アートで大事なこのへんのとこ
コピーライティングで最も気をつけたいのは読後、「読んで良かった」と思ってもらうこと。そう講義で話してる。
でも、芸術、アートは別だ。他に大事なところがある。
仕事のBGMにジャズ24というアプリ流してた。以前はクールな、かっこいい現代のジャズに触れられたのだが、今日は、なんか、イラッときた。なぜかというと、「あまりにヌルい」から。
「午後のジャズのひとときをお楽しみください」といったナレーションが入りそうな、聴いてもきかなくても人生変わらないような、そんな、どうでもいい曲が流れてる。
歌ってるこの人、「お金のためだけ」に歌ってるんじゃないか?
かなりアタマにきて(笑)、ジャズ24を閉じ、変えましたよ。こういうときは間違いなくこれ。
バード(チャーリー・パーカー)は仕事のないセロニアス・モンクを連れてきた。モンク、ぼくは大好きなんだが、「誰かと仕事する」のは向いてない。あくまで自分の音を自分が楽しむ人だから。
プロデューサーが連れてきた、当時売れっ子のドラム、バディ・リッチと合うはずもない。リッチはギャラも目玉が飛び出るほど高い。男は時に「勘違い」する時期があるものだが、おそらくこの時、まさにリッチはそれだった。モンクの音を聴いて、「なんじゃこいつ?」と思った(演奏に出てる)。もちろん、モンクは我関せず。
バードとディジー・ガレスピー、彼らの音はまさにART、一曲めからガンガン絡む。気持ちいい。
というか、このアルバム、1曲め『ブルームディド』と『マイ・メランコリー・ベイビー』2曲で十分だ。
モンクのピアノイントロにつづいて、バードの叙情的なテーマメロディ。「イキそうでイカない」バードを継いでガレスピーが思うがまま吹く。モンクがバトンを受け取り、自由自在に遊び始める。おまえ、いい加減にせいよ、というところでまたバードが割って入る。
ラスト、バードとガレスピーがまさに大人の遊びの絡みエンディング。
ここまでで、充分幸せになれる。聴いて良かった、人生に彩りが生まれた。
あの、どーでも良い「午後のジャズ」で汚れた身体が清められた(笑)。
まだ足りないので、モンク・トリオを。
このCD、もう何年聴いてることだろう。広島にいた頃からだから、30年? いや、40年か。
ドラムをアート・ブレイキーやマックス・ローチがやってるんだよね。ベースのパーシー・ヒースが上手くサポートしてる。ピアノって、「タテ」の音だから、同じく「タテ」で演奏するドラムとベースの「キミの好きにしていいよ」という援護射撃あると、幸せなはずだ。げんに演奏していてこんな幸せそうなモンクは知らない。
ぼくも表現する者として、もちろん「心地よさ」も大事にするけれど、でも、やはりモンク、バード、ガレスピー、ブレイキーたちに学んだ、「アートで大事なこのへんのとこ」も、大切にしていきたい。