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東出批判は、現代版「魔女狩り」

以前、「欧米社会の集団妄想とカルト症候群」(明石書店)という書籍を読んだ際、一部、かつての「魔女狩り」について論じられていたのだが、この魔女狩りと似たような現象が、現代日本においても、起きているのではないかと感じる。

例えば、最近、メディア等のニュースを席巻している、俳優・東出昌大の不倫問題であるが、僕は、これに類する芸能人の不倫問題に対し、まるで親を殺されたかのように批判に躍起になっている方達と、それを取り巻く全体的なムードに非常に疑問を感じている。

もちろん、この度の不倫問題は良くないことである。妻子がいるにも関わらず、奥さんの妊娠中から、3年もの間、別の女性(しかも、同業者である女優)と交際していたというのだ。酷い話だ。奥さんが気の毒である。

だが、それで終わりではないだろうか?

なぜ、この件に対して部外者である者達が、正義の名のもと、SNSを通じて、これ以上の制裁を加える必要があるのか。

では、ここで、近代初期におけるヨーロッパにおいて、魔女狩りが多発した理由をいくつか抜粋する。

①魔女狩りは、中世から近代への移行期に発生している。この時代は、古い世界観と新しい世界観が相克した過渡期であった。特にプロテスタントの拡大により、カトリックとの対立がし烈になり、宗教戦争に発展した。このように、時代の葛藤やストレスが魔女狩りを誘発した。
②教会等だけでなく、むしろ、民衆側も魔女狩りを要求した。彼らは不作や不幸の原因を魔女のせいとし、憂さを晴らそうとした。そうしないとおさまりがつかなかったからである。
③魔女狩りが多発した地域は、民衆の告発と、世俗の当局が魔女狩りのプローモーター的役割を果たしたケースが一体化したところである。

これらの理由は、現代の不倫問題にも照らし合わせる事が出来るのではないだろうか。

つまり、時代の転換期+不景気で、ストレスや憂さの溜まっている民衆のガス抜きが、「魔女狩り」から、芸能人の「不倫狩り」に変わっただけである。

殺人や強盗などの凶悪犯罪者や、私達国民の生活に直結する、政治・経済問題よりも、芸能人の不倫問題が取り沙汰され、叩かれている現象は、異常に感じる。

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