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近隣、コンビニまでの散歩

夜が怖いものじゃなくなったのはいつだろう。

甘いもの欲しさのストレスに敵わなくてコートを羽織って財布を持たず、電子決済のためのスマホだけを持つ。曲を聴きながらBluetoothの便利さに唸る。空は暗いけど道は明るい。街灯の明かりは中学の頃見た怖い話でお化けが照らされて出てくるんだって思い出す度怖かった。今では光が眩しくて目がちかりとする。コンビニまでの足取りは軽い。うるさい学生集団が強気になって大声で歩いていく。群れを生したものたちとは、どうしてああなるんだろう、私を含めて。
少ない交通量では意味をなしていない横断歩道の電灯が青くなるのを見て渡れば、明るすぎる店内に着く。
期間限定のプリンケーキやらなんたらプリンを通り越してイタリアンプリンを選ぶ。サクサクしたお菓子も食べたくてほかにも少し。並ばずにレジに向かえば金髪のバイト、少し不慣れ。滞りは大してなかったので礼を告げてさっさと外に出れば、帰り道はなんと速いことかしら。夜道に脅えていたのは結構最近まで。今ではこの静けさがそれなりに好きで。見知った街なのに誰も私を発見しないでいてくれるような安心感だとか、ほんの少し大きくなる独り言とか、軽い足取りを隠さずに回ってみたりとか、空の星や月に目をやってそんな自分ごと酔ってみたり。冷たい空気は嫌いじゃない、肺に入ると綺麗な気がする。もう息の白くない、ここちのいいつめたさのこと。

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