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対話力入門

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「地域で孤立する高齢者をなくす」ということ一つとっても、行政・福祉関係者だけではなんとかなりません。ひとり、一つの組織、一つの業界だけ解決することが難しいこと問題に圧倒されずに、… もっと読む
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新しい可能性を共につくる「対話」①誰もが「よかれ」とがんばっている世の中で

この前、私の家の時計が壊れてしまいました。これには困ったのですが、近所の電気屋さんで、元どおりに直してもらうことができました。この困りごとには、「もとのすがた」という唯一の正しい答えがあります。専門家に任せたらなんとかなるというのは、本当にありがたいことです。 しかし、いまの社会が直面している諸問題には、決まった答えがないものがたくさんあります。たとえば、まちづくりでは、あるエリアを商業施設にするのか、公園にするのか。政策では、経済対策か、ウィルスの感染防止か。もはや専門家

おーい(OHHI)のリーダーシップを回そう。|現場を動かすリーダーシップ類型論

解なき複雑な状況で、望む変化を生み出し続けるチーム/コミュニティ/場づくりには、さまざまなリーダーシップが必要だと考えています。 多様な一人一人が自分なりの強みを活かして、自分らしくチームの目的に貢献していることを、「このチームでは、参加型リーダーシップが発揮されている」と言ったりします。 原則の通り言えば、人の数だけリーダーシップが存在することになる考え方ですが、今回は、おーい(OHHI)という4つに分類できる形で、参加型のリーダーシップについて考えてみましょう。 お

新しい可能性を共につくる「対話」②話し合いのモード/対話の使い時

私はギターを弾くのが好きです。高校生の時からやっている割には上手くないのですが、楽しんでいます。 いろんな場面で演奏してきました。ある時は、友人の結婚式ではポップソングで盛り上げ、ある時はレストランで静かにジャズやボサノバを即興演しました。 コンサートホールでクラシック曲を楽譜どおりにやったり、スタジオ録音で何度も同じフレーズを引き直すこともありました(これらは苦手だった…)。 自分の小さな部屋の片隅で、独りでブルースを弾いたり、焚き火のそばでフォークソングをしたり。好

あたらしい可能性を共をつくる「対話」③三つのお稽古

前回は、どんな時に対話を使えばいいかをお話しました。 今回は、対話とは実際に何をすることなのかについて説明します。それが「対話の原理」です。 対話の原理世界の各地で、組織や社会において意味のある変革を起こすために「対話」を実践してきた人たちがいます。 そのような成功事例たくさん観察してみたところ、それらにはパターンがあることがわかりました。くりかえし現れている共通項です。その話し合いのコツは「対話の原理」と言われています。 3つのお稽古 Art of hosting

あたらしい可能性を共につくる対話⑥「呼びかけ」をしよう

こちらは、対話ついてのシリーズ投稿です。対話的アプローチの中でも、ホールシステムアプローチの運用が前提とされていること、また、あくまで私の実践経験からのメモであることに留意してもらえると幸いです。 シリーズをまだご覧になっていない方は、そちらを先に読んで頂くと、この記事が役にたつかもしれません。 今回は「どのように、参加者を大切な話し合いの中へとお誘いしていけばいいか」について考えていきます。 なぜ今/なんのための話し合いなのか?そもそも大切な話し合いの場とは、みんなで

あたらしい可能性を共にをつくる「対話」⑦対話の質/共に責任を持つ

こちらは、対話ついてのシリーズ投稿です。対話的アプローチの中でも、ホールシステムアプローチの運用が前提とされていること、また、あくまで私の実践経験からのメモであることに留意してもらえると幸いです。 前回はその運用のコツについてお話をしています。今回はあらためて、その原理をもう少し詳しく見てみましょう。 そのいちばん下に気になる記載があります。 今回は、これについて話したいと思います。 ダイアログの質ダイアログの「質」の改善は、大切な考え方です。 私たちはついお話の「

「対話力」入門④挑戦するきみへ「そんなん意味があんの」の返し方

もしあなたが社会や組織の中で新しい価値を作り出そうとしたり、あるいは、私たち健やかで幸せにいることを邪魔している仕組みを無くそうとしたりなど、「チャレンジ」をする人であれば、この質問は問われたことがあるはずです。 そんなことやって、なんの意味あるの? 少なくとも私は、この質問にスマートに対応することが難しい時期が長かったと思います。今もそうかもしれません。 そこで、これが正解と言うわけでは無いですが、私がどういう風に具体的に対応しているかをメモしておこうと思います。特に

「対話力」入門⑤意味は自分でつくらなくちゃ意味ない。

自分でつくらなきゃハラオチしない 前回は、対話とは意味はつくることだと話しました。 さらに踏み込んで言うと、意味は自分でつくりあげなければ、意味がありません。 たとえば、「今回の異動は、君にとってこういう意味があるんだよ」「これが君にとって一番似合う服だ」という風に言われたらどうでしょう。もしかしたら、その時は説得されたような気持ちになるかもしれません。 しかし、あとになって「ん…なんかおかしくね?」と思った体験がありませんか。ものごとや状況に対して「自分で意味づけ」を

いい話し合いをしたいならまず呼吸しろ/ティク・ナット・ハンの教え

自らの内側に平和や落ち着きを保つこと。それは私のような仕事をする人にとっては致命的に大切なスキルだ。 それなしには、むずかしい話し合いは乗り切れない。たとえば、ついおどおどしたり、ヘラヘラしてしまう。気に入らないことに反応してカチンときたり、心にもないことを口にしてしまったりする。不都合なことに気づかなかったふりをして、結論をいそいでしまう。自分がいいと思う方向にコントロールしてしまう。人とぶつかるのを恐れたり、人からの承認をもとめたりして、かんたんな方向に流れてしまう。