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清見 苳子
2020年6月1日 11:25
霧は まだ晴れない対岸の街が消え人が消えぬれた橋の表面を車は一台ずつ走り去ってゆくけれども運転席の窓はどれもからっぽ川は わたしをさえぎるうかぶ桃色のネオンサインの文字とときおり姿をあらわす黒い鳥の群れひろがりつづける水の流れの前でわたしは いつからここに立っているのだろう ひだりへまがりますごちゅういください無人のトラックが落としてゆく機械の声霧が晴れない