SMシーンのある一般小説集⑤ 峠に棲む鬼3部作/西村寿行
■このテキストは2007年8月に mixi「SMシーンのある一般小説集」というコミュニティに寄稿したものです。後半に加筆します。
今回は西村寿行さんです。
この方、言わずと知れたエンターテイメントの大物中の大物。
作品は壮大でロマンに溢れています。
しかも、作品によってはSMシーンやレイプシーンが多用され、女の子はすぐ捕らえられて「性交奴隷」にされ、激しく犯され、口も性器も時にはお尻までも犯されながら、「男根」におぼれていくという設定が多い。
シリーズ化も多いその作品群のなかでも、峠に棲む鬼からつづく3部作は圧巻です。
とりあえずイチ押しで、「花に三春の約あり」を押しておきますが、一番ハードなのは、「峠に棲む鬼(上下)」でしょう。
「花に・・」は、次の「妖しの花乱れにぞ」との間に位置する作品で、セックスバイオレンスシーンは一番少ないかもしれませんが、ロマンという意味でこんなにすごい小説はないぞ、という感じがします。
高校生くらいの頃に読んで、大人になってからまた読んで、そして今回と3度めだったのですが、途中全く飽きさせない文章は流石です。
ただ、できたら「峠・・」「花に・・」「妖しの・・」と順に読んで、そのハードな世界を堪能していただきたいのですが、残念ながら、「峠に・・」はここのところ15軒以上見た本屋さん、どこにもありませんでした。
古本屋さんに行った方が、可能性高いかも。
全作とも、角川文庫、徳間文庫の双方に収録されていたと思います。
かなり初期の作品なので、売っている版数によって値段はまちまち。
ほかに「怒りの白き都」というのもSMの要素たっぷりの内容です。
2023年の現状を申しますと、鬼才西村さんは既に亡くなられている筈ですが、封印してしまうこともあるご遺族も多々な中、amazonでかなりの作品が電子書籍化され今も読むことが出来ます。若干電子化に伴う誤字は見られるものの、徳間文庫版は往年の表紙も再現され、懐かしく読ませていただきました。
なんといっても、unlimitedに収録して頂いているのはありがたやです。
ちなみにamazonでは「逢魔」シリーズ全4巻とされていますが、順番は間違っています。正しくは上のぼくが並べた順番なので、ぜひ最初の峠に棲む鬼上巻から読んでみてください。
今回改めてわかったのは、そうか「峠に棲む鬼 下巻」での国家との対決は途上だったのだということと、続いていく物語で謎を残したまま世代が交代してしまうこと。
まだ「花に三春の…」までが読み終わったところで、ぼくもあともう一冊楽しみに残してあります。
■性交シーンは、SM小説顔負けのかなりハードなシーンありますので要注意です。
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