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トイレの中まで謙虚さを求めないで欲しいよ

朝日新聞に職場の不満を言うミニコーナーがある。そこにこんな意見があった。

「大企業の清掃をしています。『清掃中』という看板を出してトイレの掃除をしますが、皆、なにも言わず使用します。「失礼します」ぐらい言え。大人なのに基本がなってない」

みたいな内容。

いや、言わんでいいやろ。別に。

「『失礼します』とキチンと言うのは10人に1人くらい」とのこと。

このおばちゃんは1人だけじゃ飽き足らず、入ってきたヤツ全員に「失礼します」と言ってから使用してほしいらしい。

どんな光景やねん。掃除のおばちゃんに全員が「失礼します」て。就活生の普段の振る舞いを見るため、掃除婦に化けた重役か。

トイレだけは「清掃中」と言われても、生理現象だからどうにもならん。

どうにもならんから入ります。

私は正直なところ、おばちゃんが近くにいれば、「すみません」とか「いいですか?」とか言います。機嫌がよければ「寒いですな~」とか言ったりします。でも、別に言わなくてもいいと思う。

なんでそこまですべての人に謙虚さを求めようとするのでしょうか。

たまに店員に対してすっごく謙虚な男がいる。「あの~これとこれ、いただけますでしょうか。あっ、はい、はい、あっ、ありがとうございます!」みたいな感じ。

私はこういうヤツは「相手に気持ちよくなってほしい」というよりかは「自分をよく見せたい」という意図があるような気がして仕方がないのです。

普通の丁寧さならいいけど、不自然に、必要以上に謙虚なヤツ。かなり偏見だけど、コイツはおそらく自分のことしか考えていない。それか自分に相当自信がないか。

「謙虚さ」というのは「できる男の証」みたいな風潮があるから、最近は特に不自然な謙虚さを出すヤツが多い。

そんなヤツより、自然にしている人の方がよっぽど良いと思うのはボクだけでしょうか? 相手を不快にさせるような尊大な態度はダメだけど、無愛想くらいなら別にいいと思う。

そういう私も店員には無愛想。以前は誰にでもニコニコしていたが、無理していたし、しんどいし、でやめた。

そうすると随分楽になった。見ず知らずの人にまで細かい気を使う必要はない。謙虚でいる必要はない。

このおばちゃんもすべての人に謙虚さを求めている。さすがに枠外に尿をまき散らすのはダメだが、普通に排尿しているのならそれでいいのでは?

というかこの場合、おばちゃんの方が少し謙虚になった方がいいと思う。「すべての人間が礼儀正しく『失礼します』って言うべき」なんて尊大にもほどがある。おばちゃんは神の国でも作ろうしてるんスか?

そもそも普段から謙虚な人間なんてほとんどおらんっちゅー話です。皆、仕事上、生きていく上で、仕方なく謙虚さを演じているだけなのです。

落ち着くはずのトイレまでそんな謙虚さを要求しないであげてほしい。皆が皆、謙虚になれば、それはそれで気持ちの悪い社会になるでしょう。私は謙虚な人間ばかりの社会なんて不自然で絶対嫌だ。

おばちゃん、いつもトイレをピッカピカにしてくれて感謝してます。でもあまりグチグチ言わんといたってほしい。トイレの中くらい本来の自分でいさせてあげてください。

#エッセイ #トイレ #謙虚

働きたくないんです。