状態のほうが実際注目度は高いのです。
初めに大きなパワーが集中しなければ、後はグダグダです。どこかで注目を浴びるかもしれないし、浴びないかもしれない。これではいつ商品に力を注ぐタイミングがくるかはわからず、待ちぼうけになる可能性がでてきます。
それなら、一気に攻めた方が良いというわけです。
だから新商品を世に出すときは無償で提供できる企画を発案することが大事なのです。これがメーカーのため、コンビニのため、そして消費者のためになりますから。
4.おわりに
いかがだったでしょうか。
実はこのようなキャンペーンは消費者だけにメリットがあったのではなく、メーカーもコンビニにもメリットが含まれていたんです。さらに店舗によっては当たりやすい店舗も実在するようですね。はずれクジの数を減らしてほぼあたりしか入っていない状態を作り上げて、客足を増やすような店舗の努力もあるようです。
このように他店との差別化を図ったり、キャンペーンを打ち出したりすることによって売上を伸ばすことが可能になるんです。ただじっとお客様を待っているようでは、売上は平行線を保つばかりか、下がる一方です。
大事なのは、消費者に飽きさせず、常に頭の中に入れてもらうことです。経営の仕方によっては、売上は1にも100にもなるでしょう。
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