伝えたい、様々な思いのこもったSFアニメ【映画:HELLO WORLD】

映画「HELLO WORLD」の見どころ、感想についてネタバレ無しで書いていきます。

<ストーリー>
舞台は2027年京都。主人公である高校生の堅書直美は、実は現実世界の過去の記録(データ)の世界に存在すると、現実世界からやってきたと言う未来の自分、ナオミに言われる。ナオミは高校生の直美に、これから一行瑠璃と恋人になること、そして花火大会の夜に瑠璃が事故に会うことを告げる。ナオミは、記録の中の瑠璃だけでも助けようと、記録された未来を変えるべく直美の前に現れたがー

本作の一番の見どころは高校生の主人公、堅書直美の成長と一行瑠璃との恋愛、また直美と現実の未来からやってきたと言うナオミのコンビだと思いますが、ここでは個人的に好きなポイントを紹介していきます。

また作品内で良くも悪くも気になったことについても書いていきます。

2つの世界と2人の直美

この物語の主人公、堅書直美(高校生)が住む世界は記録されたデータ世界。そこに、10年後の現実世界からアクセスしてきたと言う大人のナオミが現れます。データ世界と現実世界の2つの世界が絡み、2人の直美(子供の直美と大人のナオミ)がバディを組み、未来の恋人となる一行瑠璃を救うべく物語は進んでいきます。

SFだからこそ味わえる、2つの世界のつながりと、その世界のキャラクターの役目。主人公である高校生直美と大人のナオミのドラマなど様々な視点で物語を眺めることができます。

アイテムを使いこなすために特訓する直美

主人公の直美が、データ世界で瑠璃を救うためのアイテムをナオミから貰います。しかし、アイテムは万能な道具ではなく、使いこなすにはトレーニングが必要なのです。

直美は山でナオミと特訓を行ったり、使いこなすための知識を得るために大量の本を読みます。

直美がいかにしてアイテムを使いこなせるようになるのか?どのような意識でアイテムを使っているのかを考えると面白いです。

随所に和を感じるデザイン

HELLO WORLDの舞台はちょっと未来の京都です。劇中では五重塔や鳥居など和の雰囲気が味わえる建築物が多数出てきます。

和の建築物にかかわらず、風景の美しい美術は観ていて心地がいいものです。

また、現実世界の未来からやってきたナオミと一緒にいるカラスは、足が三本ある八咫烏(ヤタガラス)だったり、ナオミの装束がどことなく山伏の白装束を感じさせたり、直美に立ちはだかる敵の仮面だったりと随所に和を感じさせるデザインが行われているのが素敵です。

これから現実になる、ちょっと未来の技術

直美のいる世界はちょっと未来の京都です。そのため、ドローンが当たり前に空を飛んでいたり、京都中の全てのモノやコトを記録する記録装置があったりと、細やかなSF要素が散りばめられています。

未来のナオミは特殊な方法で空間にディスプレイを投影していたり、よく見ると道路上に自動運転専用レーンがあったりしていて、手の届きそうな未来を描いてくれるSFは、テクノロジー好きにはワクワクするものがあります。

ここまで、HELLO WORLD のオススメポイントについて書いていきましたが、ちょっと気になったことも書いておきたいと思います。

作中音楽について気になったこと

劇中では挿入歌が流れるタイミングがあるのですが、これは明らかに「君の名は。」に影響を受けたものです。ただ、残念ながら、君の名は。ほどの爽快感は感じられません。

君の名は。は全編通してRADWIMPSがBGMと挿入歌を担当して、新海監督と綿密な打ち合わせを行なっているのもあり作品全体が一体となっている感じがします。(よくミュージックビデオのようだと言われているそれ)

それに対して、HELLO WORLD は複数のミュージシャンがチーム「2027sound」を組み、共同で楽曲を作成しているため全体の統一感が弱い感じがします。

ただ、統一感が弱いだけで楽曲自体はどれも素晴らしいものです。まあ、2027sound自体、実験的なプロジェクトらしいので僕はこれでいいと思うし、今後の作品に活かしていければいいなと思います。

美しい風景画と可愛いキャラ

建物や自然、空などの風景画はとても美しく仕上がっていて観ていて気持ちのいいものです。キャラクターも丁寧なキャラ設計がされており、特にヒロインである一行瑠璃は可愛らしく描かれています。未来のナオミの使っているデバイスのデザインもかっこよくてワクワクします。

キャラクターは3DCGで作られ、動いていますが、めちゃくちゃ気になるというほどの荒いものではなく、普通に観て楽しめる仕上がりになっています。

大事な場面ではキャラクターの画もしっかりキマるように描かれているので、気持ちよく観られます。

ただ一箇所、アクションシーンでちょっと気になる3D映像の場面がありましたが。(僕個人としては全体的に良く出来てるしストーリーの勢いがあったのでまあいいかと思って観れました。)

作品全体から伝わる制作者の思い

前知識なく観に行った僕個人的には、とても面白い作品でした。作り込まれたSF感に、綺麗な京都の街並み、可愛いキャラクター、キャラの奮闘と十分楽しめた作品です。5段階評価なら4.5くらいですかね笑(大したことないだろと思って観た分、振り幅が大きかったのでこんな点に)

僕はそんなにSFに詳しくないのですが、作品をしっかりと作り込んでる感。やれるだけやってる感。今最大限の挑戦・次へ繋げるための実験といった制作者の思いが伝わってきてよかったです。

公開してまだ間もないので、興味のある方は映画館へ試しに行ってみてはいかがでしょうか?

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