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外部人材を”活用”するのは、もうやめにしないか?~人を消費する授業・人とつくるする授業~

地域人材を活用する授業と地域人材と協働する授業の違い

コラボ授業は、地域人材と「協働」する授業であるという点に、大きな特徴があります。
似たような言葉で、地域人材を「活用」した授業というものがあります。
この2つ、たった一言変わるだけで、印象が変わると思いませんか?
また、一言の変化で、授業のどの部分が違ってくると思いますか?
私なりの回答をすると、以下のようにまとめられます。

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活用するのは学校のためで、協働するのは共通の目標のため

まず地域人材を活用する授業は、活動の主体が学校です。
地域人材は、学校側の目標達成や、目的を果たす手助けをします。
つまり地域人材が、学校の達成のための手段という位置づけになります。
学校の目的で動いていただくわけですから、地域人材には、それ相応の対価が学校から支払われることになります。
後で解説しますが、ここでの対価とは、金銭的なものには限りません。

余談ですが、そもそも人を「活用」するって考え方が、なんか上から目線で、いけ好かない印象を持っちゃいます…

話を戻しましょう。
次に地域人材と協働する授業では、学校と地域人材の双方が主体となります。
学校と地域人材の双方にとって取り組む価値のある、共通の目標が設定されます。
この時に、学校と地域人材の目的はそれぞれ異なっていて構いません。
例えば「地域の伝統芸能の魅力を住民に伝える」という共通の目標を設定する。
その上で、学校側は「児童・生徒の汎用的な能力育成と地域愛の醸成」を目的とし、地域人材側は「伝統芸能の周知と後継者の育成」を目的とするといったことが考えられます。


活用は対価の受け渡しが必要で、協働は受け渡しが必要ない

地域人材と協働した授業では、活動そのものや活動によって達成した目標が、地域人材にとっての報酬となります。
そのため、改めて対価となる何かを準備する必要がありません。
実際に、これまでに行ったコラボ授業は、ほとんどが無償での活動です。

2年間に渡ってご協力していただいた授業のみ、2年目の年度に交通費だけ予算を付けてもらったことがありました。

このように、地域人材を活用するか、地域人材と協働するかによって、授業の性質は変わります。
講演等でお話をさせていただくと「地域人材へのお礼はどうするのですか?」という質問を、よくいただきます。
それは、この2つの授業のうちのどちらを行うかによって、対応も変わります。
地域人材を、活用しているのか、協働しているのか、この視点で整理してみると良いかもしれません。
私も、この2つを使い分けています。
これまで行ってきたコラボレーション授業でも、ほとんどが地域人材と協働した授業ですが、その過程でどうしてもお手伝いいただきたい場合は地域人材を活用した授業を行い、お礼をしました。

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活用すると人材は手段に、協働すると人材は同僚になる

ただ最近は、(出版してから意識が変わってきたのは)謝礼の必要がない、地域人材と協働した授業こそ、コラボレーション授業にふさわしいと思うようになりました。

ここまで、地域人材と学校が、どう関わって授業を進めるかを活用と協働という視点から整理してきました。
結論は、授業の目標をいかに設定するかによって、関わり方が変化するということです。
そして改めて考えておきたいのは、地域人材(地域の方)と学校が同じ目標の下で授業を展開するって『ステキじゃない?』ってことです。
地域の方が、目指す”まち”を、子ども達が一緒につくっていく。
ここに、教育による社会貢献の可能性が十分に秘められていると思うし、私が「学校は眠っている、できることがもっとある」とお伝えする理由もあります。
地域人材を活用する授業ばかりでは、地域を学校が消費するばかりです。
それでは、地元住民からの信頼も得られないでしょう。だから、「協力者がいない」と職員室で嘆くようになってしまうのです。
地域人材と協働する授業を通して、学校が地域をつくり上げていく。その一端でも担おうとする。
そうするだけで、地域からの学校を見る目は期待に変わります。
学校が”まち”をつくる姿勢が、僕なりの社会に対する子どもの復権であり、学校の復権なのだと考えています。
では、どうすれば授業の目標が、学校と地域で共通のものになるのでしょうか?そのヒントは「答えから問いへ」という考え方です。

ということで次回より、
「第一章 学校と地域が協働する授業の考え方」より
「おっちゃん、それぼくらにまかして!~社会課題を解決する授業~」です。

どうぞお楽しみに!


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