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「先生やリーダーをやめたくなった時に受ける講座」をやります【前編】

これまでお寄せいただいた声に応えて、あたらしい公開講座をやります。

ご一緒したいのは「いま現場で人や組織と関わる実務者」のみなさんです。(人材育成や組織開発、経営〜ワークショップ、アクティブラーニングの場づくりについて知識・経験の有無は問いません)

【学校】教員や保育士(子どもの教育・福祉に関わる方)
【地域】コミュニティのまとめ役、まちづくりの仕切り役 
【企業/団体】経営者や中間管理職、人材育成担当

その概要は、ぜひ公式WEBサイトをご覧ください。

このnoteでは、この講座の立ち上げのストーリー、そして、本講座で何を学べるのか、その学び方の特徴についても深掘りしたいと思います。

この講座の目的

この講座ですることは、シンプルには以下です。

そして、こんな方々のためにつくっています。

これがどういうことかについて、この講座が立ち上がった背景を聞いていただけると、より理解いただけると思います。

この講座の立ち上げの経緯

これまで私たちは多くの現場において、「先生」と呼ばれる立場にいる方の声を聞いてきました。

最初は、私がファシリテーター/制作会社として関わらせていただいている方々から、声が「聞こえてきた」程度でした。彼らは、それぞれに事業や地域が違います。そして、お互いに知り合いでもありません。

しかし、ある時から「なんだか、この話は聞いたことがあるな」という感じが続いたのです。

それは、たまたまかもしれませんでした。しかし、ただの偶然じゃないとしたら、なにか見えてくるだろうか。そんな気持ちから、その時点のデータをもとに立てたおおまかな仮説(みんなが「それな」と言いそうな10個くらいのこと)をもとに、さらに聞き取りを進めることにしました。

私は、ドキュメンタリー映像作家でもあるので、「取材」という形で、現場に出向いてお話を聞かせていただくようにしました。

たとえば、デイサービス職員が集まって、取り組み事例を聞き合うイベント。その映像記録役としていさせいただき、その後、みなさんの飲み会で業界の事情や本音を聞かせていただくなど。この能動的な聞き取りは、2023年8月までで2年ほど続けています。

そして、その結果、大きく3つの共通項が浮かび上がってきました。

3つの「あるある」困りごと

①場づくりと運営が手探りである

学校のアクティブラーニング、地域のワークショップ、職場のファシリテーション、プロジェクトのチーム運営を、やらなければならない。しかし、成功事例を真似したり、ツールをつかってみても、なんだか手応えに欠ける。実はひっそり「これでいいのかなあ」と思う。何が正しいかわからないので、つい目の前のことに焦ったり、人の声に振り回されてしまう。

②指示待ちの関係に悩んでいる

先生が指示しないと、子供たちが動かない。マネージャーが刺激しないと社員が動かない。ファシリテーターが来るまで、みんなが話し合いをせずに待っている。子どもや住民が「主体」じゃなくて、「お客さん」になっている。もっとみんなが主体的に動いたり、学んだりし始めないかな。

③孤軍奮闘している

「なんとかしたい」という気持ちを持った人に負担が集中する。「思いのある人/やさしいひと」から順番に潰れていく。子どもが好きで、この地域が好きで、この仕事についたけど、正直、やめようか悩んでいる。なんとかしようにも、目の前のことで毎日忙しい。その中で、自分が大切にしていた思いとつながることもできていない。

これらに、お読みの方が思い当たることはあるでしょうか。これもあくまで仮説なので、さらに聞き取りを進めると、これらは変わるかもしれません。

この講座で得られるもの

ともあれ、こうしたことから、まずは現時点で、この3つの「あるあるの困りごと」をシフトしていくための力をつけることを支えるために、この講座を立ち上げることとしました。

①実践の指針を育む🧭 

暗中模索ではなく、「心のコンパス」をもっている。変わりゆく状況、決まった答えのないの中でも、堂々と実践するための軸をもっている。既に持っているツールなどをより効果的に運営するための基盤となる考え方をもっている。

②新しいスキルを育む✋

日々の仕事や暮らしで、イキイキとした人と人のつながりを育むための「話し方」、「聞き方」ができる。そのスキルを高めていくための日々の練習の仕方を知っている。

③実践者のつながりを育む👬 

お互いの実践から学び合い、悩みや思いを聞きあえる。それゆえ、望んだ時に、自分の大切な初心に立ち返ることができる。また、ここでいう「つながり」は、ただの仲良しよりも、「稽古仲間」に似ています。お互いを慰め合うよりは、お互いに高めあうために、より遠慮なく関われるようなつながりの質を目指しています。

この講座の背景となる考え方

この講座の目的を、専門用語で言い換えるとこのようにも言えます。

原理・原則とはなんでしょうか。「まあ、人それぞれ、状況次第だよねえ」という個別具体的な状況によって使えるかどうかが変わるもの、ではありません。それは、より普遍的につかえる根っことなる考え方、さまざまな物事の土台となる基本的な法則のことです。

⚠️この図は「原理原則=土台」のイメージを伝えることを優先するために制作しています。概念上の整理としては厳密ではありません。

たとえば、アクティブラーニングやワークショップの成功事例の模倣したり、見た目に魅力的な教材やツールをそのまま現場で使ったりしても、「あれ?」となることがありませんか。それは「アプリはあっても、OS(それを動かす基盤)がない」ような状態かもしれません。その時に、「原理・原則がない」と言えるでしょう。

毎日、めまぐるしく変わりゆく現場ではたらく私たちが欲しいのは、特定の状況だけで動くアプリではなく、基盤です。逆に言えば、それを学べば、アクティブラーニング、話し合い、ワークショップづくりから、一対一の関わり方まで、さまざまな対人スキルへと適応しうるものです。

そこで、本講座では、新しいやり方を取り入れるための原理原則を学ぼうということです。その旗印となる言葉が、この講座のタイトルとなっている「ホスティング」です。

「ホスティング」とは、日本語でいう「対話をする/見守る/寄り添う」などの言葉が、その要素となる技法です。北欧でキュレーションされ、世界・日本の各地で実践されている「Art of Hosting /アート・オブ・ホスティング」がそのもととなっています。

アート・オブ・ホスティングは、複雑な課題をまえに、多様な人たちが意味のある話し合いをし、自らつながり、変化を生み出すために共にはたらくための関係性づくり/場づくりをする技術。

ホースシステムアプローチ(ワールドカフェ、OSTなど)を効果的に運用するための基盤ともいえるものです。「参加型リーダーシップ」や「(伝統的なファシリテーションと対比して)複雑系ファシリテーション」とも言われています。

さらに、本講座は、アート・オブ・ホスティングに含まれる/近接する領域として、以下の考え方も、背景となっています。
・心理的安全性
・社会構成主義
・生命システム理論(生命論的世界観)
・自己組織化と創発
・言語行為論
・グループ対話の手法 など

「ことばの力」を味方につける

特に、「ことばの使い方」を磨くことを、この講座では大切にしたいと思います。

言葉には、現実社会の関係性を変える効力があります

たとえば、不用意なちょっとした一言によって、人と人の関係がギクシャクさせてしまった、なんていうことを経験した方は少なくないでしょう。

もっと言えば、一般的には、不用意ではないどころか、むしろ「そのように言うことが当たり前」になっている日常言葉ですら、実は、人々の自立や共存を育むという観点からは、害になりえるものがあります。そのことについては、公式ウェブサイトにもう少し書いてあるのでよかったらご覧ください。

そうした言葉の効力を、より意図的に・効果的に扱えるようなることが、この講座で目指していることの一つの目玉です。

内容

毎回のプログラムも概要を紹介します。全6回の講座、毎回2時間程度となっています。内容には、ドキュメンタリー映像を見たり、自然を散歩・観察したりなど、クリエイティブな学び方が豊富に用意されています。

①オリエンテーション/「現場」の話を聞きあう・ニーズとつながる
まずはこの「みまもりのもり」に到着し、あらたな冒険の仲間と出会います。忙しい日々の中でもこの講座にわざわざ参加することを決めた大切な想い、必要性、ご自身の現場でのチャレンジ、それらの背景にある互いの経験をききあいましょう。

②指導と見守りのちがい/ホスティングとは
伝統的な教育スタイルである「管理・指導」と、「ホスティング」の違いを学びます。実際の関わり事例を見ながら、そのコミュニケーションの質の違いを体験・探求します。

③人がいきいきする言葉づかい/リビングシステム理論
これは、既に上で述べた通り「言葉の効力」がテーマです。人がいきいきとつながり、自ら動き出す力を育むために、どのような言葉が効果的かを学びましょう。その背後にある根本的な理論も学びます。

④カオスを味方につける/ケイオディックパス
現場に立つ中で、人々がいきいきとすることを望みながら、一方で「統制が取れなくなくなったらどうしよう」と恐れを持つことがありませんか。現場で起こるこのようなジレンマとどのように関わればいいでしょうか。そのための考え方を学びます。

⑤生成的に聞くちから、ことば/ディープリスニング、言語行為論
「聞くこと」は、受動的な行為だと考えられがちです。しかし、実は能動的な、場への介入であることを学びます。その観点から、どのように聞くかを探求します。言葉の効力についても、さらに深掘りします。

⑥自発的なつながりを生み出す/オープンスペース
話し合いやワークショップへの参加者が「指導されない、管理されない、評価されない場」で何が起こるでしょうか。さまざまにある話し合い手法の中でも、特に自由な場づくり手法を体験してみます。その背後にある基本的な理論も学びます。

◉ビデオでの復習が可能
参加者は、受講期間中、上記についての理論や方法論を共有するアーカイブ映像をご覧になれます(参加者同士の話し合い部分を除く)。

◉コミュニティールームと同窓会(希望者のみ)
終了後も参加者がつながり、学び合い続けられるために、また、フォローアップをするために、申込者はコミュニティールーム(SNSを活用した掲示板)に参加できます。
・また、3ヶ月後を目安に、参加者の「同窓会」を予定しています。その後っどうだったかを互いに聞き合い、フォローアップをしあいます。。

マネジメントからホスティングへ

大胆にまとめれば、この講座は教育者やリーダーが、現場においてマネージャー(管理者)から、ホスト(見守る人/対話する人/学ぶ人)となっていくための実践を学び合う場」となることを目指しています。

「現場」と「実践」を大切にしていることを強調しておきます。つまり、知識として知る・理屈を論ずることができるだけではなく、実際にあなたが向き合っている日々の大切な仕事や暮らしの現場でやってみれることを学びたませんか。

そのためには、もしあなたがこの講座にきていただける場合、ここで学んだことをどこで使おうとしているでしょうか。その意識を持っていただくと、この講座の効果はより上がることと思います。

これが、「まもりのもり」のうちの「みまもり」の部分についてのお話でした。後編では、「もり」の話をしたいと思います。

日程やお申し込みはコチラから。


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