【出生率】#1 日本と諸外国の出生数と出生率

現在、日本は超高齢社会で、4人に1人は65歳以上という計算です。
少子高齢化は1997年から始まり、少子化対策の議論が何年もされています。
2022年は統計開始初の出生数80万人を割る約77万人、少子化がより深刻な状況であることがわかると思います。
(出典:出生率、過去最低1.26=コロナ影響で17年ぶり低水準―22年、赤ちゃん80万人割れ・厚労省 | 時事通信ニュース (jiji.com) )

今回、常に話題となる少子化について調べました。
#1では、これまでの出生数や出生率の推移について説明します。

日本の1960年から2020年の出生数と合計特殊出生率の推移。
(出典:厚生労働省、World Development Indicatorsより作成)

日本で出生数と出生率が高い時期だったのは、
第1次ベビーブーム第2次ベビーブームです。

第1次ベビーブーム(1947~49年)では、1年間で約270万人の子どもが誕生し、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に生む子どもの数)は約4.3でした。
第2次ベビーブーム(1971~74年)では、1年間で約200万人の子どもが誕生し、合計特殊出生率は約2.1でした。
(出典:厚生労働省 令和3年(2021) 人口動態統計(確定数)の概況)

出生数は、第2次ベビーブーム以降徐々に数字を落とし、2016年に初めて100万人を切り、その後も少しずつ出生数が減少しています。
合計特殊出生率に関しても、第2次ベビーブーム以降少しずつ数字を減らし、2005年で最低値の1.26を記録しました。その後、横ばいから僅かな上昇傾向に転じましたが、2022年では再び減少しました。
(出典:厚生労働省 令和3年(2021) 人口動態統計(確定数)の概況、
出生率、過去最低1.26=コロナ影響で17年ぶり低水準―22年、赤ちゃん80万人割れ・厚労省 | 時事通信ニュース (jiji.com))


合計特殊出生率は上昇傾向にありますが、出生数が減少しているため、僅かな合計特殊出生率の上昇は出生数上昇に転換しないと思われます。
第2次ベビーブームで生まれた人が出産適齢期で生んだ子どもは年間110~130万人であり、第1次ベビーブームと比べ70~80万人くらい減っている計算となっています。
この調子でいくと、このまま合計特殊出生率が上がらないとなると、2030年ごろには出生数が60万人くらいまで下がる可能性も考えられます。


それでは、外国での出生数や出生率の変化はどうなっているのでしょうか。

アメリカ、フランス、スウェーデン、韓国の出生数や出生率を簡単にまとめ、出生率の推移は下記のグラフで比較しました。

アメリカ

アメリカの1960年から2020年の出生数と合計特殊出生率の推移。
(出典:National Center for Health Statistics, National Vital Statistics System、World Development Indicatorsより作成)


出生数
~1975年:約320万人まで減少。
1975年~1990年前半:再び上昇し、約415万人まで回復。
1990年~2008年:380万人まで減少したが、再び430万人まで上昇。
2008年~:減少し、360万人まで減少。

合計特殊出生率
1960年~1970年前半:3.6から減少した。
1975年~現在:1.75~2.1を推移。

フランス

フランスの1960年から2020年の出生数と合計特殊出生率の推移。
(出典:Institut National de la Statistique et des Études Économiques、World Development Indicatorsより作成)

出生数
1964年と1971年で約91.6万人と最高値を記録。
1977年~:10年ごとに出生数が増加と減少を繰り返し、2010年前半から減少傾向が続いている。

合計特殊出生率
1960年代~2000年:2.9から1.7に減少。
2000年~現在:1.8~2.0を推移。

スウェーデン

スウェーデンの1960年から2020年の出生数と合計特殊出生率の推移。
(出典:Sveriges officiella statistik、World Development Indicatorsより作成)

出生数
~1970年:増加傾向で11万人超を記録。
1970年~1980年前半:減少し、約9万人まで減少。
1990年前半:増加し、12万人超を記録。
2000年:再び減少し、9万人を割る。
2001年~現在:増加傾向に転じ、約11万人で推移。

合計特殊出生率
1960年代:2~2.5を推移。
1970年~2000年:2から1.5に減少。
2000年から現在:1.5から1.9程度で推移。

韓国

韓国の1970年から2020年の出生数と合計特殊出生率の推移。
(出典:韓国統計庁資料、World Development Indicatorsより作成)

出生数
1970年前半:約100万人を記録。
1970年後半~2000年前半:減少し、50万人を切る。
現在:さらに減少し、30万人を切る。

合計特殊出生率
1960年~1983年:6から2に減少。
2018年~現在:1を切る。



日本は韓国に少し近い形で推移しています。
出生率が上昇するか否かでアメリカやフランスなどの先進国のように安定した出生数を保つか、韓国のように減少し続けることになると思います。
出生数は依然として減少しているため、合計特殊出生率のみで評価しても少子高齢化は続きます。
少子高齢化を改善するには、高い出生数を目指す必要があります。


次回は、日本とそれぞれの国の出生率が変化した文化観や生活環境の変化を紹介していく予定です。



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