オンライン外国語授業で学生にビデオを提出させたい時:Flipgrid

外国語のオンライン授業で、学生が実際に発音している所を評価したい場合、学生がスマートフォンで外国語を話しているところを動画を自撮りして提出という方法があります。第一選択は勤務校で導入しているLMS(Learning Management System)です。Moodle、GoogleClassroom、manaba、Blackboard、Sakai等、勤務校によっていろいろです。ただ、LMSの基本的な機能として課題としてファイルを提出する機能があるはずです。

何らかの理由で勤務校のLMSを使って学生の動画を集められない場合、Flipgridを使うという方法があります。Flipgridは元々ベンチャー企業がやっていたサービスですが、Microsoftに買収され、無料で使えるようになりました。

Flipgridは動画専用SNSで、クローズドなクラスを作ってそこに動画を投稿することができます。学生同士は互いの動画を見ることができます。

教員はFlipgridのアカウントを取得する必要がありますが、学生は教員からもらった番号やQRコードを使ってクラスに入ることができ、Flipgridのアカウントは不要です。

Flipgridを外国語の授業で使う方法については、岩居弘樹先生(大阪大学)のWebページを参照してください。

Flipgridはよくできていて、設定を変更すると(Gridの設定でcaptionを有効にし、どの言語の字幕をつけるかを選ぶ)、音声入力による字幕が出すことができます。英語や日本語の他、中国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、アラビア語、ヒンディー語に対応しています。
発音が悪いと字幕が全く出ない、あるいはメチャクチャな字幕が出ます。字幕機能は元々は合理的配慮のためのものですが、外国語の授業に使えると思います。ただ、字幕は動画が投稿されてからすぐには表示できません。数時間待つと表示できるようになることが多いようです。

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Flipgridのアクセシビリティ機能はよくできていて、教員の出したお題の部分を合成音声で読み上げることができます。お題のところに朗読させたい外国語の文章を入力しておき、合成音声で読み上げたものをお手本として聞かせることができます。お題のところにあるイマーシブリーダーのアイコンをクリックすると、合成音声による読み上げページが開きます。

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このイマーシブリーダーはFlipgridだけのサービスではなく、Microsoftの他の製品、たとえばOneNoteでも使われています。イマーシブリーダーはディスレクシアなど読むことに困難のある人のための機能ですが、外国語学習にも使えます。
イマーシブリーダーを体験してみたい方は、以下のWebページでお試しをすることができます。ページの中ほどに「自分の読書用資料でイマーシブ リーダーをお試しください」というコーナーがあります。合成音声で読み上げさせたい文章を入力し、言語を選んだ後に、「お試し下さい」というボタンをクリックします。

イマーシブリーダーでは、合成音声の読み上げと同期してテキストがハイライトされるので、どこを読んでいるかが一目瞭然です。男声で読み上げるか、女声で読み上げるかを選べます。合成音声ですから、速度の調節ももちろん可能です。その他にも読むことを助ける機能があります。

このイマーシブリーダーについては、FLExICT Expo 2019 (外国語教育 x ICT)というシンポジウムで報告しています。このシンポジウムの予稿集は以下のところでダウンロードできます。

pp.115-118「アクセシビリティ機能は外国語学習にも役立つ——Office365 の OneNote の合成音声による読み上げ」をご覧下さい。

オタクな中国語教員。日本語母語話者向けの中国語初級教材をPDFとEPUBで作っています。