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プロボノはじめました@日本承継寄付協会

一回忌

今日、7月9日は木下万暁さんの一回忌です。

万暁(まんぎょう)さんは、2019年から自分が働いている五常・アンド・カンパニーの創設期からのサポーターであり、亡くなる直前まで社外取締役をつとめていました。万暁さんを追悼する文章(子どもたちに向けて書いている個人ブログ)に以下のような一節があります。

プロボノという仕組みやムーブメントを日本に根付かせることも、万暁さんの願いの一つだった。父さん個人としても、今は五常以外ではスタートアップの社外役員の仕事のみなので、これからはプロボノ活動(専門職ではないのでこの言葉が正しいか分からないけれど)に取り組んでみたいと思う。

https://kkatada.com/post/723556209591025664/献身の人

あれから一年。ご縁あって一般社団法人日本承継寄付協会というNPOでプロボノ(パートナー連携担当)として働いています。一年かかってしまいましたが、こうして万暁さんに報告できてほっとしています。

日本承継寄付協会について

日本承継寄付協会は、「遺贈寄付を日本の文化にする」を理念に、「おもいやりのお金が循環する社会」を目指すNPOです。具体的には、遺贈寄付紹介冊子『えんギフト』の作成・配布や、寄付遺言書作成費用を助成するフリーウィルズキャンペーンなどに取り組んでいます。

同協会の代表理事である三浦さんとの出会いは、今年2月のICCサミット FUKUOKA 2024でした。最終日の目玉セッションであるソーシャルグッド・カタパルトの審査員として、同率優勝に輝いた三浦さんのプレゼンテーションを目の当たりにし、「ビビビッ」ときてしまい(古い)、翌日にはプロボノで働かせてほしいと連絡をしました。

三浦さんのプレゼンテーションの動画はこちらから。7分ちょっとなので、ぜひご覧ください。

テキストはこちら。

プロボノ

プロボノとは、専門家が職業上持っている知識やスキルを無償提供して社会貢献するボランティア活動のことを指します。ラテン語で「公共善のために」を意味する pro bono publico の略らしいです(Professional Volunteerならプロボラだよなぁ…と思っていた自分が恥ずかしい)。自分の場合は、弁護士であった万暁さんのように専門資格をもっているわけではないですが、これまでの仕事においてお金の調達や企業とのパートナーシップにかかわることが多かったので、その経験を生かしたいと考えています(なんて格好のよいことを言っていますが、正直まだなにも具体的な成果を残せていないので気分はまだ試用期間…)。

なお、五常・アンド・カンパニーでは、日本の弁護士によるプロボノ活動の先導役であった万暁さんの情熱を未来につないでいくため、プロボノ制度を立ち上げました。当社の役職員は一定の手続きを経れば、所定労働時間の5%までプロボノ活動に充てることができます。ただ、まだ実際に活用している人が少ないのが課題です。

お金の流れを変える

世の中にはさまざまな社会課題に取り組む、数多くの非営利組織が存在しています。個人として継続的に寄付をしているNPOは10団体以上あると思います。そのような中で、プロボノ先として日本承継寄付協会を選んだ理由のひとつはその「レバレッジ(小さな力で大きな効果をもたらす「てこの原理」)」の大きさでした。

同協会の「フリーウィルズキャンペーン」は、250万円の遺言書作成費用の助成によって50件、総額12億円弱の遺贈寄付を創出しました。あくまで"予定額"ではありますが、これだけレバレッジの効くお金の使い方は、ビジネスや投資の世界でも非常にまれではないかと思います。

https://industry-co-creation.com/catapult/99967

留職プログラムなどを通じて社会課題の現場と働く人をつなげ、課題解決とリーダー育成を目指すNPO法人「クロスフィールズ」の小沼さんが、2022年11月に以下のような問題提起をしています。

すべての社会課題をビジネスによって解決することは不可能であり、市場とは異なるアプローチでの課題解決が目指される領域があることは、十分に認識されるべきだ。そして、こうした公助/共助による社会課題の解決は今後さらに重要性が増していくはずだ。

https://note.com/daichi0715/n/nb2463450e319

ありがたいことに、インパクトスタートアップ/インパクト投資への注目度の高まりに象徴されるように、社会課題の解決と持続可能な成長を両立させようという取り組みは大きな流れになりつつあります。実際、五常・アンド・カンパニーもインパクトスタートアップ協会の幹事会社の1社です。

一方、小沼さんの「すべての社会課題をビジネスによって解決することは不可能」であるという指摘には強く同意しますし、それゆえに、資金や人材の制約によってNPOの可能性が最大限に発揮されていない現状に対して、いち寄付者としてお金を提供する以外に何か貢献できることはないかと考えてきました。

遺贈寄付が普及し、仮に年間50兆円の相続の+1%がNPOセクターに流れるようになれば、それだけで年間5,000億円。+0.1%でも500億円。フリーウィルズキャンペーンが先行モデルとして参考にしている英国では、毎年5,000億円近い金額が遺贈寄付されています。

ちょっとナイーブかつ超巨大な狸の皮算用かもしれませんが、仮にこれだけの資金がNPOに流れるようになれば、そのお金で優秀な方にしっかりと報酬を支払うことができるようになり、それによって高まる非営利活動の成果が、より多くの寄付を引き寄せる好循環を作ることができるのではないかと期待しています。

仲間(フルタイムスタッフ)を募集

ソーシャルグッド・カタパルトでの優勝をきっかけにたいへん多くの方々や企業から注目を集めている日本承継寄付協会と遺贈寄付。それ以前からも多くのメディア露出や協業の申し出を頂いていましたが(正直、中に入って一番びっくりしたのはここでした)、今はそれに輪をかけて日々多くのありがたいお話をいただいています。

ただ、残念ながらそのような機会を生かす人材が圧倒的に不足しており、とても大きな機会損失が発生しています。三浦さんとしても、第二創業期を支えてくれる人材を熱望しているので、少しでも関心のある方は以下のリンク先をご覧の上、info@izo.or.jp までご連絡ください(採用ページは準備中)。

https://note.com/mikimiura8/n/n4c43da6cb7e6

Social Action Meetup 〜ソーシャルとビジネスのダブルコミット〜

ということで、7/23(火)の19:00から、日本承継寄付協会 代表理事の三浦さん、同じくプロボノで同協会の事務局長をつとめているSansan株式会社 社長室室長の小池さんと一緒に、以下のようなMeetupを開催します。

ソーシャルセクターへの転職に興味のある方、企業とNPOにおける経験がそれぞれどのような相互作用をもたらしているか知りたい方、日本承継寄付協会の活動に興味のある方は、ぜひご参加ください!皆さんと「これからの働き方」について意見交換できるのを楽しみにしています。

できたてホヤホヤのこちらの名刺をお渡しするのを楽しみにしています


このnoteによって皆さんの人生が少しでもHappyになればとても嬉しいです。