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単語の持つ意味

職場での楽しい昼食時に、各々憧れの旅行先の話をしていたらインドネシア人の同僚の一人が、

「バリ島は恐ろしい場所なので、母親から行ってはいけないと言われている。」

とポツリ呟いた。

あのステキなバリ島が??  なぜ?

質問しても
 I don’t know..
と言うばかり。

テーブルには他にもたくさんのインドネシア人がおり、会話に参加していたのに皆ニコニコしているだけで黙っている。
結局その先は誰もこの話題に触れず、会話がストップしてしまった。

その後も “バリ島=恐ろしい“ のことは気になってはいたのだけど、日々の仕事に忙殺され、数ヶ月も経った頃には私の中で、当時のエピソードはすっかり薄れていました。

ところが事態が急展開したのはとある9月の週末のこと、
私がよく行くシンガポール紀伊國屋で、いつもの本屋ルーティン、
無目的に特定の本棚の前に立ち、背表紙だけを速読ばりに読み込んでいく作業、自称 “高速選書“😅 を行なっていたところ、
インドネシア大虐殺” という題名にフックがかかり、数ヶ月前のあの出来事がフラッシュバックしました。

脳が当時の出来事を自動タグ付けしてくれていたおかげで、網様体賦活系が反応し、忘れかけていた当時の出来事にリンクしてくれたようです。

意識下ではすっかり忘れていたのに。。
えらい、すごい!  自分の脳🧠

失礼しました
話がそれてしまいました。。

詳細は省きますが、本書からバリ島がジェノサイド事件の最も悲惨な地区であったこと、
そして私が仲間と昼食をとったインドネシア バタム島には事件を逃れて避難してきた人たちがたくさん移り住んでいる事が分かってきます。

あの時何も知らず、『なんで? なんで?』としつこく聞いていた私のことを、ただただ笑顔絶やさずやり過ごしていた彼らの顔が思い出されます。

ちなみに、歴史のことを書きたかったのでは有りません。

同じ単語なのに人それぞれが持つ、歴史や文化的バックボーンによって全く別の解釈、世界観が生まれていること、私が持つ言語環境から見えている景色と他者の見る景色とでは物理的に同じ物でも、それぞれの脳はまるで違った景色を観せているのだ言うことを実感させられた事を伝えたかったのです。

拙文で上手に表現できたか分かりませんが

複眼思考とでも言うのでしょうか。
読書によって身近な他者の観ている景色が少しだけでも理解できた時、本に出会えた事に感謝します。

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