ちいさな庭だより。2022年11月号。

[intro] 
 下旬まで比較的あたたかい日が続いた今月。日と場所によっては夏日になったところもあるが、だんだんと曇天が増え、木枯らしと思しき風も吹いて
木々はすっかり葉を落としてしまった。庭に出られるタイミングも少なくなって…と言いたいところ、思いがけないことが起こって「出ざるをえない」11月となった。
 
[街なかの、裏庭より。]
 

 先月号に書いたとおり、11月の上旬に3回目の秋の草花交換会が行われた。今回は初めての場所で、しかも天候によって日程が変更になるなどしたけれど、通りすがりの方からSNSをご覧になってお越しになった方など、恒例の会とはまた違った雰囲気になった。
 街なかでの開催だったので、持ち帰りやすい小さめのものを中心に苗を選んでいたのだけど、意外にも大きな桃の鉢を持っていってくださる方もあった。当裏庭からは、今回はハーブ苗などを少し用意。そしてこの会場では、エリカと思われる鉢を輿入れした。
 

(シクラメン)

 その後は、先月に魚津会場からやってきた苗の植え付けなどを進める。風知草の鉢に同居していたちいさなシクラメンは、鉢上げして室内管理組に仲間入り。ヒモサボテンと多肉植物たちは、専用土を用意して植え付け。交換会からやってきた多肉植物はどうやらセダムの虹の玉、ルビーネックレス、ハオルチアのようだ。とにかく過保護に水をやりすぎないように気をつけている。

(ルビーネックレス)

 一度失敗したきりでほとんど栽培経験がないのに、多肉植物の挿し芽にもチャレンジ。タイミングがよかったのか、枝を挿したものは今のところ活着している。いかんせんこれについては初心者なので、新芽がどんな風に出てくるのか、など、新しい体験がうれしい。
 

(セダム・サクサグラレ・モスグリーン)

 さらに調子に乗って、資材を買いに行った際にセダムの苗をひとつ購入してしまった。ポリポットから出してみると、何かわからないが異なる種類の多肉植物が2種類ほど小さくまぎれこんでいたので、それも別にして植えて様子を見ることにした。
 

(モミジバゼラニウムの花)


 夏の終わりに調子を崩していたモミジバゼラニウム、秋になってなんとか復活し、今月下旬には花をつけるまでになった。前出のシクラメンもそうだが、気温だけでなく水やりの頻度や日照のあんばい、風通しのよさなど、実はそれぞれ結構繊細なところがある。室内管理では限界があるのは重々分かってはいるけれど、できるだけのことをしようと思う。
 

(ツマグロヒョウモンの幼虫)

 
 そして…今回のハイライト、である。3回目の交換会に旧宅のニオイスミレの鉢を出そうと準備をしていたら、ツマグロヒョウモンの幼虫をまず1匹発見し、収容。その後、なんとなく庭のスミレ類に食痕が増えている気がするけど、まさかね…と思っていたら…!初齢から3齢ほどまでの幼虫が続々と発見される事態に。先月号で「来年に期待」などと書いたのを読んだのではないかと思ってしまうくらいだ。結局、総勢17匹を収容した。
 昨年より遅いタイミングなので、正直羽化はおろか蛹化までもどうかとは思ったが、出会ってしまったのだから見て見ぬふりもできない。状況や今後の可能性についても伝えた上でそれでも良ければ、と3匹はニオイスミレの鉢と共に里子に出した。それでも目下14匹。基本的には越冬しない種だし、前回は蛹の状態でも冬を越せなかったのだけど、今季は北海道にまで北上しているとか、3月に終齢の幼虫が長野で見られているといった情報もある。温暖化のせいなのか、それとも虫たちが気温に適応できる身体を獲得しつつあるのか。ともあれそんなわけで、冷たい晩秋の雨の中、庭へ彼らの食草を取りに出なければならなくなったのだった。2022年もあと1か月、というところでこのようなことが起こるとは。うれしいような、困ったような11月になった。
 
 
[ロザリアンへの途…そろそろ冬支度。]
 

 

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