書評 吉本隆明『今に生きる親鸞』(講談社学術文庫、2001) 吉本隆明『最後の親鸞』(ちくま学芸文庫、2002)

はじめに

これまで、吉本隆明さんの本を系統的に読み続けてきました。初期の作品『共同幻想論』や芸術論などは、すぐれた作品なのでしょうが、親鸞を中心とした宗教論は、文献解読による解説レベルに留まっていて、際だった視点や考察がなく、五木寛之さんの宗教解釈や作品と差がありません。いくら、世の中の初心者のための入門書・啓蒙書としても、これらの本には何も書かれていません。
 
学界のルールに無知

ここから先は

774字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?