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世界を変える力はどこにある?

分業の進んだ現代社会において、学者や専門家はある物事について深く考えるのが仕事だと考えている(それだからこそ「専門家」と呼ぶのであろう)。会社で仕事をしている人が仕事を終えた後のプライベートな時間を削って考えるよりも、経済学者が仕事の一貫として世界経済の目指すべき道、あるべき姿について考える方が圧倒的に洗練されているであろうことは、誰も否定の余地はないことと思う。

しかし現在、学者や専門家の発言力、人々への影響力は著しく低下しているように見られる。その原因は専門家も非専門家も薄々気づいているであろうが、専門家が専門に特化しすぎてしまい、あるいは思考が抽象化されすぎてしまい、実社会に適合するような考えを提示できなくなっていることにある。この責任は学者にのみ押し付けられるべきものではないが、この問題点を解決しないことには学術によって世界をより良くしていくことは不可能である。

ではどうすれば良いか。私は目下の解決策として学問を実社会に適用する勉強会やサロンが現実的だと考えている。最近はベストセラー本の読書会や、有名人によるオンラインサロンが活発に行われており、小さなコミュニティが随所に作られつつある。このような活動を専門家を中心にして構成することで、人々の間に世界をより良くするアイデアが浸透していき、少しずつ世界が良くなっていくのではないかと思う。

今でこそ学者や専門家が中心にいるサロンや勉強会は数が少なく、サロンの中心人物は本や論文を読んで学んだ人であることが多い。しかし非専門家による解説では、その解説者の思考の範疇に止まり、本や論文の持つ可能性が大きく削られてしまう。そこで今後は本や論文の著者自身がサロンや勉強会を開催して新しい正確な知を敷衍していくことで、その知が広い汎用性を持って社会に生かされていき、世界がより良くなっていくという流れが生まれ、加速していって欲しいと期待している。

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