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進化する富山の市電に乗って…

「前方ヨシ、後方ヨシ」「出発、進行」
控えめに落ち着いた女性運転手の喚呼(かんこ)で、僕を乗せた市電は早朝の「南富山駅前」をスムースに出発した。

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車両は最新式の TLR0600形。原型はドイツで、ヨーロピアンスタイルの落ち着いた感じ。
二車連節の低床式。揺れが少なく静かで、バリアフリーの設計。高齢者にも環境にも優しい省エネタイプである。

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 さて富山県は全国トップクラスの車社会。県庁所在地の富山市は、人口減少と超高齢化、さらには中心市街地の過疎化も進み地方都市特有の課題を抱えている。

そこで市は、「未来の地方都市づくり」に取り組む。施策としたのが、公共交通を軸とした「コンパクトなまちづくり」構想である。
路面電車はその主役である。

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今僕が乗っているこの路線は、大正時代に開通し、衰退時期もあったが進化を続け、2009年には中心市街地を周回する環状線「セントラム」が新たに開通した。

そして、ついにこの三月、JR富山駅の北側を走っていた路線「ポートラム」が接続して、一体運航となり、構想のひとつの節目を迎えた。

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ところで、接続して乗り換え無しで行ける北側の路線は、旧JR富山港線。
終着駅は「岩瀬浜」で、「北前船の街」として知られる港町の岩瀬にある。

岩瀬は富山湾に臨み、外国船が入る富山港や海水浴場、パナマ運河式の閘門見学をコースに含む、富岩運河クルーズの船着き場がある。最近は、日本酒の酒蔵やクラフトビールの醸造所でも話題になっていて、僕には未知の部分が多く、魅力的な街に見える。

…市電は市の中心街の駅「中町」を出た。さあ、次は僕が降りる喜代多旅館の最寄り駅、「荒町」だ。

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リニューアルオープンした喜代多旅館…。ここには、新と旧があり、和と洋があって、世界につながる道がある。僕には何か、富山の路面電車の進化に似た魅力を感じる。

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Yoji

休んでかれ。