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女王様と初対面_燕岳 ③山頂〜下山

⒈ 夜明け

標高2700mちょっとの燕山荘に宿泊した。
一昨年お世話になった登山ガイドさんに教えていただいた、高山病予防のための行動は
・夜も目が覚めた時などに水を飲む。朝まで200ml以上
・その時に呼吸法(口すぼめ呼吸など)を短時間でいいので行う
これらをしっかりと守った効果?か、幸い軽度の頭重感のみ(これは寝不足からと思う)で、しっかりと空腹感もあった。朝食が待ち遠しい。

日の出予定時刻が4時25分頃と聞いていたので、4時頃に外に出ようと思って3時半頃からそ〜っと活動を始めた。前日の雨は上がっているようだ。
すでに多くの人が無言でキビキビと準備をしていた。おそらく燕岳山頂でご来光を見ようという方々なのだろう。

4時前には少しずつ明るくなっていた。ダウンとレインウェアを着てドアを開けると、、あれ?寒くない。9月の涸沢の朝の方が寒かったな…と思い出す。

朝4時。安曇野の街がキラキラしている。浅間山の後ろが明るくなっている
手前に有明山。奥に雲海

真っ赤に焼けるということはなかったが、幻想的な朝だった。
もう少しここに佇んでいたかったけど…
朝5時の朝食に滑り込みたいので4時40分ごろには集合!とガイドさんに言われていたため室内に戻る。

朝食✨

しっかりと、でも素早く食べて、パッキングも終わらせて5時50分に玄関に集合。ザックを置いて、燕岳山頂へ向かう。

⒉燕岳山頂へ

画像で何度も見た看板と燕岳

早朝の凛とした空気感が、空の青さと相まって、女王様にはよく似合う。
さあ、あそこまで歩こう…

足元は花崗岩の砂。稜線の風は強く、ザックを背負っていないのに身体が持っていかれそうになる。自分の筋力でしっかりと自分を支えながら、一歩ずつ歩く。

目の前には燕岳と、その背後の立山連峰、後立山連峰が連なり、左には裏銀座、さらに振り返ると槍ヶ岳。

右には四阿山、浅間山。さらに右に目を移すと八ヶ岳、富士山、そして甲斐駒ヶ岳など中央アルプスの山々。

この写真も好き
富士山、見えますか?

有名どころの山々が全て見渡せる絶景の中を歩いていく。
足元には可憐なコマクサ。こちらもお会いしたかったー。満開に近いのかな。

自分の目で見たのは初めて!

イルカ岩、メガネ岩など、写真でみたスポットを一つ一つ確認しながら進む。そして…山頂へ。

イルカ岩と槍
ガイドさんが撮ってくれた写真

強い風に煽られそうで足がすくみそうになりながら…燕岳山頂に到着!
山頂からもこれまた素晴らしい眺望✨✨

立山三山、そして剱岳がくっきり見える。
眺めていると、ふつふつと湧いてくる気持ちは「今年もあそこに行く、あの山々の近くに」だった。

今回一番の、お気に入りショット…北燕岳の向こうに立山連峰と剱岳

燕山荘から歩いてきた道を振り返ると、さらにその先に連なるパノラマ銀座。槍ヶ岳方面には表銀座の稜線が続いていく…いつか歩く日が来るのだろうか。

次のターゲットはあそこか!?
山々と空のコントラストが美しい。迫ってくる感じ

もっと長居してゆっくり絶景を堪能したかった…でも時間切れ😂
まだ居たかった〜という心の声を抱えながら、燕山荘へ戻る…

燕山荘の前まで戻った時、カメラを下に向けている方に気づいたガイドさんが「雷鳥がいますね〜」と教えてくれた。

ヒナ🐤
お母さん✨
雷鳥さんと燕岳

可愛いヒナも、親鳥とちょっと離れたところにいる。
「あまり近づきすぎないで」とガイドさん。ヒナを驚かせてしまうと母鳥のもとに帰れなくなってしまい、息絶えてしまう可能性があるからだ。
雷鳥さんを間近で見られたのも初めて。(立山に何度も行っているけどお会いできなかった)
大の大人が10人以上、このかわいい親子を静かに静かに見守りながらワクワクしながら写真を撮っている状況って…なんて平和なんだ、と思った😊

⒊下山開始

改めて、女王様とお別れ
美しい姿を見せてくれてありがとう

幸せな時間は1時間あまりであっという間に終わり…名残惜しいが7時には下山開始となった。
下山に苦手意識がある私は列の最初の方に位置させていただいたので、ガイドさんに思わず質問。「次のステップとしては、表銀座とパノラマ銀座、どちらが良いですか?」
→もちろんパノラマ銀座というお返事だった。縦走する前に、まずは蝶ヶ岳だけでも登れないとな…😂

ゆっくりペースの下山とはいえ、私にとってはちょうど良い。
登りの時は曇りだったが、下山時は晴れ☀️

また来ますね
改めて、縦走路へ思いを馳せる

登ってくる方も多く、みなさん汗だく…
「今日が登りだったらバテバテで大変だったね」と振り返る。アルプス初級者の私たちにとって、天気も手助けしてくれたのは大きい。

参加者の中に、膝がガクガクしてくる方々もいた。ガイドさんがさらにペースを落とし、休憩を入れてくれる。帰りの高速バスの時間もあるし、その前に温泉に入りたい、という当初の予定でもあるので、2人のガイドさんが別れて対応してくれた。

いつも下山時に膝の痛みに悩まされてきた私だったが、幸いにも膝は耐えてくれた。1番大きな勝因?はおそらく歩行ペースだろう。
やはりいつものペースは早いんだな…と振り返る。

下山時はこの天気

11時半ごろに登山口に到着。
その後、急足で有明荘まで下り…これまた猛スピードで温泉へ入り、昼食として山賊焼き丼を美味しくいただき…13時のバスに間に合った。
その元気が自分に残っていることに半分驚いた(あまりに急いだので写真なし)。なんか、まるで丹沢から帰るみたいだなこの感覚。

⒋振り返り

帰ってきた直後の気持ちはなんだか不完全な感覚があったが、こうして振り返ってみると…とにかく幸運な山旅だった、というしかない。

⛰️無事に登頂でき、下山まで無傷だった。
下山で苦労された方が複数名いらしたことを考えると、自分も準備なしでは同じことになっていたと思うし、慎重すぎる準備もやってよかったんだと思う。(ソロ・ツアーに関わらず、登るからには同じ)
⛰️天気予報は必ずしも良くなかった(ツアーキャンセル者も複数名いらしたと)が、山の天気は変わりやすいし、それが良い方向へ向いた。
登りは涼しく、朝には晴れて素晴らしい眺望がえられた。
⛰️雷鳥さんにも会えた、コマクサもとても良い時期だった。

まさに「てんこ盛り」の2日間。
交通面を含めて、無事に行って帰って来れたこと。それだけでも天に感謝。
贅沢言っているんじゃないよ〜という自分がいる中で、あえてあの不全感にも居場所を与えてみる。

今回は安心・確実な登頂のためにツアーを選んだのだが…
🌱草花や森の写真を撮ったり、景色を味わうことが登山の大きな楽しみだが、集団行動であり、行動予定時刻も決まっているので、私にとってそのような「自然を味わう」時間が少し足りなかった。
🌱他の参加者との交流も楽しみ、という方も多いと思うが、私にとっては「自然を全身で感じる」「自然とつながる」ための感覚やエネルギーがそこに分散されてしまったのかもしれない。
…周りの人を気にしてしまう、という傾向がここにも出たのかも(そんな中でも単独行動多めではあったけど😅)。

ツアー登山の楽しみ、安心感。一方で、全て自分のペースのソロ登山の良さと厳しさ。これからはその時に求めるものを自分の中でクリアにした上で山歩きをしたい。
交流を楽しむ、もしくはスキルを学ぶ登山をしたいときはグループもいい。
感じる登山をしたいのであれば、ソロ中心で。そのためには…もっと体力とスキルをあげていきたい。
山歩きについては超・前向きな自分がいるんだな、と思った。