前回に引き続き、邱永漢さんの「起業の着眼点」を読んで気になった文章をピックアップします。
過去13年、海外のスタートアップと協業する仕事をしてきたからこそ、この主張の意味がよくわかります。そして、こんな意見を持っていて、部下や後輩を指導する日本企業のサラリーマンは本当に少ないのではないかと思います。自部門の売上や利益を前年より上げるために、全てのエネルギーを割き、金の通り路が変わってしまったことに何年も気づかず、不毛な努力を関係者にさせてしまう悲劇が今もなお、そこかしこで起こっているように思います。お金の通り路は変化し続けるんだという単純な事実に気づかないまま、儲からなくなった会社や部署に勤め上げ、消化不良のような状態のまま、定年を迎えてしまう会社員はたくさんいると思います。
だからこそ、僕は、会社員は、会社に過度に依存し、感情的に寄りかかるようなことは避け、この「金の通り路を見つける」スキルを磨く練習をすべきだと思います。これは、条件の良い部署に移るとか、会社の中で出世するといったスキルとは別種のものなです。閉じられた小さな村における幸福になるルールを見つけるのとは圧倒的に違い、世界に開かれ、日々変化する市場に自分を晒し続けて、金の通り路の変化に気づくスキルを身につけるべきだと思います。短期では、つまり、今勤務している会社では、そのスキルを身に付けてもその人を幸せしてくれないかもしれませんが、長期で見れば、自分自身で飯が食べられるようになり、かつ投資家としての道が開かれる可能性が出てくるのだと思います。成功している起業家はそのようなスキルを皆持っているように思います。
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