なぜ私が毎日スカートを履くのか?
可愛い服が好きだった。
高校生から大学3年生まで、axes femmeに代表されるようなガーリー系と呼ばれる服を着ていた。同じクラスの女子には、「可愛いね」「私もそういう服好き」「私には着れないから羨ましい」とたくさん言ってもらえた。こだわりを持って服を選んでいたから嬉しかったし、全部褒め言葉だと思っていた。サークルの女性の先輩に「全身、柄柄だね」と言われたときも「たしかにー!」と思っただけで特に何も感じなかった。男子から「可愛い」と言われたことはなかった。
大学4年生のときに好きな人ができた。その頃には、ガーリー系の服装は男受けしないということに気づき始めていた。洋服を買うお店を変えて、コンサバ系のブランドで自分が可愛いと思える服を買って、今まで着ていた服は全て家着に回した。好きな人に好きになってもらうためなのだから後悔はないけど、今までずっと好きだったものを全否定されたようで、カルチャーショックだった。
26歳になった今、好きな人はいないし、デミロマンティックを自認してから、「恋人を作らねばならない」というプレッシャーからは少し開放され、モテたいという気持ちもない。でも、私服勤務の職場に、私は毎日スカートを履いていく。パンツスタイルやカジュアルな服装で出勤する女性が多くても、身支度のために朝の時間を捻出してストッキングを履き、女性らしい格好で会社に行く。どうしても、あの日服を変えてから、このスタイルを崩すことができない。
それはきっと、服装のせいで「モテない」というレッテルを貼られないため。もっと言えば、「あの人はモテなさそう」と思われないためだと思う。私が恋愛できない理由を「モテない」という言葉で片付けてほしくないから。
誰かに好かれるためでなく、自分自身のために、私は今日も可愛い格好をして会社に行く。