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インドネシアのレインボーフラッグから

喜代多旅館では、様々なお客様にご利用していただきたい......と日々考えております。6月は世界的にLGBTプライド月間なのですが、この機会に昔あった印象的なエピソードをご紹介いたします。


Selamat siang. Apa kabar? (こんにちは。お元気ですか?)

昔々インドネシア語を勉強していたにもかかわらず、だいぶ忘れてしまいました……。


インドネシアといえば、私は2つのエピソードを思い出します。

一つ目は、ラマダン。
ムスリム(イスラム教徒)の方は、毎年1ヶ月間断食をする期間があるそうですね。2020年は4月23日からの1ヶ月間がラマダンでした。オリンピックなどの国際的イベントとラマダンが被るとムスリムの方は大変ですし、毎年期間がズレるので今年はいつだろう?と関係のない私まで気になっていました。
インドネシア人のペンフレンドによれば、「ラマダンの間の方が太りやすい!だって飲食が禁じられている日中以外の、早朝と寝る前に食いだめするから!」との話で、思わず笑ってしまいました。



二つ目の印象的なエピソードは、レインボーフラッグ。
レインボーフラッグは、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどのセクシュアルマイノリティ)の象徴の旗です。

皆さんは6色の虹が掲げられているのを見たことはありますか?最近ではナイキやコンバース、GAPやDIESELなど数多くのファッションブランドでもレインボーの柄が積極的に取り入れられていますが、あれは本来LGBTの尊厳と社会運動を象徴するものとして、単にファッションカラーや商業的アピールとして用いられる以上の意味が込められているのですね。

しかし、私が2016年にインドネシアに旅行したときの光景は、“逆”でした。イスラム教では同性愛反対、トランスジェンダーは想定外、道端のレインボーフラッグには大きく“斜線”が引かれていました。日本ではちょうどLGBTが認知されてきた時期だったので(もちろん十分な知識や法制度や医療は日本もまだまだですが)、国によってこうも姿勢が違うのは衝撃でした。

生まれたときからイスラム教を信じてきた、という方々にとってはLGBTは許される存在ではないということでした。ペンフレンドもムスリムだったので、たまたま道で見かけたレインボーフラッグから彼の意見を聞くと、「同性愛?そんなのおかしいよ」という態度だったのを覚えています。

彼にとっては生まれてからずっとそう信じてきたのに、いきなり「違うよ」なんて言われても理解できるわけはないですし、その話は進むことなく終わってしまいました。一方でインドネシア内でもバリ島だけは文化が異なり、同性婚も受け入れられている、との話でした。

あれから2、3年経ってからペンフレンドから突然連絡がきました。
要約すると「以前LGBTについて全然理解できない、という態度をとったけれど、申し訳なかった。色々な人がいるよね」といった内容でした。
宗教的にかなりの葛藤があったであろうことは想像に難くないので、彼がそこまで知ろうと努力してくれたことはありがたく思いました。


私としてはこれから世界的にLGBTの権利が、それを気にしなくても生活できている他の多くの方々と同様に保証されていくことを願っています。

同時に、宗教や生活の背景に何があるのか知っていく必要性も感じたのでした。


お読みいただきありがとうございました。 

スタッフJ

休んでかれ。