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秋のお出かけは、パーッと忍び屋敷へ。

突然ですが、この情報開示・オープンソース真っ盛り時代に、「隠密」の話である。

先日、日本で唯一「建てられた場所にそのまま残る」本物の忍者屋敷を訪ねてみました。滋賀県の甲賀市にある、甲賀忍者のお屋敷。

ところで……私が忍者屋敷に行こうと思ったのは、もちろん、山伏だからであります。なんといっても山伏と忍者は、深い関わりがあるのです。


【忍術・忍者の起源】
・忍術の起源は諸説あるものの、諜報者(用間)は紀元前2300年頃、古代中国の伝説の帝王・伏義にはじまるとされている。兵法書「孫子」にも、用間の記述があり、忍術の源流になっている
・飛鳥時代に「役行者」が修験道をひらく。気合術・催眠術・医療法などが忍術の基となった
・奈良時代、修験道は神道・仏教・密教などを統合しながら山伏兵法(忍術)を生み出す
・平安時代、山伏兵法は陰陽道と結びつき、より忍術に近くなる
                     (参考:伊賀流忍者博物館)

その後忍術は、時代とともに、火薬など科学的な知識、心理学などを包含しながら発達。江戸時代になると、忍者の役目はおもに諜報活動となり、全国を巡りつつ、不穏な動向などの情報を徳川幕府に伝達していたという。

もともと傭兵のような仕事をしたり、暗殺をしたりもしていた忍者だけれど、そもそもの忍術の思想としては「戦いを避けて、お互い平和に生きるための技術」なのだとか。

ちなみに私、忍術は何もわかりません……


さて、訪れた忍者屋敷はこちら。

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かつて甲賀忍者には五十三家があり、ここはその筆頭格である望月家のお屋敷。外観は一般的な日本家屋だけれど、中に入ればからくりだらけ。
たとえば入り口を入るとすぐ、侵入者をとらえられる「落とし穴」が。

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3メートルほどの深さで、下に行くほど広がるため、登ってきにくいらしい。

有名な「どんでん返し」も、そこかしこにある。たとえば、押し入れの中。

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一見普通の押し入れだけれど、左側の壁が…

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開く。

どんでん返しって半回転なので、追いかけてきた人がその回転のまま入ろうとすると、開かないのです。(逆回しにしないと開かない)
それでアワアワしている間に、家主は地下通路を経て別邸に逃げるという。
いやあ、こんなに追われていたら、おちおち家で寛げませんねえ。

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至る所に縄梯子……天井裏から降りたり。常に逃げられるようにしているのが隠密のスタンス。



ところで、「甲賀」は「こうか」だってご存じでしたか?
「伊賀」「甲賀」だから、「こうが」だと思っていませんでした?
(私は思っていました)
もとは、「鹿深(かふか)」が転じて「こうか」なのですって。
これからは、「こうがにんじゃ」じゃなくて、「こうかにんじゃ」と言いましょう。さすれば、忍者通……に見えます。

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忍者グッズの中に………法螺貝!
というのも、忍者がスパイとして全国を巡る際には、山伏や薬の行商人などに扮していたからだ。

【忍者の変装・七変化】
忍者が諜報活動で全国を旅する際には、「七方出(しちほうで)」といわれる変装スタイルをとる。
1)商人 2)ほうか師(手品師) 3)虚無僧 4)出家(僧侶)
5)山伏 6)猿楽師 7)常型(普段の服装)
それぞれ、うろついていても怪しまれることのない姿で、ほかに連歌師や琵琶法師などの変装スタイルもあった。姿を変えるだけでなく、尺八やお経、呪術、商売、演芸、地方の方言なども習得していたようで……うーん。忍者、マルチ。山伏としては、山伏姿が入っているだけで嬉しい(笑)。

なお、実際に表向きの生業として薬を扱っていた忍者も多く(ここ、望月家もそう)、甲賀地方には今でも薬の工場が数多くあるのだとか。

そういえば、松尾芭蕉=忍者説っていうのがあるのですって。
芭蕉は伊賀出身で、伊賀忍者「百地(ももち)家」の系図にも名前が載っている。「奥の細道」目的地の松島での活動がほとんどないというのも不思議だと言われている点。
では何が目的だったかといえば、伊達藩の調査だったのでは、という説があるのだという。(余談だけれど、私が山伏にしていただいた出羽三山にも、芭蕉は訪れているらしく。芭蕉が山懸けした記録通りに山を歩くことを実際にやってみる会があったそうだが、とてもじゃないがやりきれない=辛いので断念した、と師匠に聞きました。山伏を越えるとんでもない健脚…⁉)


忍者といえばいろいろな武器ですが、手裏剣体験してきました。
あと、マキビシ買ってきた。

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マキビシって、「ヒシ」という水草の実を乾燥させたもので(鉄製のものもある)、武器として使うほかに、携帯食になるらしい……賢い……。

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甲賀忍者屋敷で、忍者秘伝の健康茶を買ってきました。甲賀流の伝書に健康を保つために常用していた薬草飲料のレシピがあるらしく、それを飲みやすくアレンジしたもの。これで健康になって、隠密活動してみよう。



そうそう。甲賀忍者屋敷に行かれましたら、おいしいお蕎麦屋さんを見つけたのでどうぞ。こだわりのお蕎麦職人さんのお店でした。梅そば、おいしかった!

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いまだ夏のような暑い日も続きますが、やっと出かけやすくなってきましたね。お出かけリストにぜひ、忍者屋敷を! ニンニン←子どもの頃観てた

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