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どうしたらあなたの天職が見つかるのか?

最近、内村鑑三全集全40巻が自宅に届いた。

なぜ全集を買ったかというと、大学院の同じゼミで内村鑑三を研究している人が3人もいて、
いろいろな書籍などを紹介されるうちにすごい思想家だと改めて思ったからだ。

元から主だった書籍や評伝など読んでいて、興味のある人物ではあった。

これから数ヶ月かけて、データ化(pdf化)する。

最近の研究の世界では、資料、書籍をデータ化して、キーワード検索によってピンポイントで周辺情報に到達して調べたり、
キーワードを数値化して、思考の分析に役立てたりしている。

私は個人でかなり早くから、書籍、資料のデータ化を進めている。

できる限り、良い本、資料をデータ化して、後進の研究に役立てたいと思っている。

内村鑑三の主題の一つが天職だった。

『天職と一生』内村鑑三選集1(岩波書店)は、天職を考える上で必読の書だ。

主に、内村鑑三の職業と事業論についての話がまとめられている。

本当にすごい本で、職業と事業の本質が語られており、なぜ仕事や事業がうまく行かないのかが、理解できる。

薄っぺらいビジネス書を100冊読んでも、理解できない本質が簡潔に語られている。

内村鑑三は、日本の2,000年以上の歴史の中でも屈指の思想家、宗教家、作家だ。

神と職業、事業の関係がわかりやすく言語化されていて、現在でもというより、現在こそ耳を傾ける必要がある。

たとえば、『商売成功の秘訣』はそのままズバリのタイトルで、商売の本質を語っている。

「商売成功の秘訣とて別にありません、すべての高貴なる事業の成功の秘訣と少しも異なりません、
即ち成功を急がない事であります、成功を求めない事であります、成功しようとて焦心らない事であります、
成功は之を天に任かし、これは日々為すべき事を正直に為すことであります」

まさにこれしかないのである。

『神聖なる商業』では、
「世に探しても無いものは、神のためにする商売であります、神のためにする農業であります、神のためにする製造業であります、
多くの人は伝道は神のためであつて商業は金のためであると思ふて居ります、
彼等は商業で金を儲けてそれを伝道のために寄附すればそれで神のために尽したと思ふて居ります、彼等は商業其物が神聖なるものであつて、
是れが伝道の一つであることを知りません」

事業の結論としては、
『予が聖書研究に従事するに至りし由来』の中に書かれている。

「第一に予を聖書の研究に引き入れたるは矢張り自分が専門として居た実業問題であつた、
予は常々感じて居た、それは他でもない日本実業の不振は資本の欠乏や実業教育の不完全にあらずして、
一に人心道義の頽廃に在るとの意見であつた、結局は、実業問題は即宗教道徳の問題であるとの考で有った」

天職についても再三同じことが何度も何度も語られている。

たとえば、
『天職発見の途』では、
「己が天職を知らんと欲する者多し、言ふ、我にして若し我が天職を知るを得ん乎、我は我が全力を注ぎて之に当らんと。
人よ、汝は汝の天職を知るを得るなり、汝は容易に之を発見するを得べし。汝の全力を注ぎて汝が今日従事しつゝある仕事に当るべし、
然らば遠からずして汝は汝の天職に到達するを得べし、汝の天職は天よりの声ありて汝に示されず、
汝は又思考を凝らして之れを発見する能はず、汝の天職は汝が今日従事しつゝある職業に由って汝に示さるくなり」

要するに、常に目の前のことに全力を尽くせと言っている。

結局、それしかないのである。

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