学生さんの発音動画へのフィードバック

 オンライン授業が始まってから土日もなく働いていますが、特にたいへんなのが学生がスマートフォンで撮影した動画へのフィードバックです。学生に発音しているところをスマートフォンで撮影してもらって課題として提出してもらうのですが、出しっぱなしでは学習になりません。必ずフィードバックが必要です。

撮影の際の留意点

 学生さんに顔出しを強要しないようにしています。いきなりオンライン授業になり、一度も会ったことのない人間に顔を見せるのは抵抗があるでしょうから。アウトカメラにして何か適当なもの、例えば教科書の本文などを映しながら話す、ぬいぐるみでもなんでも自分の好きなものを撮影しながら話す、あるいはカメラを何かをおおってしまって真っ暗な画面でもよいと言っています。もちろん顔出しが気にならない人は顔を映してくださいと言っています。それなら音声だけを録音して提出してもらえばよいと思うかもしれませんが、音声録音アプリを使うより普段使い慣れているスマホのカメラで撮影の方が楽です。もちろん自分で音声録音アプリを使って音声だけを送ってくる学生もいますし、パソコンのWebカメラを使って撮影してくる学生もいます。

動画の提出先

 基本は勤務先のLMS(Moodle)です。課題として提出してもらいます。動画は大きくなりがちなので、最初にMoodleのコース(科目)の1ファイルあたりのアップロード容量を最大限まで引き上げておきます。
 Moodleの課題提出画面ではファイルをドラッグ&ドロップして提出エリアに入れるようになっています。スマホの場合はファイルのドラッグ&ドロップはできませんが、ファイルのアップロードアイコンをタップすると、スマホで撮影した写真や動画を選んでアップロードすることができます。ぱっと見た時にこの操作がわかりにくいので、別途画面キャプチャー入りの操作方法(2ページ程度)をLMSにアップロードしておいたところ、特に問題なく提出されています。

 学生同士が互いの動画を見たり、動画で返事ができるようにした場合は、動画専用のSNSであるFlipgridにクローズドなクラスを作って提出してもらっています。Flipgridについては別に記事を書いていますのでご覧ください。
オンライン外国語授業で学生にビデオを提出させたい時:Flipgrid

動画の評価

 Moodleの課題はルーブリックを使うことができますので、ルーブリックを設定して評価に使っています。ただ、Moodleのルーブリックの作り方は設定場所がわかりにくいです。わたしは以下のWebページを参考にしました。
ルーブリック

 Flipgridもルーブリックを使用して評価することができます。詳しくは以下の岩居弘樹先生(大阪大学)のWebページを見てください。
Flipgridを活用する(2) – Feedback

動画のフィードバックを動画で

 最初は文字でフィードバックコメントを書いていたのですが、これはたいへんです。そんなとき氷野善寛先生(目白大学)と話していて、氷野先生が学生の動画を再生しながらコメントを録画してフィードバックをしていると聞きました。これなら学生は実際に自分の発音(問題のある発音)の後に、教員の発音やコメントを聞くことができます。目から鱗が落ちる思いでした。

Moodleの場合

 ということで、わたしもやってみました。Moodleの場合はフィードバックは文字以外にファイルも添付することができます。課題を設定する際にフィードバックのタイプを選ぶところでフィードバックファイル添付をONにしておきます。
 また、Moodleは課題の設定で教員がフィードバックを保存した場合に学生に自動で通知する機能がありますので、それもONにしておきます。

 パソコンの画面収録ソフトを使って、学生の動画を再生し、問題のある発音のところで一時停止して音声でコメントを入れます。わたしはCamtasiaという有料ソフトを使っています。このソフトはパソコンから再生される音とマイクからの音を両方記録することができます。動画を書き出すことも音声だけを書き出すこともできます。ファイルサイズを小さくするために音声だけを書き出し、Moodleにフィードバックファイルとしてアップロードしています。

Flipgridの場合

 Flipgridはルーブリックの画面で教員が動画でコメントを残すことができます。この動画は担当教員と学生本人にしか見られません。パソコンでWebブラウザChromeを使用すると、パソコンのWebカメラで教員が動画を録画することができます。

 その場でパソコンのWebカメラで録画することができますが、これは教員の話していることしか録画できません。あらかじめ上記の方法で作っておいたコメント動画(学生の音声+自分の声が入った動画)をアップロードすることもできます。

 Flipgridのフィードバック画面は個々の独自のURLを持っています。学生はフィードバック画面でルーブリックによる評価結果や教員からの動画メッセージを見ることができます。

 「Copy Feedback Link」をクリックしてURLを取得し、そのURLを学生に何らかの手段で知らせます。
 わたしはMoodleのメッセージ機能を使って知らせています。学生がMoodleにログインするとメッセージがあるという表示が出ます。また勤務先のMoodleでは学生の大学のメールアドレスにも同時に送信されます。


オタクな中国語教員。日本語母語話者向けの中国語初級教材をPDFとEPUBで作っています。