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Part1 九字護身法 |精神を統一し、勇気を奮う

サークル(Shinobi Design Community)初回で紹介する忍術は「九字護身法」です。わかりやすく言えば「印」「九字印」と言うやつですね。ナルトなんかでも術を発動する前に組むアレです。九字護身法は、臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前と言いながら、各言葉に対応した9種類の印を結んでいくものです。

九字護身法とは何か?

九字護身法は、元々は忍者特有のものでなく、中国の道教において道士が山に入って修行を行う前に、身の安全を祈願し、魔を遠ざけるために行っていた呪術の一つです。これが、日本に伝わった際に修験道に取り入れられ、山岳修行の前に魔を遠ざけるために行われるようになり、かつて修験者(山伏)であった忍者は戦場において護身のために使うようになりました。ちなみに、武士も戦の前に行うことがあります。

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印は密教においては宗教の理念を表し、仏の悟りの象徴としています。また、修験道においては各神仏の理念を表したもので、これらは手や指を組むことで理念・思想といったイメージを視覚化しているということです。古神道においては印契とも呼び、指を組むことでその印に対応した神霊の力をいただくものとされています。

このように印の組み方やルール、意味は流派や宗派によって様々なものがありますが、これは伝承過程で伝言ゲームの如くミスが起こったか、宗教家や術者の思想・考えが反映されたためだと私は考えます。どのやり方にせよ、根底となる意味合いは”安全を祈願し魔を払うこと”に大きな違いはなく、大事なのは護身法を行うときの心ありようだと思います。

大正期の忍術研究家である伊藤銀月は「あえて真言行者や山伏のする事を学ぶ必要がある訳でなく、いかなる呪文でも、いかなる印の結び方でも、それ自身に神秘性を有し、神秘力を蓄えた訳ではない。 ー中略ー 唱える文句は何でもかでも、ただ、それによって精神を統一すると共に、精神と合わせて身体をも統一し、こう唱えて進み入れば、必ず目的を遂げうるとの確信状態を得るべく自己を催眠しなすれば足るのである。」と、護身法は自己催眠の一種だと言っています。

印の効果

忍者の行う印のイメージは、前述した密教や古神道とは少し違い、宗教観が薄れ宇宙や自然の真理に対する単なる祈りの意味があるといわれます。「戦いの前の印によって宇宙からエネルギーをいただき、戦いが終わると極めて短い印を結び、エネルギーをお返しする」と忍術学講義には書かれており、同書で精神科医の小森照久は、「忍者は宇宙の真理と一体になって生きる精神性を持っている。」と九字護身法についてまとめています。

また、三重大学の研究で、印を結んだ時の脳波と自律神経機能の変化を調べたところ、集中力の向上とリラックスする効果があることが判明しています。この研究では、脳波は印を結んだ後にα2(リラックスして集中する脳波)が上昇し、β波(ストレス)は低下、θ波(眠気)も低下したそうです。自律神経機能では印を結んだ後の副交感神経(リラックス)は高く、交感神経(興奮や緊張)は低い状態が現れたようです。

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