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イレギュラーな事態も想定し、想定外に備える。忍者の危機管理【義盛百首 忍歌98】

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「旅宿の 二階座敷に 気をつけて 簀掻(すがき)遣戸(やりど)に 用心をせよ」
忍歌 義盛百首 第九八首

【現代語訳】旅宿の二階座敷では、床下・引戸に気を配り用心をする

【解説】旅先の宿が二階部屋の場合、床下(真下の部屋)と引戸(部屋の出入口)を警戒する。下から槍で突かれたり、戸を破って敵が攻めてくることを考えて、緊急時に脱出できる心がけをする。

【超訳】イレギュラーな状況にも備える。出先では常に不足の事態が起こるもので、普段通りの方法では上手くいかないことがある。想定した状態と実際の現場の状態のすり合わせを行い、想定外でもスムーズに対処できるように用意をしておく。想定外とはいえ、ある程度は予想がつくもの。一般的にはこうだが、こういう事態もあるだろうというifを想像しておくといい。


旅の番(警戒)、特に二階部屋に関する警戒について98首では説いている。95首から旅の注意事項、旅宿の警戒についての内容になっているが、96首・97首は通常の旅宿の警戒で98首にきて、もし二階座敷だったらという限定的な話になっている。

98首で二階座敷という限定的な注意が出てくるのは、通常想定しているのが一階部屋だからだ。想定通りなら普段通りの対処ができるが、想定外のことが起きると人間は混乱して行動に迷いが生まれてしまう。この迷いというのが一番危険で、忍びの戦法は敵を脅かし冷静な判断力を奪い、心を迷わせ不安を引き出し行動力を低下させ、この隙を攻めるもの。

失敗は迷い(判断できない状態)から生まれ、迷いは想定外が引き起こす。想定外は、想定していた”前提“と現実のズレによって起こる。だからこの前提をあらかじめいくつか用意しておき、現実の事態に応じて前提を合わせて行動を取ればいい。前提は100%合う必要はない、大まかに合えばその時にそこから打開策を生み出せるだろう。


義盛百首とは…
伊勢三郎義盛に仮託し作られた忍者の心得を読んだ計百首の歌。伊勢三郎義盛は伊賀出身で、源義経の配下で忍者として活躍したとされる。義盛百首は忍歌と呼ばれることもあり、軍法侍用集や万川集海などの忍術書に登場する。


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