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ブルージャイアントを12年探したら、エストニアについた

『夢・情熱』がある人が最強だと思っている。
例えばブルージャイアントの宮本大のように、こんなセリフを言える人生でいたかった。そう21歳の春に痛感した。

BLUE GIANT(2)(ビックコミックス) 123ページ

出典:石塚真一『BLUE GIANT(2)』(ビックコミックス,小学館) 123ページ

こんなセリフを言えるほど目指すものがある人が眩しく、羨ましかった。
取り柄なんて何もない。受験は失敗し、部活は人間関係で辞めている。夢や情熱とは無縁のただの田舎者。
12年前、羨ましいという感情から、自分も宮本大のようになろうと思う転機があった。

2009年3月9日に就活帰りにタクシーにはねられ、その週末の14日未明に大好きな祖母が突然他界した。
前歯と大切な祖母を失う、最悪な1週間だった。

大切な人の葬式に前歯がないアホ面。
生きてる間に自慢できるネタを提供することはもちろん、働く姿すら見せることができなかった。
思い浮かぶのは祖母との思い出ばかり。突然すぎる。
なんでもっと頑張ってこなかったのだろう?事故もあり、強く後悔した。

そんな失意の中、葬式で祖母の友人に「事故はばあちゃんが守ってくれたんだよ、大切に生きないとね」と言われた。
人生でこんなに泣くことはもうないだろう、それほど泣いた。
これまで出会った人には事故をきっかけに海外でチャレンジしてると言ってるが、本当の理由は違う。大切な祖母の急逝。
事故だけじゃ怠惰な僕を変えようとはしてなかった。
その辛さを忘れるため、それまでの人生を終わらせ、別人格として再スタートした。

出来れば生きている時にスタートを切りたかったが、これを機に生きる理由『ブルージャイアント』を見つけるため動き始めた。
ブルージャイアントとは“あまりにも高温なため赤を通りこし、青く光る巨星。青色巨星のこと”。
作中では「仲間うちで、世界一輝くジャズ・プレイヤーを『ブルージャイアント』と呼んでいました」と話しています。

BLUE GIANT(3)(ビックコミックス)  147ページ

出典:石塚真一『BLUE GIANT(3)』(ビックコミックス,小学館) 147ページ

僕の目指す先はジャズではないが、読むたびに僕に火をつけてくれる大好きな作品であり、僕がイメージする『夢・情熱』を示すのにこれ以上の言葉がなく使わせてもらっている。
とにかく大好きな作品なので、知らなかった人は読んでほしい。こんなセリフをサラッと言えるようになりたい、そう思うような響いたものをいくつかピックアップさせてもらった。

再スタートから12年で6カ国(オーストラリア・カナダ・アメリカ・日本・タイ・エストニア)で働き、うち2カ国(タイ・エストニア)では起業した。今はエストニアにいる。
これだけ動いて見つけた僕のブルージャイアントは『日本コンテンツの価値の最大化』だ。
日本が誇るアニメ・ゲーム・漫画はもっと世界で評価され、ビジネスができる。色んな国に行き、タイでは制作事業も行い、確信している。
ただ一人じゃできない。一緒に海外で戦う人・コンテンツと出会いたい。その一心で書いた。

どうやって実現していくか、自己紹介やこれまでの道のりも合わせて書いていく。

ジョブスを信じてとにかく飛んだ

山口県光市(旧大和町)という人口8000人の田舎出身。
もちろん両親は山口出身の日本人。
勉強は高校・大学ともに偏差値50程度の平凡。(光高校・名城大学理工学部卒)
目を引くのは清弘という珍しい名字くらい。

凡人が転機からすぐに海外を目指したわけではない。
何をすればいいかわからないから手当たり次第に本を読んだ。そこに人生を変えるスピーチが紹介されていた。

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出典:Steve Jobs' 2005 Stanford Commencement Address

有名な「Stay Hungry, Stay Foolish」のフレーズはもちろん、彼の生き方に感化された。
内容をノートに書き留め、それを毎朝声に出して読むほどに影響を受けた。
僕みたいな怠惰な人間が大学へ通う日常に戻ってはいけない。自分が全力を出しきる環境にしないといけない。とにかく追い込みたかった。
英語も話せない僕にとって全力を出せそうな選択が海外だった。ただ学校に通うのではなく、ワーキングホリデービザを使い現地で働くことにした。
葬式から2週間、12年前の今日3月30日に休学届けを出し、5月末の便でオーストラリアへ行った。

語学学校に6週間通い、その後はゴールドコーストの寿司屋で働いた。
働く以外は英語の勉強、そして本を読みまくった。けど、足りない。英語が0からマシになっただけ。もちろんブルージャイアントを見つけることもできなかった。
だから、もう1年休学を決め、ワーホリを使ってカナダのトロントでとにかく働いた。
日中はカフェ、夜はホットドックの屋台で四六時中働いた。

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トロントのカフェの同僚と

身を粉にして働いたが、それだけではダメだと思い、帰国前にニューヨークの広告代理店でインターンをした。
2年の休学でやったことはフットワークの軽いフリーター。まだブルージャイアントは見つかっていない。けど、2年間で自分を毎日追い込むことができた。

BLUE GIANT(7)(ビックコミックス)  121ページ

出典:石塚真一『BLUE GIANT(7)』(ビックコミックス,小学館) 121ページ

この気持ちでやっていた。たくさんの素晴らしい人たちに囲まれた2年間に後悔はない。

その上、人生の目標となる方達にニューヨークで出会えた。
それこそ宮本大のように目標に向かい、毎日出し切っている。ニューヨークという競争の激しい場所で戦っている姿がとても眩しかった。

情熱大陸でも特集されたアーティスト 松山智一さん 
NIKE・UNIQLOなどとコラボされたアーティスト 山口歴さん 
超有名アーティストなどのヘアスタイリスト 中本智大さん 
世界中で個展を開いている写真家 今坂庸二朗さん 

他にもたくさんの方にお会いしたが、23歳のタイミングでこれほどカッコいい人たちに会えたことは幸運でしかない。
彼らのように自分の力で、世界でチャレンジをしたい。そう強く思う出会いだった。勝手に憧れて、今も追いかけている。

僕のキャリアは周りの“才能”ともにある

2年間の休学・海外生活が終わり、復学し2012年3月に卒業。
4月に日本駐車場開発株式会社に入社した。新規事業や海外に行きたかったが、配属されたのは人事部だった。
自己成長や海外につながることをしたかったが、新卒一年目から経営陣や管理職と採用活動を一緒にでき、会社や組織を知る貴重な経験となった。
上司や周りに恵まれた良い環境だったが、業務に慣れれば慣れるほど自分にとっての一番の挑戦とは思えなくなり、タイへ行くため1年半で退職させてもらった。頑張って変わったのに、慣れて動けなくなることが怖かった。

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最終出社日に上司と

タイへの渡航前にFacebookに意気込みを書いた。ありがたいことに、そこからタイにいる方を多く紹介してもらった。
その中で投資家に出会い、彼らと共にJ CREATION CO.,LTD.を2014年3月にバンコクに設立、ゲームイラスト事業をスタートした。

当たり前だが、スタートしてから何もうまくいかない。
社会人になって経験したのは採用だけ。営業やマネージメントなんてしたことない。もちろん潰れそうになったこともある。
最初はゲーム会社から仕事が取れず、当時流行っていたLINEスタンプの受注制作で踏ん張った。
良いことよりも辛いことの方が圧倒的に多かったが制作実績も増えていき、スタンプではなくゲーム案件が増えていった。
今ではゲームイラスト以外にも領域を広げ、3DCGやアニメの制作もさせてもらってる。

7年事業継続ができているのは、周りにいるタイ人クリエイターが優秀だったから。
当たり前だが、彼らが良いものを作れなければ受注も納品もできない。クライアントにも迷惑をかけてしまう。継続できているのは彼らの力。
東京での人事経験、タイでの起業も周りに助けてもらってなんとか生かしてもらってる。

今では設立当初では考えられないような案件にも携われるようになった。
その中で一つ大きなプロジェクトがある。
2021年3月8日から公開されている『シン・エヴァンゲリオン劇場版』だ。

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©カラー

コーディネーターとして、タイのパートナースタジオと共にアニメーション制作に携わらせてもらった。
幸運なことに地元山口のスター庵野監督の作品、しかも『エヴァンゲリオン』のエンドロールに名前を載せてもらえた。

こんな大きなプロジェクトができるなんて夢にも思っていなかった。
ただ、これを一つの案件として終わりにしたくない。ここをきっかけに動きたい。
“タイから日本へ”はできるようになった。次は”日本の才能と共に世界へ”挑戦したい。

散々もがいてわかったのは、僕に突き抜けるものはない。
けど、突き抜けているブルージャイアントな人に出会える運は持っていると思う。
その中でも日本コンテンツ(アニメ・ゲーム・漫画)やクリエイターこそ日本の宝であり、価値がある。世界でもっと評価されるべきだと確信している。
そんなこと世界も“良い”って知っている。良いなんてもんじゃない、日本コンテンツをもっと“凄い”と世界中で思ってもらえるように仕掛けていきたい。

BLUE GIANT SUPREME(2)(ビックコミックススペシャル)  121ページ

出典:石塚真一『BLUE GIANT SUPREME(2)』(ビックコミックススペシャル,小学館) 121ページ

次の舞台はヨーロッパ。そう思い条件が合ったエストニアにきて会社を作った。

人生、“可能性”しかない

エストニアで作った会社、社名は”Amata OÜ” 
日本語で“数多“、タイ語Amata(อมตะ)で”不滅”。
*OÜはエストニア語で株式会社。

⽇本コンテンツ・クリエイターの価値を世界で⾼めるために作った。

現在、日本のコンテンツ・クリエイターたちを取り巻く環境は決していいものとは言えない。
⻑時間労働・低賃⾦、そんな環境の中で彼らはコンテンツを生み出している。
その一方、“君の名は”・“鬼滅の刃”などメガヒットが生まれ、Netflixなど配信サービスのランキング上位にはアニメが並ぶ。
しかし、このような現状は果たしていいと言えるのだろうか?

僕がブルージャイアントに人生を変えられているように、日本コンテンツには人の人生を変える力がある。
そんな素敵なものを生み出すことのできるクリエイターは、相応の対価を得られるべきだ。
そして、この状況を変える鍵は海外にあると思っている。

目を見張るべきは2010年前後で2000億円しかなかった「海外」がたったの10年弱で1兆円規模へと成長したことである。アニメをとりまく消費は海外ユーザーの需要と結びつくことで2010年代を通して5倍になった。海外ユーザーが国内よりも消費額が少ない点から逆算すると、少なくとも日本の2〜3倍規模のアニメユーザーがこの10年に海外で形成されたとみてよいだろう。
出典:中山 淳雄. オタク経済圏創世記 GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.579-583). Kindle 版.

海外にもっと力を入れることで、クリエイター・コンテンツにとっていい変化があると信じている。そして、世界中のファンも喜んでくれる仕掛けをしていきたい。
会社の説明とともにイメージを紹介していく。

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Vision / Creative Amata :数多の価値を創る
Mission / Life is full of Possibilities:作り手・コンテンツの価値を最大化する

これはGame of ThronesのTyrion Lannisterのこの一言から抜粋した。
"Death is so terribly final, while life is full of possibilities."(死は恐ろしく最終的なものだが、人生は可能性で満ち溢れてる)
Lifeであるクリエイター・ディテクター・コンテンツの可能性(Possibilities)の価値の最大化をしていく。

具体的にどう進めるか。

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・アニメ・ゲーム制作事業:日本の足りないリソース問題を海外のクリエイターで解決。そして日本の監督+海外のクリエイターで現地向けのコンテンツを制作。
・コンテンツビジネス:視聴後の価値提供をし、ファンにもっとファンになってもらう企画・運営。

価値提供をしたいのは3つ。

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1:制作場所の多様化
世界中から日本コンテンツのニーズが高まっているが、リソースが足りていない。海外のクリエイター・パートナーを見つけ、日本のリソース問題を解決する。
タイで行ったことを他国でも体制を整え、日本コンテンツをもっと作れるようにする。世界中で腕の良いクリエイターを見つけることでファンが待ち望む作品のアニメ・ゲームが増え、みんな喜んでくれるはずだ。

2:海外でも“ウケる”ようにする
ファンは世界にもたくさんいる。もっと作品が好きになりたいのに、言語・距離で十分な情報・物が届いていない。ファンにもっとファンになってもらう企画・物販・SNS運営をしていく。

3:世界でローカル向けの日本アニメを作る
多くの国に行ったが、日本ほど自国コンテンツに溢れた国はない。
漫画など原作は数え切れないほどある。1年間に300本を越えるTVアニメタイトルが放送され、80本以上の劇場版アニメが公開されている。
一方、他国は数が少なく品質も高くない。ほとんどが海外からの翻訳されたコンテンツを観ており、その一つが日本アニメ。
そんな国の中で自国民向けに日本アニメを作って欲しいニーズがあるはず。
海外でも日本アニメを作れる体制と日本の監督・ディレクターの組み合わせ、そして国によって“ウケる”や“習慣・文化”を理解できれば、将来その国・エリアに向けてのアニメができるんじゃないだろうか。

そして、アニメの可能性をもっと高めるには何をすればいいか?

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海外ではファンになってもその作品にお金を使える選択肢が少ない。彼らはもっと情報・商品・機会を欲している。
配信サービスの登場で視聴ハードルは以前と比べてグッと下がった。日本アニメファンが世界中で間違いなく増える。
ファンになった後、グッズの購入・現地のイベント、将来的に訪日インバウンドへと繋げていく流れを作りたい。ファンがもっとファンになれるように、更なる価値提供をしたいと考えている。
まずは彼らの日々の鑑賞をより楽しいものにするため、日本語や背景を知らないとわからないアニメ・漫画の情報をまずはSNSで発信している。現在は英語のみだが、今後は他言語でも展開をしていく。

日本のクリエイター・監督はもっと世界で評価されるべき。できてないのは多忙だから。手が空いておらず、行けてないから。
海外のクリエイターは日本コンテンツを作りたいができていない。それは語学や距離の問題。タイで事業をして思う、腕の良さに国籍は関係ない。
彼らをつなげることができれば日本クリエイターは世界でさらに評価され、日本コンテンツ好きな海外のクリエイターは喜び、世界には日本コンテンツが溢れファンが喜ぶ。みんなで利益を享受できるはずだ。

海外では日本コンテンツは海賊版で観られたりしているが、それは彼らに方法がないから。それでも観ている。それがこれからは配信サービスでもっと容易になる。コンテンツは海外のファンにもっとファンになってもらうことで更なる価値が生まれる。

Life is full of Possibilitiesができる。Creative Amataしていきたい。
そして、世界で『日本アニメ最高!』となる人を一人でも増やしたい。
日本の宝である原作者・アニメ監督・クリエイター、彼らにはもっと価値がある。
SNSで世界に向けて発信をしていて、その反応を見るたび確信に変わる。
ブルージャイアントのまさにこのシーン。僕はこれをアニメでやっていきたい。

BLUE GIANT SUPREME(10)(ビックコミックススペシャル)  23ページ

出典:石塚真一『BLUE GIANT SUPREME(10)』(ビックコミックススペシャル,小学館) 23ページ

残念だが僕は宮本大にはなれない。けど、ミュンヘンで会ったクリスにはなれると思っている。
僕の周りには世界一になる人がいる。そこに一緒にいけると嬉しい。彼らができないこと、苦手なことをしていく。
それは海外を飛び回り、彼らの目となり足となり、彼らにとって良い選択肢を用意しないといけない。僕にとってのブルージャイアントを見つけた。まずはエストニアからヨーロッパを攻めていく。

BLUE GIANT SUPREME(1)(ビックコミックススペシャル)  95ページ

出典:石塚真一『BLUE GIANT SUPREME(1)』(ビックコミックススペシャル,小学館) 95ページ

そして、株式会社カラー・株式会社ドワンゴ・学校法人麻生塾の3社で設立されたアニメ・CG制作会社“プロジェクトスタジオQ”にも携わっている。
注意してほしいが、これまでの内容はAmataでの事業内容。
彼らと共にもっと多くの作品を作れるように、魅力的な選択肢(パートナースタジオ・クリエイター・海外での新規企画)を世界中から見つけてくるのが僕の仕事だ。日本のスタジオも喜んでもらえる面白い海外アニメ案件も取りにいきたい。

最後にEUの中でエストニアを選んだ理由は3つ。

・言語:英語(人口の約30%はロシア語)を話すことができる
・パートナースタジオの発掘:旧ソ連の国々や東欧などまだ賃金が上がっていない国にアプローチしやすい
・コンテンツビジネスの展開:EU加盟国のためEUでビジネスがしやすく、西欧へ向けて仕掛けるため

このプランでエストニアのスタートアップビザを取得した。
けど、これから進めていく中でステージの変化、大きな可能性が見えればすぐ引っ越す。とにかく動く。

山口からも攻めていく

しかしこの12年間、損をし続けている人がいる。それは、両親。
海外にいると会う回数は減るし、心配事も当然増える。
現にニューヨークに行った時に、携帯を持っていかず音信不通で死んだと思われていた。
このままでは祖母に『お前やりすぎ、親を大切にしろよ!』と言われそう。祖母に対してできなかった分、親孝行をしたい。親が行きたい場所に一緒に行き、美味しいものを食べないといけない。

元気な両親も還暦が近づいており、20〜30年くらいしか残されてない。年に2回会えたとしても、残り40回くらいしかない。コロナのせいで減ってしまったが、この数を可能な限り増やしたい。
タイだのエストニアだの親にはわからないので頑張っている姿を身近で見せたい。
地元山口でもビジネスをしたい、一番の理由は親。安心してもらい、寿命を伸ばす。

何をするか。
地元で一番能力を活かせてないのは、優秀な若手(高校生・大学生)だと思っている。
僕みたいな凡人である程度できるのなら、地元の優秀な子達と組めばもっと面白いことができるはず。彼らと世界に仕掛けたい。

今は難しいが、田舎へ世界中から人が来てくれる理由やビジネスができる手段の一つがコンテンツだと思う。
例えば、『エヴァ』の原作者の庵野監督は宇部市出身、漫画家の貞本先生は周南市出身だ。
彼らが喜び、ファンの心にも刺さるコンテンツなんていくらでも思い浮かぶ。国内外からファンを呼べるんじゃないか。
クリエイター達が本気で作った作品が観賞して終わりではなく、クリエイター・作品・ファン・地元山口にとっても魅力的な事業は作れるはず。
けど、僕だけじゃできない。やりたいこと、できることを見つけたときに日本にいなくてできないことが多い。
あとコンテンツではなくても手段はあるはず。地元の可能性を見つけ、若手と一緒に進めたい。

理想を言うだけじゃ簡単すぎるので、8つ歳の離れた弟で試してみた。
僕と違い県内トップクラスの高校を卒業し、横浜国立大学に通うエリート。
兄弟で同じ点はやりたいことがなく、就活のときに相談をしてきた。決意はよかったが、相談した相手が悪かった。

タイでインターンしろとか言って欲しかったのかもしれない。けど同じことをしても面白くないので、彼はドバイで働くことになった。
フィリピンで英語を勉強し、オーストラリアでワーホリをしてお金を貯め、ドバイへ行きグローバルビレッジというの万博のような施設の日本パビリオンで2年間働いた。兄を超える3年間休学し復学、今年ようやく卒業するはずだったが単位が足らずあと半年通う。海外で培ったサバイバル力が及ばなかったらしい。

親孝行をしないといけないやつが清弘家でもう一人増えてしまった。ただ、やりたいこともなかった弟が、将来コンテンツビジネスを中東でやりたいと言うようになった。今はその第一歩として、一緒に英語でSNS運営をしている。
まずはTwitterにフォーカスして発信している。しっかり力を入れて半年ほどで月に1000人以上のフォロワーが増えるようになった。
毎日、世界中から反応がある。英語圏はもちろん、スペイン語圏、アラビア語圏、ほかにもアジア各国から二人では手に負えないほどくる。Twitter以外にもInstagram・YouTubeもやりたいが全然間に合っていない。

やればやるほど、2人でやるには世界は広く、日本コンテンツの可能性は大きすぎると感じている。
日本コンテンツ(アニメ・ゲーム・漫画)好きに場所も歳も関係ない。海外のファン向けに物販もしたいし、イベントもしたい。今は難しいかもしれないけど、インバウンドも仕掛けたい。
好きなコンテンツを一緒に世界に発信してビジネスにしたい人に、この投稿をきっかけで会うことができると嬉しい。それが地元の後輩だと最高だと思っている。
山口に絞っているのは僕の都合なので、もちろんどこでもいい。
けど故郷だから分かる。「もっとやれるのに…」と思っている子たちがいて、夢中になるものを探していると思う。
彼らにとって刺激的な選択肢を作り、共に海外に攻めていきたい。

最後に

12年の良い部分だけギュッと絞って書いているが、それ以上に辛いことが多くあった。

オーストラリアでは英語があまりにも通じず、悔しい思いを何度したかわからない。
その後、イギリスに行こうとするがビザが取れず断念。しかも手持ちのお金はすべてポンドになっていた。
カナダに行き先を変更し、1ヶ月分の生活費14万円だけ持って勢いよく行くが、デポジットの存在を忘れていており到着と同時に金欠。激安クッキーとバイト先のホットドックで飢えをしのいだ。
言語すらままならないポンコツ、若さと体力だけでなんとかしていた。

帰国し、就活をスタートするも東日本大震災が起きて被災。新宿の解放されていたビルの床で寝た。
卒業旅行で行ったマレーシアでは伝染病にかかり、初めての車椅子はコタキナバルの病院になった。海が綺麗だったな。
死は他人事ではなく、すぐ近くにある。できるときに動かないと。

タイでは初受注した日にクーデーターが起き、着手すらできずに即帰宅。クライアントは大丈夫かよと思っただろう。少なくとも僕は思った。
エストニアに来てから、これからというタイミングでコロナ。動こうと思ったら、極寒の北国で1年以上缶詰になってる。
どうしようもないことは起きる。飛行機だけは落ちないでと乗るたび思う。

会社は何度も厳しいタイミングがあった。今があるのはクライアント・パートナー・スタッフ・周りの方々に支えられているから。本当に感謝しかない。
そんな人たちが出来ない場所で動いてビジネスにして恩を返していきたい。

最初は、ただの若い日本人。そこからチャレンジの数、行った国の数だけ可能性を増やすことができた。
ジョブスの言ってたことは間違いなく、Stay Hungry, Stay Foolishしていたら人生が変わった。
日本コンテンツのために動くという僕のブルージャイアントを見つけることもできた。

諦めずに12年間動くことができたのは、祖母のおかげ。
葬式のときの後悔の大きさが僕を動かしている。
もう絶対に後悔をしないため、この切符を財布に入れている。

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3月15日朝、訃報を受けて大学のある名古屋から山口に向かった時のもの。なんで手元にあるのか記憶にない。
ただ決意の証、そしてお守りとして財布に入れている。
名古屋から山口、そこからオーストラリア・カナダ・アメリカ・東京・タイ・エストニアと共にした。
祖母が見たこともない景色をこの切符を持って攻めていきたいと思っている。日本コンテンツの価値を世界で上げる。

アニメ制作はもちろん、7年間タイでゲーム制作事業もしています。これを機に海外での制作に興味を持ってもらえると光栄です。

・海外の制作リソースをご検討の企業様(ゲーム(2Dイラスト/3DCG)・アニメ(3DCG)・映像制作)

そして、制作以外にも多くのブルージャイアントにお会いしたいです。

・これからの展開にご興味のある方
・コンテンツのSNSマーケティングに精通されている方
・ブルージャイアントのある優秀な若手

コンテンツ事業は二人だけで行っているスタート段階。一緒に好きなコンテンツを海外に発信したり、ビジネスにしていける人に会えると嬉しいです。
少しでもご興味あれば、ぜひお気軽にご連絡ください。

最後に、全人類にブルージャイアントを読んでほしい。
力強い言葉・描写で勝手に涙が出てくる。このままじゃダメだと辛い時にプッシュしてくれる。漫画なのになんで音が聞こえてくるんだろう。石塚先生、すごすぎる。。
こんな最高な作品を世界に発信していきたい。日本にはそんな全人類に知ってほしい作品が多くある。

もちろん『シン・エヴァンゲリオン劇場版』も観てほしい。
一つの作品を作っていく中で、とても強いこだわり、作品に対する強い想いを身近で感じた。面白くないわけがない。日本のトップクリエイターは本当に凄い。彼らはすごい、その価値をもっと世界で上げていきたい。
ただ、今すぐ劇場に行けないのが悔しい。長い海外在住期間のなかで今が一番歯がゆい。

1コマ、1シーンを作るのに日本のクリエイターはどれだけの時間と情熱を注いでいるんだろう。それを海外のファンたちにもしっかり届けていきたい。その作品の数を増やし価値を高めるサポートをしたい。
Amataが名前だけと言われないように、世界で日本コンテンツの可能性を大きくできるよう、これから出会うブルージャイアントに負けない熱量を持って動く。

長い、1万文字以上。読んでいただいた、それだけで嬉しいです。ありがとうございます。
12年間を詰め込むとこんなに長い文章となってしまいました。
まだHPすら用意できてない状況ですが、コロナ禍でもできることから少しずつ進めています。

BLUE GIANT(8)(ビックコミックス) 21ページ

出典:石塚真一『BLUE GIANT(8)』(ビックコミックス,小学館) 21ページ

このセリフを自分に言い聞かせて動いていく。
大きいことばかり言っていて理想までの距離はまだまだ遠く、僕だけじゃできない。
12年前の3月30日に休学届を出して、人生が変わった。
もっと動き、世界中のブルージャイアントと一緒にもっと面白いことをしていきたい。

清弘文哉
Mail:fumiya.kiyohiro@gmail.com
Twitter:https://twitter.com/kiyohirokay
Facebook:https://www.facebook.com/fumiya.kiyohiro

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