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彼は自分の名前を歴史に刻もうとしている【Prayagraj→Ayodhya】
2024/06/12
本日はバスでアヨディヤ(Ayodhya)へ行くが、その前にもう一度サンガムへ行ってみる。
昨日はヤムナー川の北岸から川を眺めた。
反対側の岸から沐浴の様子を見てみたいと思い、地図を見せながらオートリクシャーのドライバーに説明するが、うまく伝わっているかどうも怪しい。
ドライバーのお兄さんは自信満々にOKと言っているが、昨日と同じ場所に連れて行かれそうな気がする。
9割は期待しないでおいたら、案の定、到着したのは昨日と同じ岸辺だった。
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朝だからか、昨日の夕方よりも賑わっていて聖地らしい風情がある。
昨日とは違う様子が見れたので、結果オーライと言うことにしよう。
ところで、駐車場からボート乗り場までドライバーのお兄さんも追いて来た。
ボート漕ぎが私に積極的に声をかけてくるのは理解できるのだが、ドライバーのお兄さんもなぜか執拗に私をボートに乗せようとする。
彼とボート漕ぎがグルだとは考えにくいので、純粋に彼の善意なのだろう。
「ここまで来ておいて、サンガムで沐浴しないのはもったいない!」というわけだ。
私としては、聖地に集まる人々の様子が見たいわけで、聖地の中心部分に行くことはそれほど興味がない。
自分のペースで聖地を眺めたいのに、しつこく声をかけてくるお兄さんに閉口しつつも、結局ボートには乗らなかった。
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街に戻る途中、ハヌマーン寺院の側を通る。
昨日は長蛇の列ができていたので外から見るだけにしていたが、今朝はそこまで人が多くなかったので中に入ってみることにした。
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バスターミナルに到着。
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午前10時発のバスに乗り、午後3時にアヨディヤに到着。
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ここで、アヨディヤという土地について解説。
…したいわけだが、私自身が詳しいわけではなく、なおかつ難しい土地柄なので、産経ニュースのネット記事からそのまま抜粋する。
アヨディヤには、16世紀にイスラム系王朝のムガル帝国がモスク(イスラム教礼拝所)を建立した。一方、ヒンズー教徒は古代インドの長編叙事詩「ラーマーヤナ」の主人公のラーマ神が生まれた場所だと主張。1992年に暴徒化したヒンズー教徒がモスクを破壊し、全土で1000人以上が死亡する宗教暴動に発展した。
その後、土地の帰属を巡って裁判となったが、最高裁は2019年11月、土地はヒンズー教徒団体に引き渡されるとの判断を示し、政府の管理下で寺院建設が進んでいた。
そして、くだんの大寺院ラーム・マンディル(Ram Mandir)の竣工式が今年の1月に行われた。
竣工式に際して、国内外のメディアで賛否両論が巻き起こった。
「否」の意見をざっくりとまとめると以下のようになる。
イスラムとヒンドゥーの両教徒が激しく対立している土地において、政府主導でヒンドゥー寺院の建設を大々的に進めることは、インド政府がヒンドゥー以外の宗教に対して排他的な態度を取っていると解釈できる。ヒンドゥー至上主義を掲げつつも今まで上手くバランスを取ってきたモディ首相だが、この竣工式をきっかけに他教徒(主にイスラム教徒)への不寛容な姿勢に拍車がかかるのではないか。
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本堂の中へは荷物を持ち込めなかったので、写真は撮れなかった。
以下に、竣工式の様子が収められた報道映像を載せるので、興味のある人は見てほしい。
What we saw in Ayodhya yesterday, 22nd January, will be etched in our memories for years to come. pic.twitter.com/8SXnFGnyWg
— Narendra Modi (@narendramodi) January 23, 2024
さて、実際にラーム・マンディルを訪れてみて抱いた感想を書く。
私はインドの政治事情や宗教対立に詳しくないので、そういったところから離れて、1人の外国人が感じたことである。
まず、1月に竣工式が行われたというラーム・マンディルだが、普通に未完成だった。
しかも、ざっと見た感じでは完成部分は1割にも満たないのではないかというほどだ。
ラーマ王の神像が安置された本堂すらも、まだ建設途中だった(とはいえ、最後の仕上げといった感じ)。
柱の彫刻が未完成のところがあり、今もまさに職工がノミと金槌で精緻な飾りを掘り込んでいるといった状態だった。
また、本堂の周りはだだっ広い空き地が広がっていて、古代ギリシャの遺構のように、作りかけの柱や大理石などの建築資材、大型の重機が散らばっていた。
おそらく、これから本堂の周りにたくさんの神殿が建てられていくのだろう。
とんでもない大工事だ。
本当の完成までに数十年、いや百年かかってもおかしくない。
これはただの宗教施設ではない。
21世紀のインドを代表する建築物であり、美術品であり、文化そのものである。
この寺院の建設は政府主導のプロジェクトだが、その頂点で指揮を振るっているのはモディだ。
彼は自分の名前を歴史に刻もうとしている。
タージ・マハルを建設したシャー・ジャハーンのように、ブリハディーシュワラ寺院を建設したラージャラージャ1世のように、ラーム・マンディルを建設したモディとして、後世にその名を語り継ごうとしているのではないか。
宗教の対立どころの話ではなく、1人の男が抱く壮大な野望のようなものを、私は感じた。
今はまだアヨディヤという地名も、ラーム・マンディルという寺院の名前も日本では知名度が低い。
しかし、数百年後の日本では、インドを紹介するガイドブックの先頭に来るような建築物になっていてもおかしくない。
この寺院にまつわる宗教的なゴタゴタは置いておいて、その建造中の姿をこの目で見ることができたのは非常に価値のあることだと思った。
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『ラーマーヤナ』において、ラーマ王子の良き相棒だったのが猿神のハヌマーン。
ラーム・マンディルの近くには、ハヌマーン寺院もある。
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沐浴場がある川へ歩いていく。
この街を流れる川はサリュー川という。
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歩き疲れたので、ガートの階段に腰掛けて夜になるのを待つ。
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ここでもアールティが行われるようだ。
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日が沈んだら儀式のスタート。
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アヨディヤのアールティは、バラナシのものよりもあっさりしている。
はじめに長舌なマントラを唱えることもなく、いきなり火と煙の儀式が始まる。
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20分ほどで儀式は終了。
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ガートの近くではプロジェクションマッピングで何かのショーが行われていた。
ハヌマーンとかラーマとか言っていたので、おそらく『ラーマーヤナ』だろう。
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今日はゲストハウスに泊まらない。
夜行バスに乗って、ヴリンダーヴァン(Vrindavan)に行くからだ。
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