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総延長およそ150キロ!「ベルリンの壁」跡地を自転車で辿ってみた。(12)/ベルリンの現在を感じられる場所

「東側」と「西側」を隔てた橋

   「ベルリンの壁」を辿っていくと、シュプレー川を渡ることになります。川を渡る際に利用するのは、20世期初頭に架けられた橋「オーバーバウムブリュッケ(Oberbaumbrücke)」です。橋を見てみると、2階部分にゆっくりと走る列車が見えるでしょう。こちらの橋は歩行者や車だけでなく地下鉄も利用する特徴的な橋となっているのです。そんな橋ですが、シュプレー川が東西の境界となっていたため、東西ドイツ時代に橋の上に壁が築かれて、地下鉄と車両の通行は不可能でした。唯一「西側」の住民が歩行者としてのみ、この橋を渡ることができたのです。

シュプレー川に架かる「オーバーバウムブリュッケ」
2階部分には地下鉄が走っています。

「イーストサイドギャラリー」に残された壁

   かつての「西側」から「東側」へと橋を渡ると、見えてきたのは「ベルリンの壁」が残る「イーストサイド・ギャラリー(East Side Gallery)」です。「ベルリンの壁」を訪れる場合、最初に挙げられるような場所で、壁を語る上で最も有名な場所と言えるでしょう。こちらでは、対岸の「西側」へ逃亡することを防ぐために壁が築かれていました。ドイツの再統一後も川岸には1.3キロもの壁が残され、その壁をキャンバスに世界各国のアーティストが作品を描いています。そんな場所を歩けば、作品をバックに写真を撮る人々を見ることになるでしょう。ここは多くの観光客が訪れる場所なのです。

「ベルリンの壁」には世界各国のアーティストの作品が描かれています。
川沿いに延々と伸びる作品が描かれた壁。

押し寄せる観光客

 観光客が訪れるとあって、周辺には観光客向けのお店が揃っています。壁の横にある川岸にはお洒落なレストランもあり、水辺の風景を楽しみながら食事を楽しむことができるでしょう。「イーストサイド・ギャラリー」に沿って歩いていくと、広告を表示するLEDの看板が目に飛び込んできます。訪れる観光客が多いからこそ、看板が設置されているのかもしれません。このような場所ですが、訪れる観光客は今後さらに増えるでしょう。数年前には「イーストサイド・ギャラリー」の最寄駅に巨大なショッピングモールも誕生しました。これによって壁の観光だけでなく、ショッピングモールでのショッピングや食事もできるようになったのです。 

訪れた観光客は水辺でくつろいでいます。
一際目立つLEDの広告表示。

再開発の波

 「ベルリンの壁」を囲むのは観光客だけではありません。ここはベルリンの中心部の中心であり、壁跡地の空き地は魅力的な場所です。以前には壁に沿ってまばらに建っていた建物ですが、今では壁に沿ってモダンな建物が建ち並んでいます。壁の合間から見えるのは、コンサートやスポーツ競技を開催する巨大なイベント・ホール。このホールの横には、先ほど説明したショッピングモールが建てられています。このように多くの建物が林立する場所には、その背後にビルの建設を行うクレーンも見ることができます。おそらく数年後には周辺に建つ建物も増えて、「ベルリンの壁」を囲む風景は大きく変わっているでしょう。

壁の背後には建設中の建物が見えます。
壁の間から見える真横に建つイベント・ホール。

ベルリンの今を最も感じられる場所

 ここは前回紹介した場所と同じように、ベルリンの現在が過去を飲み込んでいる場所と言えるかもしれません。「ベルリンの壁」よりも、観光客の姿や、再開発によって生み出された現代的な街並みが強く印象に残るのです。個人的に「イーストサイド・ギャラリー」はベルリンの現在を確認できる場所であって、過去を感じる場所ではないと思います。そもそも壁の歴史を学ぶ場所は「ベルリンの壁記念館」などがあり、そこで学ぶことができるでしょう。一方で、この場所ほどベルリンの今を感じられる場所はありません。だからこそ、ここ「イーストサイド・ギャラリー」に訪れる場合には、ここでしか感じられないベルリンの今を感じ取って欲しいと思うのです。

壁に沿って建つ現代的な建物。
再開発のため、周辺は多くが工事現場となっています。


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