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「幸せの先送り」しない生き方を

今日は読書記録です。松木正著『自分を信じて生きる インディアンの方法』を新年最初に読み終わりました。昨年急逝した文章術の恩師、赤羽博之さんが編集者として携わっておられた本。

自分を信じて生きる

もう10年以上前、著者松木正さんの講演を聞きました。朗らかで明るいお人柄。澄んだ目をしていた方。そんな松木さんが紡いだ言葉を、赤羽さんが届けて下さっている…ページを開きながら、じんわりと温かいものを感じていました。

この本では、著者がアメリカ・ラコタ族のインディアンと交流していった中でもらった言葉、ご自身が考えたことが情景を交えたありありと描かれています。アメリカでのインディアンは迫害の対象で、指定された居留地から出ては精神を病んで戻ったり、アルコール中毒や薬物中毒になってしまう若者も多い。その中にも、太古の昔から伝えられた儀式や価値観は脈々と現代に伝えられていて、僕たちが普段見失っているものを思い出させてくれます。

大いなる自然と何百年も共に過ごしてきたインディアン文化の根底に流れるのは、「受け入れる」ということ。

「すべては正しい時に正しい場所で起こる」

の言葉が象徴しているように、どんなことでも感謝と共に受け入れることが文化として息づいています。全ては偶然のように思えても、大いなるスピリット(高次の存在)の流れでは必然のこと。ちっぽけな人間には、必然性が分かることもない。だから、感謝して受け入れる。自分の状況を受け容れることで、次の一歩が踏み出せていくのです。

学校で子ども達と関わっていると、なかなか受け入れられない出来事も起こります。予想外のトラブル、想定していなかった反応。多感な時期の子ども達を相手にしているから、日々、想定外の連続です。

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子ども達の想定外の姿に対して、「こんなんじゃない!もっとこうあるべきなんだ!!」と教師の理想通りに運ぼうとしても、どこか無理が生じてしまう。「今はこの時間じゃない。もっとこういうことを学ぶんだ!そうすれば将来幸せになるから!!」と言葉にはしなくても、子ども達に伝えていることってないかなあ。

「今、ここ」の感情をないがしろにされた子ども達は、何を感じるのだろう。「今、ここで幸せになってはいけないんだ」という暗黙のメッセージを伝えてはいないだろうか。「今、ここ」で幸せになっていないのに、将来の幸せは約束されているのだろうか。

そんな問いを投げかけられた気がしています。子ども達との関りに限らず、自分自身に「こうあるべきだ。そのために、今は我慢して…」なんて考えてしまうことってありますよね。今は我慢しさえすればいい…なんて。

「あるべき姿」ばかりに目を囚われていると、「今、ここ」にある幸せに気づけなくなる。幸せはどこか遠くにあるのではなく、今、この瞬間にある。当たり前すぎることに、気づかせてもらえる本です。

「今、ここ」を思い出すために。

自分を信じて生きる


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