見出し画像

スローなビジネスに帰れ

ぼくは幸せだなあとつくづく思うのは、社会の大きな変化の潮目に2回も立ち会えていること。

第一は、インターネット。2000年に独立起業したが、まさにインターネットが社会に実装される真っ最中にいた。ビジネスが根本から変わる。それまで「通信販売」と言っていたのが「EC、ネットショップ」になり、顧客が参加する顧客参加型市場へと変貌した。

SNSはまさにそれで、発信者と受信者が双方向にやりとりしている。

「ぼくたち」自身が「商品」になった。

Googleは無料で検索したり、地理情報を調べることができるが、その代わりにぼくたちは自分の興味関心(インタレスト・・・検索窓に入れる言葉)を提供している。FacebookやInstagram、Twitter、Tik Tokは無料で使えるが、同じくインタレストを「無償提供」している。ぼくたち自身が商品なのだ。

そして今回。ChatGPT、Adobe Fireflyを始めとするAIが社会に実装された。それまでAIはウラに隠れていたものだが、GPT4リリースで、オモテに出てきた。これからいろんなことが起きるだろう。たとえば、ビズリーチが提供する転職のための「スキル」が再定義され、ひいては転職ということそのものも再定義されるはずだ。

「仕事」「働く」ということが根っこから再定義される。そうなると「学歴」も、再定義される。「良い大学」の意味が変わる。

テクノロジーの進化は、人間の思考の枠組みも変えてしまう。

でもね。

たとえば道元が生まれた時からでも800年、思想の源流まで遡れば1000年、禅は何ひとつ、変わってない。その間、テクノロジーはめちゃくちゃ進化した。室内照明が「火」から「電灯」になったし、人の移動も、「徒歩」から「自転車」「自動車」「LUUP」のような電動キックボードのシェアになった。

なったけれど、でも、禅が大切にしている「坐禅」「初心」「不一不二」「執着しない」「自他不分離」などは、変わらない。変わらないし、これらは商いにとってとても重要な指針だ。

2000年、「インターネットが世界を変える」と騒いでいたとき、ぼくは「まあまあ、そんな中でも変わらないものはある」として『スローなビジネスに帰れ』を出版した。eビジネスのe=高速、に対して「スロー=ほんもの」を提唱した。

さて、では、今回の、AIが実装された社会における商いとは。
ぼくが考えているのは、以下だ。

これだけで一冊の本が書けるボリュームある内容なんだけど、すべてに共通しているのは、「ビジネスがこれまで『効率』『生産性』の名前のもとに切り捨ててきたものたち」を復活させないと、お客さんから選んでもらえなくなるよ、という点だ。

アメリカンなビジネスを兄貴分として、日本のみんなは見習ってきた。たとえば、「ストレングスファインダー」とかさ。あれ、AI実装社会では無意味とまでは言わないけど、違った意味を持つよ。

いま、現場はわけのわからないことになってる。

こんなのがレジに平気で掲示されている商いの現場って、病んでるよね?(笑)

いったん、全部リセットして、初心を見直し、一つひとつ、積み上げていこうよ。

だからあらためて、ここで言いたい。

スローなビジネスに、帰りましょう。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?