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アメリカ人の知人から「環境正義」という言葉を習った

今週、仕事で来日したアメリカ人の知人と歌舞伎座の裏の古い喫茶店でお茶をしました。アイビーリーグを卒業し、著名なメディアでジャーナリストとして働き、著作もある彼女は、言葉を本当に丁寧に扱って生きている人です。僕が話す英語で不明点があると、とことん、質問してきて、理解しようとします。前にも書いた通り、僕は、発音を課題としているので、彼女は聞き取れないと「なんて言ったの?」と聞き返し、僕が繰り返し発話しても聞き取れない場合は、紙に書いて理解してもらうようにしました。それでも、彼女の、とことん真剣に僕の話を聞こうとする姿勢は、とてもありがたかったし、知的好奇心を刺激する楽しい会話ができました。

僕は、アメリカの大統領選の話も聞きたかったのですが、この国の世代間の分断にもとても興味があって、その辺りの質問したところ、一つ興味深い言葉を知りました。

Environmental justice 環境正義とは

彼女にいわゆるZ世代の話を質問すると、「"Got it , what else?" ってフレーズ知っている?」と聞かれました。自分の世代は絶対に使わないとのこと。「わかった、で?」みたいなトーンなのでしょうか。きっと、上の世代に突っかかってくるニュアンスなんでしょう。これがまさに世代間分断の象徴なんでしょうね。

その後に
「"Environmental justice"って言葉知っている?」と聞かれました。
僕は、環境問題に正義という言葉を掛け合わせたこのフレーズにやや驚きました。
一般財団法人環境イノベーション情報機構のサイトには以下のようにこの言葉を定義しています。

環境保全と社会的正義の同時追及の必要性を示す概念。多民族国家である米国の社会的背景をもとに生まれてきた概念で、環境的人種差別主義批判(Environmental racism)として展開した環境正義運動(Environmental justice movement)に端を発す。1980年代に米国で、アフリカ系黒人が多くを占める地域において有害廃棄物処理施設が集中していることに対する抗議運動などが象徴的な動きとされる。

一般財団法人環境イノベーション情報機構

彼女の娘は大学生なのですが、この世代が盛んにこの言葉を使用しているとのだそうです。社会的に不遇な境遇に暮らすマイノリティーの人々が結果的に公害などの環境問題の犠牲者になっていることへの憤りが高まっているのだそうです。彼女いわく「自分の世代が若い時に、この言葉は存在しなかったし、今まで使ったことなかったけれども、若い世代が、次から次へと、社会問題、環境問題に対する矛盾をついてきてそれに対する抗議を公で表現するようになっていて戸惑っているとのことでした。

この言葉は、これまでのアメリカの発展によって恩恵を受けてきた人々には、見えていなかったネガティブな影響にさらされてきた人々の怨念が積もり積もって今、それが公に広がっているのだろうと思いました。

現在のアメリカの混沌に触れたひとときでした。

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