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顔は前しか見えない

顔は前しか見えない
なのに思い出すことが増える
年齢を重ねると

思い出すことって、輝いてるんだよね

「さかもとくん、ヘタねー(笑)」
Kちゃん(ガールフレンド)が笑う
宝塚でボート乗ってる

「さかもと、こんな顔して寝てたよ」
新人研修工場実習 夜勤明け、
高千穂峡 同期たちとボート乗ったとき

どれも輝いてる

でもそのときは輝きもくすみもない
ただ、ボート乗ってただけ

ボートって、前に進むために漕ぐのだけど
川なら流れに逆らうとき
湖なら向かい風
押し戻される

これ、似てる

過去へ過去へと流されそうになりながら、
それでも顔は前しか見えない

ギャツビーにずっと惹かれ続けるのは、
ラストの文章にある。

So we beat on, boats against the current, borne back ceaselessly into the past.
だからこそ我々は、前へ前へと進み続けるのだ。流れに立ち向かうボートのように、絶え間なく過去へと押し戻されながらも。

スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』訳は村上春樹さん

顔が向いてる前へ前へと進み続けよう。
流れに
過去に
押し戻されるのは致し方ないけれど。

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