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無意識をとらえる洞察力
これまで国際開発とビジネスの狭間のようなところで生きてきましたが、最近はややビジネスよりの仕事をしています。
今コンサルタントとしてある日系企業をクライアントに担当しているプロジェクトは、途上国の人々を対象とする新規サービスのマーケティングです。援助機関ではマクロな統計データばかり扱っていましたが、現在は打って変わって非常にミクロな観察をしています。
最近のマーケティングの世界では、ペルソナマーケティングといって、サービスや商品の典型的なユーザー像を描き、そのライフスタイルなどを設定していく手法がよく使われています。
ペルソナとして設定したユーザーが、具体的に日々のどのような場面でサービスに触れることになるのかを「カスタマージャーニー」として描き、その接点でどうアプローチするかを考えます。
さて、マーケティングの面白くかつ難しい点は、顧客に直接ニーズを聞いても本音がわからない点です。本人にも説明できなかったり自覚がなかったりするためです。同じような製品が並ぶ棚からなぜそれを手に取ったかと聞かれてもなかなか説明できないでしょう。
これは何もマーケターだけが直面する問題ではなく、誰しも日々の中で感じるところではないでしょうか。
例えば僕は人から進路相談を受けることがよくありますが、相談者が就職先に何を望んでいるかを尋ねても、本人も明確に自覚しておらず漠然としていることがよくあります。
あるいは、本音としては「憧れ」があり、それを肯定するために理由を後付けしていることもあります(個人的には憧れというのは十分な理由だと思うのですが)。
相手のニーズに応えるというのは開発援助でもどんなビジネスであっても必要なことだと思いますが、相手の言っていることをやるだけでなく、相手の気付いていないニーズに応えられるような人になりたいものです。洞察力の研鑽の必要性を感じる日々です。
真鍋希代嗣 (東京)
※この文章はワシントンDC開発フォーラムに2019年2月に寄稿したエッセイ「マーケティング」を転記したものです
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