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ビクトールくん(ビクトール・フランクル)

むかしむかし、あるところにビクトールくんという男の子が産まれました。

4歳のころに突然飛び起きて、もし何の意味もなく死んでしまったらどうしようと悩み、小さいころから人の心の動きに興味がありました。

ビクトールくんはとても頭がよく、人の心を治すお医者さんになりました。

辛いことが起こった時に、「生きる意味は誰にでもどこにでも必ずある。生きている意味を見つけるだけ」と考えることで負けないようにするやり方を考えました。

しかし、だんだんと国が騒がしくなってきました。戦争が始まったのです。
戦争とは国と国がケンカをしてしまうことです。たくさんの人が死んでしまいます。

ビクトールくんは何にも悪いことをしていないのに、捕まえられてしまったのです。ごはんも食べさせてもらえず、無理やり働かされて、寒い中で毛布もないところで寝かされました。

ビクトールくんのお父さんも、お母さんも、友達も、愛する妻も殺されてしまいました。

ビクトールくんはとても辛い思いをしました。もう周りには誰もいません。

しかし、ビクトールくんは知っています、生きる意味は必ずあることを。
そして、どれだけ辛い思いをさせられても、ビクトールくんは自分がどう生きるか選べる自由があります。それは、好きなお洋服を選んだり、食べたいものを食べたりすることも自由です。

ビクトールくんは、お父さんもお母さんも、大好きな妻ももういませんが、目をつぶれば家族を思い出すことができます。

その思いは、だれも盗むことも壊すこともできません。

そしてビクトールくんは元気になり、お医者さんとして人々の心を治していったのです。

おしまい

保護者様へ(大人のコソコソ話)
ビクトールフランクル。聞いたことがない人がいるかもしれません。オーストリア出身の精神科医です。3歳から医者になることを決意し、4歳で生きる意味について考えていたと言います。
彼はユダヤ人であったため、合計で2年半も強制収容所に入れられます。そこでも精神的に揺るがず生還しました。両親や妻が殺されてもです。筆舌に尽くしがたい経験をしているビクトールの本『夜と霧』は世界中でベストセラーとなっています。
しかし、ビクトールは言います。
『真の勇気が試されるのは逆境のときではない。幸運な時どれだけ謙虚でいられるかで試される。』
逆境のときではなく、幸福なとき、成功した時にどれだけ謙虚でいられるか。常にこの言葉を胸に刻んでおかなければ、傲慢になってしまうのかもしれませんね。





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