テニスタ_post__3_

なぜ、テニススクールに革命が必要なのか?

テニススタジオの目指すゴールや、なぜテニス業界にコミットしたのか、ついて書きましたが、今回はテニススタジオのミッションであるテニススクール革命の必要性について書きたいと思います。

この記事の要約

テニススクール革命とは、ビジネスモデルを変革することです。テニス人口は、1991年に1,300万人いましたが、2017年には530万人まで減少してしまっています。このテニス人口の減少に伴い、民間テニス事業者も2,000社から1,000社まで半減してしまっていて、下げ止まりの気配もありません。そのため、持続可能なビジネスモデルへの変革は急務と考えられます。これまでテニス事業者も、テニスクラブモデル(不動産事業)から、テニススクールモデル(サービス事業)への変革にチャレンジしてきましたが、十分に価値を提供できているとはいえません。また、テニススクールモデルに変えたことで、人材採用という新たな課題も発生しています。

== ここから 本編  ==

1. 革命とは何か?

革命の必要性を説明する前に、そもそも革命とは何かについて確認します。 

革命とは、権力体制や組織構造の抜本的な社会変革あるいは技術革新などが、比較的に短期間に行われること。(wikipediaより

政治でいう革命は、既存の権力体制を壊し、新しい体制を作ることをいいますが、私たちの革命の定義としては、比較的に短期間で、抜本的にビジネスモデルを変革することと考えています。

2. そもそも革命は必要ですか?

さて、ビジネスモデルの革命はそもそも必要なのでしょうか?

というのも、何かを変えることは、それなりに痛みや抵抗を伴うことは間違いありません。私自身も、できうる限り安心・安全に生きていきたいと思っています。

ここから、革命の必要性について、書いていくことになるのですが、そのためにテニス事業者の歴史統計データを見ていきたいと思います。
まず、日本テニス事業協会の少し古いデータからですが、テニス事業者の設立年代は、高度経済成長期後の安定成長期である1970年〜1980年代に一気に設立されています。その割合は、なんと約80%です。

表1 テニス事業者の設立年代
画像1

出典:日本テニス事業協会「 平成11年度中小企業活路開拓調査事業 新たなテニス愛好者創出を目的とした革新的会員制度 ならびに利用システム、および料金体系策定のための調査研究」

これは、いわゆる第2次テニスブームとよばれるものですが、日本が豊かになり、テニスなどのエンターテイメントを楽しむ余裕が出てきたということですね。

日本は先進国(G7)の中でアメリカにつぎ、2番目に人口が多いです。この人口ボーナスと経済成長、テニスブームにより、テニス人口は、一気に増加していきました。 

テニス事業者は、このテニス人口の多さを前提にしたテニス施設を貸し出す不動産事業モデル(テニスクラブモデル)として立ち上がったのです。

しかし、バブル崩壊するとともに、テニス人口がどのように推移したか見てみましょう。(図2.1)

画像6

図2.1 テニス人口の推移
出典:公益財団法人日本生産性本部「レジャー白書」より作成

1993年には1300万人いたテニス人口が、約20年で6割減少。これは凄まじい減少ではないでしょうか。漫画やスター選手の活躍もあり、多少の増減はありますが、テニス業界は人口減少社会である日本の未来を先取ってしまっています。では、このテニス人口の減少によって、テニス事業者はどうなったか見てみましょう。恐怖です。(図2.2)

画像3

図2.2 テニス施設数の推移
出典:総務省統計局「社会生活基本調査」より作成

民間施設をテニス事業者と読み替えて差し支えないと思いますので、この20年で2,000あったものが1,000に半減。50%が消滅するって尋常じゃないです。

テニス事業者が減少してしまっていますが、テニスコート数はどのようになっているでしょうか。(図2.3)

画像4

図 2.3 テニスコート数の推移
出典:総務省統計局「社会生活基本調査」より作成

公共テニスコート数は、22,000面くらいで下げ止まりそうですが、民間テニスコート数は、下げ止まりの気配はありません。1996年比で6割減少しています。このままの計算で減少が続くと、20年後には民間のテニス事業者はほぼ消滅してしまうことになるでしょう。

このように、テニス事業者のビジネスモデル革命は、待ったなしの状態が続いているのです。

3. テニス人口減少の原因は何か?

ここまでテニス事業者に関連するデータを見るだけで、テニススクール革命の必要性については、明らかになったと思います。

では、テニス人口が6割も減少してしまったのは、なぜでしょうか?

日本の人口は6割も減少していないので、これはテニスをする人の割合が減ってしまったということでしょう。これは、スポーツの行動者率の推移(図3.1)から分かります。

図3.1 スポーツの行動者率の推移(1986 年~2011 年)-15 歳以上

画像5

出典:総務省「統計からみたスポーツの今昔」(統計トピックスNo.64)

ゴルフ、テニス、スキー・スノーボードがバブル末期の 1991 年に行動者率が最も高いスポーツとなっています。テニスの行動率は12%から4%弱まで減少しているので、テニス人口の減少ともあっていそうです。また、この図からテニス以外のスポーツ行動率も急激に下がっていることが分かります。

ここで、テニスの行動率に関する年齢別のデータも見てみましょう。(図3.2)そこにはテニス人口の減少の要因が示されていました。

図 3.2 年齢別 テニスの行動者率(1986 年、1991 年、2011 年)

画像6

出典:総務省「統計からみたスポーツの今昔」(統計トピックスNo.64)

テニス人口減少の最大の要因は、10代、20代、30代が、昔と比べてテニスをしなくなっていることです。ちなみに、この傾向は他のスポーツでも見られています。逆に、健康志向の高まりからか、年齢があがると昔と比べて運動をする比率があがる傾向が見られました。

では、このようなテニス人口の減少という構造の中、テニス事業者はどのような取り組みをしてきているのでしょうか?

4. テニスクラブから、テニススクールへのシフト

もともとテニス事業者は、テニスクラブモデル(テニス施設を会員に貸し出す不動産モデル)により、収益を上げていました。

しかし、テニス人口の減少にともない、会員は減少していき、単純なテニスクラブモデルでは、不動産としての稼働率が下がり、収益も下がっていきました。これは、20年前の日本テニス事業協会のレポートですでに指摘されています。

そこで、テニス事業者は、テニス施設を会員貸し出す不動産モデルから、顧客にレッスンを提供するテニススクールモデル(レッスン会員へのサービス提供モデル)に遷移していきます。

このレッスンサービスの提供により、平日夜や土日などの顧客が多く訪れる時間帯の稼働率を上げることで、収益を上げることに挑戦していきます。2018年の日本テニス事業協会の最新レポートでは、約95%以上のテニス事業者がテニススクールを経営しているとされています。

このように、テニス事業者も、テニスクラブモデルから、より施設の稼働率をあげられるテニススクールモデルに変革してきましたが、それでも急激なテニス人口の減少により、テニス事業者数も減少を続けてしまっています。

5. テニススクールモデルの問題

5.1 テニスコーチを採用できない

テニスクラブモデルからテニススクールモデルに変革したことで、新しい問題も出ています。

それは、テニスコーチの採用難です。レッスンサービスを提供するには、テニスコーチが必要です。

日本の様々な業界で人材不足が叫ばれていることと思います。でも、これはなぜでしょうか?人材を採用できないということは、何か問題があるのでしょう。

私も、学生の時に、約6年間テニスコーチをしていました。卒業後は、大手企業に就職しましたが、その時に思ったことは、テニスコーチという職業は、とても大変だったなということです。

もちろん向き不向きはありますが、1日5〜8時間、テニスコートに立ち続けることは、そもそも、めちゃめちゃしんどいです。

そして、そのしんどさが、報酬に反映されない、辛さもあります。

このように、需要 < 供給の受給バランスが崩れている場合、付加価値の低いサービス業のままでは、競合と価格競争となり、サービス提供者が疲弊していき、最終的にサービスを提供できない状態になってしまいます。

5.2 不動産モデルから脱却できていない

テニススクールは、単純なテニス施設を貸し出す不動産モデル(テニスクラブモデル)から、レッスンを提供するサービス業モデルへの変革と前述しましたが、本当にそうでしょうか?

はい、テニススクールモデルでは、不動産モデルから完全に脱却できているとは言えません

というのも、テニスコートという不動産には物理的な限界があるからです。もちろん、テニスクラブの時は、1コート4名で利用していたところ、テニススクールでは、8名〜10名で利用できるようになったことから、施設の稼働率は上がります。しかし、1コートを100人、1000人で同時に利用することはできないし、沖縄の人が東京のテニススクールに通うことはできません。また、人数が増えれば、アシスタントコーチが必要になったり、レッスンの満足度が下がったりするので、収益や利益を上げるのには限界があるのです。

なので、私たちは、ビジネスモデルを、本質的に不動産モデルから脱却していくこと。もしくは、不動産モデルでいくならば、持続可能な形でサービス設計をやりなおす必要があると考えています。

さいごに

ここまで、いろいろとテニススクール革命の必要性について、データをもとに書いてきました。データを見れば一目瞭然で、テニス事業者は、現在のビジネスモデルでは、持続可能ではありません。

テニススタジオでは、テニス業界がかかえる構造的な問題を解決するために、どうすべきか日々考え、行動しています。

次回は、テニス事業者が何をしていかないといけないのか、データに基づき、そして、より具体的に書いていきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?