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企画を練るときに読みたい4冊

企画って?

仕事をしていると、思いついたアイデアを企画にして上司や仲間に提案する機会が多かれ少なかれあるかと思います。経営戦略といった大きなものから、業務改革やシステム導入などの立ち上げ、稟議書の作成、イベントや研修、新人歓迎会、などなど。

今回は、私が企画を練るときに読み返している4冊をご紹介してみたいと思います。この4冊は、私が企画の検討やプロジェクトの立ち上げなどで行き詰っていたときに、それぞれの節目節目で出会えた私の恩師が読んでいたり、私に推薦してくれた本たちです(私の企画の出来の悪さに、恩師も見るに見かねたのでしょうね w)。

企画をしたけれど上司や周りにダメ出しされた、企画がぼんやり思い浮かんではいるけれど何かまとまらない、といった企画作成で悩んでいるとき。また逆に、思いついた企画がとっても自信満々で成功を確信し過ぎているとき。そんな悩み解消や自身への戒めが必要なとき、以下の本がお役立ちできるかもしれません。
Kindle Unlimited をご利用のかたは、最初の2冊は読み放題対象ですので、試し読みにも向いているかな、と思います。

1.企画力(田坂広志 著)

タイトルがずばり「企画力」。この本の冒頭、『採用されない企画書は「紙くず」にすぎない。企画力とは「人間と組織を動かす力」のことである。』にあるように、企画実現に向けたプロフェッショナルな向き合い方や覚悟を学ばせていただきました。
また非常に丁寧に、タイトルや各ページに書くべき内容やポイントを解説していただけてますので、それが現在の私の企画検討での「型」にもなっております。

<トピック>
・企画書においては、企みを面白く魅力的に語れ。
・「何を行うか」よりも、「なぜ行うか」を魅力的に語れ。
・P1では、これから何が起こるのか企みの背景にある「ビジョン」を語れ。
・P2では、企みを「構造化された目標」に翻訳して語れ。
・P3では、「目標」を「戦略」に翻訳して語れ。
・読み続けてもらうには、「自問自答」のスタイルが効果的。

・企画書の「隠れた重要な役割」は、「問題を提起すること」。
・「欲張りな企画書(文字と情報にあふれた企画書)」をやめよ。
・「三の原則」を活用する。各項目を三つの要素に整理して書く。
・箇条書きにして書くとき、必ず「番号」を打つ。

この本に出会う前の私は、自分の想いをどうやって相手に伝えるかに集中しすぎていて、相手がその企画を読んでどう感じるか、とか、どう受け入れられるか、といった視点にかけておりました。
ストーリーで読ませるといった、相手が興味関心を持って企画を読み進められるようにする、という相手の立場に立つ大切さに気づかせてくれた一冊です。

2.部下を定時に帰す仕事術(佐々木常夫 著)

この本では、タイムマネジメントなど様々な仕事術が挙げられておりまして、いくつも参考にしているのですが、企画検討についても『仕事の「鳥瞰図」を描く~全体構想を描き出す』方法が、私にとっては非常に相性が良く、いつもこの方法で企画の検討に取り掛かるようにしています。

<トピック>
・大きな紙を用意し、4つのスペースに区分する。
4つの各スペースに、資料1ページ分の情報を書きだす。
・例えば、①狙いや効果、②環境認識や競合比較、③取組概要、④計画。
見晴らしがよく、全体のストーリーが適切かどうかよくわかってくる。
・過去の企画との比較やディスカッションをして全体構成を決定する。

参考までに、私はどんな感じで企画検討しているのかを記しておきます。
1)アイデアを練る際はアナログ派なので、A4またはA3の紙を4つ折りにするか、ノートの見開きを4等分するかをして、企画を書きだすためのスペースを用意します。
2)田坂さんの「企画力」にならい、一番上に企画のタイトルを、そして4つのスペースは、①背景、②目標、③戦略、④計画、に使います。
3)各スペースには、3点ほど箇条書きできる欄を作って空けておきます。
4)全体を俯瞰しながら、思いつくキーワードなどを埋めていきます。ぼんやりとしていたアイデアが具体的な企画としてまとまっていきます。
5)各スペースで伝えたいことをMECEやプロセスで3点にまとめて、3)で用意した箇条書き欄に記入します。
6)4スペースを資料(パワポ4ページ)に清書して、企画書にします。

また、この本では先にも触れましたが、『「捨てる仕事」を決める』『ムダな会議はやめろ』『「隙間時間」を使い切る』といった企画作成に必要な時間を捻出するためのタイムマネジメントのコツや、『常に「上位者」の視点に立て』『「2段上の上司」を攻略せよ』といったスムーズに企画を通すために役立つコツも載っており、効率的な仕事術を身に付けたいかたに役立つ一冊です。

3.「疑う」からはじめる(澤円 著)

澤円さん。言わずと知れた「プレゼンの神様」です。こちらの本では、企画の本質や進め方について、2点を学ばせていただきました。

一点目は、『プレゼンは聞き手への「プレゼント」である。』です。
「企画=プレゼント」を喜んでもらうためには、相手のことを徹底的に知り、相手がどうしたらハッピーになるかを本気で考えること。それが伝われば、相手も信頼してくれる、ということを気づかせてくれました。

<トピック>
・プレゼンの目的は、聞いた人がよろこんで行動すること。
・良いプレゼンとは、聞き手の行動につながるもの。
・「自分の話を聞いた人は本当にハッピーになるだろうか」を問いかける。
・相手はどんなプレゼントがほしいか、常に相手のことを考える。
・顧客は満足を買っている、「体験」を提案して「共感」が生まれる。
・ミス①:「話さなければならないこと」を話してしまう。
・ミス②:相手に「内容を理解させるため」に話す。

とても素晴らしいアイディアだ!と、思いついた瞬間はそう感じているのですが、「お客様は誰か」「そのお客様は本当に喜んでいただけるか」が、具体的かつ十分に考えられていないときは、独りよがりな企画になっていることが往々にしてありました。企画を練るときには、相手は誰で、どうしたら喜んで頂けるか、を以前より真剣に考えるキッカケとなった一冊です。

この本のもう一つ学びは、よい企画が生まれやすいチームになるための、環境設定やリーダーシップに関して、以下の多くの気づきをいただきました。

<トピック>
うまくいかない原因の多くは「思い込み」にある。
・「あたりまえ」を「疑う」からはじめる。
「抽象(本質を抽出)」と「具体」を行き来する。
・ディスカッションで多様な人たちと考えを交換する。
「外のものさし」をもつ、アウトプットする場を外にもつ。
・ギブファーストで先に価値を与える。
・正解を求めたら絶対にイノベーションは生み出せない。
どんどん挑戦して早めに失敗し、さらに再挑戦できるような空気が必要。
・「早めに判断する」ことはとても大切。
・「Why」と「Who」を追求してはいけない。
・過去のルールや価値観は、絶対に時代遅れになる。
・未来志向こそが、これからの時代を生きていくうえで絶対条件になる。

4.ソフトウェア・ファースト(及川卓也 著)

この本については、私自身が企画作成で心がけているのは勿論のこと、若手の技術者にもこうあってほしいな、というメッセージとしてもお伝えしたい2点をご紹介します。

一点目は、『全員がプロダクト志向になる』ことです。

<トピック>
プロダクト志向とは、製品に搭載する機能の善し悪しや技術的な実現可能性を考えるだけではありません。事業がたどり着きたい目標、すなわちユーザーに提供する価値を最大化するために何が必要かを考えることです。

企画の作成においては、後に自分自身がその企画の実行や運用に携わることを考慮して、自分の力量でできる範囲での実現可能性を意識しすぎた仕様を提案してしまうことがあります。
技術的な実現可能性はいったん忘れて、社会や事業への貢献や影響を考えて、ユーザーが本来求めている仕様を形にすることが大切です。技術者であっても、社会やユーザーへの価値を最大化することに向き合い、なぜ作るのか(Why)、何を成すべきか(What)を考えることがとても重要だと、あらためて意識させられました。
(どう作るか(How)は、仲間が良いアイデアや対策を見つけてくれるかもしれませんし、AIなど昨今の急速な技術の進化で解決するかもしれないですから)

二点目は、『エレベーターピッチ』です。これは限られた時間に企画内容を紹介する際に便利な説明方式です。以下のフォーマットを使って【】内に企画内容を埋めれば、企画を7行で説明することができます。

エレベーターピッチのフォーマット
・【潜在的なニーズを満たしたり潜在的な課題を解決したり】したい、
・【対象顧客】向けの、
・【プロダクト名】というプロダクトは、
・【プロダクトのカテゴリー】です。
・これは【重要な利点、対価に見合う説得力のある理由】ができ、
・【代替手段の最右翼】とは違って、
・【差別化の決定的な特徴】が備わっている。

詳しくは「インセプションデッキ エレベーターピッチ」でググっていただけましたら、いくつか解説や事例のサイトが見つかりますので、参考にしていただけたらと思います。
このフォーマットに当てはめて企画を書き出してみたら、非常にわかりやすく、企画の内容を端的に相手に伝えることができました。企画書のサマリーに使うことにオススメですね。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
4冊を取り上げて、あらためて読み返し整理してみて気づいたことは、4冊のどれもが以下の3点が企画において大切だとしているところでしょうか。
・外のものさしをもつ
・顧客視点で考える
・魅力的なストーリーで語る

企画の善し悪しや成否があるのは、この3点が当たり前のようでいて見落としがちであり、また己の視座の高さが問われるからこそ難しいのだということなんでしょうね。

澤さんの書籍のトピックを引用させていただくと、
「思い込み」を捨て、「あたりまえ」を疑い、「外のものさし」をもって、「問題を抽象化(本質を抽出)」して、具体的な企画をたて、「どんどん挑戦」「早めに判断」「失敗したら再挑戦」「未来志向」で進める、ことが大切、ってことなんじゃないかな、と感じています。

自分自身がそうありたいですし、組織やチームに対してもそのようなマインドや習慣を醸成させていきたいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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