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前衛的芸術って何ですか?

帰宅途中に一眼レフカメラを持っている男女数人を見かけた。

近くに写真館があるので、それの活動だろう。

そのうちの一人の女性が、道端に立っているコンドーム自販機をじっと見つめている。

ひとしきり見つめたあと、なにかインスピレーションが降りてきたのか、おもむろにコンドーム自販機をパシャパシャと撮影しだした。

さらに信じられないことに、まわりの人にもそのよくわからんインスピレーションが伝染したのか、皆一斉にコンドーム自販機を撮影しだしたのである。

色々な角度からコンドーム自販機を一眼レフで撮影する人たち。

…………

なにしてんの?

コンドームの自販機が収められた写真を見せて、「これが芸術です」「前衛的です」とか言うのだろうか。

これ見てふと思った。芸術っていい加減なモンやな、と。

私は理解のしにくい芸術が好きではない。

何億で落札された絵。どんなものかと思いきや、幼児が「バブゥ~」とか言いながら、絵具を塗りたくったような絵だったりする。

なにこれ。

『4分33秒』というジョン・ケージの曲がある。これは4分33秒何も演奏されない、無音の音楽である。

なにこれ。

ピエロ・マンゾーニという芸術家は自分のウンコを缶に入れて芸術として販売した。黄金より高い値がついてるらしい。

なにこれ。

そして、冒頭のコンドーム自販機である。

もういい。いい加減にせえ。

芸術ってのは何でもアリか。

いい加減なものでも、価値を認めてくれる人がいるならそれはそれで立派な芸術なのだろう。

それでも私は一般人が理解しにくい所謂「前衛的」な作品が好きではない。

何の経験も積んでいない作品が芸術として発表されることに違和感があるのだ。

その道で頑張っているしっかりした作品のみを評価していかないと、芸術は「味噌も糞も一緒」みたいな感じになる。それではいけない。そして挙句の果てに私みたいな「芸術とかもうわけわからん」と言って、絵に限らず、音楽、映画、小説、などの中の芸術性の高い、理解しにくいものを毛嫌いする人が出てくるのだ。

未熟な作品を「前衛的」とか言って、安易に発表して何でもかんでも評価するのは、私はよくないと思う。色々な意見はあると思うけど。

と、ひとしきり「前衛的芸術」を批判したが、最後に私も作品を発表したいと思う。

タイトル:融合

解説:はちみつ入りココアを飲む習慣のある作者が発表した作品である。冬は、はちみつが固まりうまく出ないことから、この形を思いついた。100均で買ったよくわからない格言が書かれた湯呑と生活の知恵が融合された見事な作品である。

メッセージ性:100均湯呑を使っているので作者は低所得者で不幸なのだと思いがちだが、うしろにチラッとダイソンのハンドクリーナーが見えるあたり、低所得ではあるが生活の質はそれほど低くないことが見てとれる。裕福であろうがなかろうが、それなりのこだわりを持ち、仕事、モノにおいて取捨選択をしていけば豊かな生活を送ることができる。この作品にはそのようなメッセージ性がある。

欲しい人は連絡ください。値段は10万円です。缶に入ったウンコよりは100倍良いかと思います。

※ちなみに『芸術家の糞』は当時のよくわからん作品に何万の価値がつくことを強烈に皮肉った反芸術活動らしいです。私とマンゾーニのオッサンは気が合いそうです。友達にはなりたくありませんが。

#エッセイ #芸術 #写真

働きたくないんです。