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【知らないままだと】いらすとや利用規約を読み解いてみた【マズいかも?】

利用規約ウォッチャー みなしボウイです。
オンラインカジノ利用規約、海外FX利用規約、と割とコッテリ目?な利用規約を連続して取り上げてきましたので、今回はお口直しに「いらすとや利用規約」をウォッチしていきたいと思います。

いらすとや」は、イラストレーターである「みふねたかし」氏によって2012年から運営されている、無償利用イラストの提供サイトになります。かわいらしくほのぼのした絵柄のイラストは、今や自治体や教育機関のチラシ等でも利用されており、ほとんどの方がご覧になっているかと思います。

いらすとや

「いらすとや利用規約」については、これまでも解説しているサイトがいくつもありますが、私なりに重要な3つのポイントに注目して利用規約をウォッチしていければと思っています。


安心安全にサービスをご利用頂けるポイントになりますので、最後までよろしくお付き合いください。

「安心・安全」のマーク

無償利用の条件

いらすとや利用規約の冒頭において、下記の記載があります。

当サイトで配布している素材は規約の範囲内であれば、個人、法人、商用、非商用問わず無料でご利用頂けます。「よくあるご質問」に詳しく記載しておりますのでご利用の前に一度ご確認ください。

いらすとや利用規約

これは、一定の制約下において、個人・法人・商用・非商用問わず無償でイラストの利用を許諾していることになります。一定の制約下、についてはこの利用規約のほか、「よくあるご質問」に詳しく記載されています。ざっとまとめますと下記のようになります。

無償利用条件

  • 非商用目的の場合、点数に関係なく無料で利用可能。

  • 商用目的の場合、一つの作成物の中に20点までは無料で利用可能。

  • 自社で作成するプレゼンのスライドや商品のポップなど制作物がその場限りの利用で直接利益を生むものでなければ、仕事で使う場合でも非商用と考えて構わない。また、自社で作成され、社内でのみ利用され、外部へ公開されないポスターやマニュアルなどについても非商用と考えて構わない。

  • 幼稚園のバザーや学生主体の文化祭など、ごく限られた期間と場所で限られた方たちへ向けた小規模な活動については非商用と考えて構わない。

有償利用条件

  • 無償条件を超える点数での商用目的の利用。21点以降の枚数ではなく全体での合計点数で課金。

  • イラスト自体の商品化(グッズ化)。「ロイヤリティ契約を結んでいただけるのでしたら検討をさせていただきますが、お断りさせていただくことが多いです。あまり期待せずにご連絡下さい。」

禁止事項

  • 公序良俗に反する目的での利用(アダルトコンテンツを含む)

  • 素材のイメージを損なうような攻撃的・差別的・性的・過激な利用(誹謗中傷を目的としたアカウントや愚痴アカウントで利用、荒らし行為など)

  • 反社会的勢力や違法行為に関わる利用

  • 選挙運動、また特定の個人や団体を批判する目的

  • イラスト自体をコンテンツ・商品として再配布・販売すること(LINEクリエイターズスタンプ等も含む)

  • 商標登録

  • その他著作者が不適切と判断した場合

選挙カー(街宣車)と立候補者のイラスト

正直なところ大盤振る舞いだなと感じてしまいますが、細かな条件を設けることによって、ユーザー利用の手控えが起きてしまったり、運営側の審査の手間が増えたりすることを避けるための現実的な運営手段なのだと思われます。

イラストの絵柄のほのぼのさもさることながら、この利用条件の設計がここまで利用を広げたことにつながっていますので、みふねたかし氏へお考えを尋ねてみたくもあります。


みふねたかし氏の所有する著作権

みふねたかし氏は、イラストの全ての著作権を保有しています。そしてイラストの二次利用を一定の制約下で許諾する形になっています。大盤振る舞い的な利用許諾ではありますが、もちろん著作者としての権利主張を行うことも問題なく可能であり、特に利用規約に違反した利用を行っている対象者へは、是正勧告や損害賠償請求を行えます。

著作権
当サイトの素材は無料でお使い頂けますが、著作権は放棄しておりません。全ての素材の著作権は私みふねたかしが所有します。

いらすとや利用規約

また、素材のイメージを損なうような攻撃的・差別的・性的・過激な利用や、選挙運動、また特定の個人や団体を批判する目的での利用を禁止していますが、こちらは著作者人格権にも関わってくる領域になると思われます。

著作権は、著作者の財産的な利益を保護する権利であり、著作者人格権は、著作者の人格的な利益(名誉や感情など)を保護する権利。

著作権と著作者人格権の違い
好調な芸術家のイラスト(女性)

利用規約が改定される可能性

著作者・運営者の考え方次第ですが、個人的な懸念としてサイトの利用規約の体裁上、「みなし同意」の要件を満たさず、同意をしたものとみなされないリスクがあるように思われます。

民法下においては、定型約款(利用規約)に含まれる契約条項を当事者が合意したものとみなすためには、次の2つの要件のいずれかを満たす必要があるとされています。

定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたこと
定型約款準備者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたこと

「みなし同意」の要件

利用規約の同意がなかったとされた場合には、仮にユーザーが誹謗中傷など規約違反の投稿を行っていたとしても、請求が困難となるおそれがあります。

上記の点から、利用規約の改定や記載の変更が行われる可能性があるかもしれません(あくまで個人の見解です)。

ビジネスのイラスト「握手・契約成立」

いらすとやさんのイラストは、私も時折使っています。
今回のウォッチの際、以下のサイトを見つけました。すごいです、皆さんもご覧になってみてください。

今回は、このあたりで終わります。ありがとうございました。


なお本投稿における、発表内容は発表者個人の見解に基づくものであり、本投稿にて取り上げられている組織及びサービスの公式見解ではありません。

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