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【インド雪山紀行⑩】Tundupの村へ

2023/12/26

朝食
オートミールのミルク粥

Tundupの村へ行くシェアタクシーは午後に出発する。
午前中は暇なので周辺を散策。

「ここからゆっくり歩いて45分ほどにあるスタクリモという高台から見える景色が素晴らしい」とTundupが言う。
このスタクリモという場所、去年の夏もTundupから勧められて行った記憶があったが、他に行きたい場所があったわけでもないので再度行ってみることにする。

30分ほど坂道を登って、目印のゴンパに到着。
周辺を歩き回って見晴らしが良いところを探す。

パドゥムを一望する

高い山に囲まれた谷間に集落が広がる。
最寄りの街まで車で6時間。
数年前まではもっとかかったはずだし、その道中も決して安全ではなかったはずだ。
なぜこんな隔絶された場所に人が住み着いたのか不思議である。
景色を見ながら、最初にこの地に腰を据えたのはどんな人たちだったんだろうと想像する。
チベット仏教の修行の一環で来た僧侶たちか、あるいは何かの争いに敗れて逃げて来た人たちか……。
いずれにせよ、何かしらの深い理由があったに違いない。

ヤク

Tundup曰く、この辺りの高度はレーより300mほど高いらしい。
つまり、標高3,800mはあるということだ。
それゆえ、レーよりもずっと寒い。
さらに4,000m超えの山々が周りを囲んでいるため、常に冷たい風が吹き下ろしており、まるで冷凍庫の中にいるようだ。

側溝で焚き火

昼食を食べにパドゥムの町中に行く。
去年の夏も思ったことだが、パドゥムは町の規模の割に外に出ている人が多い。
そして、そのほとんどが特に目的もなく通りを歩いているように見える。
小さな町なのですれ違う人同士はだいたい知り合いで、「ジュレー」と握手してちょっとだけ言葉を交わして去る。
ちょっと歩いてまた知り合いに会って…という具合だ。

車がすれ違う時も運転手同士が窓を開けて言葉を交わすので、せいぜい4、5台しか車が走っていないにもかかわらず、渋滞が発生する。

トゥクパ

午後3時半、いよいよクル村へ向けて出発。
カルギル・パドゥム間同様、村への道はかなり舗装が進んでいた。
とはいえ、まだ半分くらいが未舗装のまま取り残されている。

途中、凍りついた小川を通らなければ行けない箇所があった。
スリップすると谷底へ落ちてしまうので、全ての乗客が車を降りて歩いて渡り、ドライバーが慎重に車を運転する。

ツルツル

目的地のクル村に近づくにつれ、去年と違う道を通っていることに気がついた。
ザンスカール川が深い谷を形成しており、その両側の山肌にへばりつくようにしてザンスカールの集落は並んでいる。
クル村は、マナリ方面に向かって右の山側にある。
去年の夏に訪れた際は谷の左側にしか車道がなく、クル村に行くには歩いて谷まで降りて、橋を渡って、斜面を登らなければならなかった。

しかし、今走っている舗装路は谷の右側。
つまり、この1年半でクル村を通る車道が完成したということだ。
去年は数時間もかかったのが、今年はたったの2時間しかかからなかった。

Tundupの家のすぐ裏手まで車道が通じていた

いかにも秘境という雰囲気のあったザンスカールは、この1年で「ちょっと不便な場所」にまでなっていた。

秘密基地のような居間に続く小さな扉

さて、1年半ぶりにTundupの家にホームステイ。
やっぱり自宅は落ち着くからか、数日ぶりに奥さんにあったからか、もともと陽気な性格のTundupのテンションがいっそう上がっていた。

ヤクのミルクでバターを作る
燃料はヤクの糞を固めて干したもの
バターティーのもと

夕飯と自家醸造酒のアラックをいただき、良い気持ちのまま眠りに落ちた。

夕飯
マトンのカレー

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