タマリバタケで学んだ”組織”について。その5

5)共生農法から学んだ新たな「組織/エコシステム」の作り方
そろそろ、タマリバタケの話に戻したい。従来の畑づくりを”慣行農法”という。一年ごとにすり減る土に肥料を与えることで、土を活性化する。ある意味、外部からの肥料を上げる時点で、持続可能ではないモデルだった。この慣行農法と対するのが、「共生農法」やシネコカルチャーと呼ばれる農法で、ソニーのコンピューター研究所で研究もされている農法だった。自然農法のひとつの種類であり、その方法論が標準化されている。取り組む上でのマニュアルもあったりする。その協生農法の考え方や方法にインスパイアされたリーダーが始めたのだった。
根絶やしから始まった畑とはことなり、共生農法は、正直もっと楽(と思っていたが、じつはそんなに楽なわけではない)。宅地でカチコチになった土地に、すみませ〜ん、ちょっと仲間にいれてください。とばかりに、すこしだけスコップで土を掘り起こし、隙間に入れてもらうかの如く、植物を植えるのだった。コツは、同心円状に中心部から、樹木、苗、種子と多様な種類の木を植えていく。いわば、既存組織に、多様な機能を持った転職者/新人を投入する。そんな感じだった。肥料を投入するわけでもなく、正直最初はそれだけ。まさに「共生」と呼べるような優しい方法だった。その時、植えた植物は、いちじくの木、たまねぎ、ネギ、ニラ、キャベツ、マリーゴールド、小松菜、トマト、といったものだった。従来の畑は、そこが畑とわかるような土むき出しのエリアになって一目瞭然!に比べると、いわば、空き地の一角に、寄せ植えされているサークル状のエリアは、ん?そこは何か植わっているの?状態で、説明されないとよくわからないエリアだった。そのため、あ〜〜そこはいっちゃだめ〜と子供たちがガンガン走り回る空き地でもあったが故の声も聞かれ、ある程度エリアができたときには、レンガで囲み、ここが共生農法のエリアですよと区切ったことでようやくわかるような感じだった。
そこから数ヶ月。秋に植えた植物たちは、冬は元気なく、耐え忍び、春になるとようやく芽が出て、夏みは太陽のエネルギーってっここまでか!と思えるほど、エネルギーを受けた植物たちは、どんどん成長していった。特に肥料を与えているわけでもないのに、トマトもマリーゴールドもいちじくも育つ。ネギやニラが放つ独特の匂いをさけてか、ムシが葉っぱを食べることもない。とはいえ、自然農法なので、トマトが横にからみつくように成長していく。そのままにするのもひとつだが、植物同士が気持ちよく成長できるように、間引きしたりもする。いわば、総務なのか人事なのか、コミュニティマネージャーが居心地を整える状況ににている。世話人がその生態系とうまく会話しながら、整えていくのだった。手入れをするメンバーにコツをきくと、「よく観察すること。観察するとだんだんわかってくる。」だと。人間関係も観察や対話から始まるけど、植物も一緒か〜〜〜と頷いた瞬間だった。

ちなみに、協生農法は、厳格にやりかたが決まっている農法をさすらしく、マニュアルはこちらに。我々がやっていたのは、あくまで自然農の一つで、協生農法も勉強しながらやっている、というのが正確な表現です。

https://synecoculture.sonycsl.co.jp/public/2016%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88%20%E5%8D%94%E7%94%9F%E8%BE%B2%E6%B3%95%E5%AE%9F%E8%B7%B5%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB_compressed.pdf

タマリバタケ:


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