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レコードとフィルム

ドライウェルって知ってますか

 フィルムを自分で現像している人しか知らないと思うが、「ドライウェル」という薬品がある。現像が終わってフィルムを水洗いした後、そのまま干すと水滴の跡が残ってしまう。それを防ぐという、地味ながらも重要な役割をしているので無くなると結構困るのだが、幸いなことに今のところ製造が続いている。単価が安い上に大量に使うものでもないので、いつ製造中止になってもおかしくないと思うが、富士フイルムの良心に感謝である。

 ところでこのドライウェル、調べてみると意外なところで使われているようだ。それはレコードの洗浄。汚れを落とし、静電気を防止する事でプチプチというノイズを軽減できるらしい。フィルムで写真を撮る自分にとって、レコードを聴く人というのは何となく勝手に親近感を持ってしまう。フィルムがデジタルに駆逐されるはるか前に、レコードもCDにやられたのだ。レコードの方が音質がいいんだと頑張っている人もいたなぁ。そう、フィルムの方が諧調がいいんだ。でも、バライタで全紙に焼いて見せるなんていう贅沢な環境はなかなか無いので、結局デジタルにしてから見せる事になる。そうなるとデジタルでHDRとか持ち出されると分が悪い。レコードの人も静かなお宅にいいスピーカーを置いて聴くなんてなかなかできないと思うので、僕らと同じような境遇に違いない

KONICA C35EF HEXANON38mmF2.8

高画質過ぎる写真でもうおなかいっぱい

 最近の若いアーチストがアルバムをレコードで出すなんていう話も耳にする。高音質な音楽がスマホから出てくるなんて当たり前過ぎて、もっと違うものが聴きたくというのはわかる気がする。若者にフィルムが流行っているのもそういう事なんだろう。だからフィルムをスキャンしても、ついつい収差を入れたり、粒子を加えたりしてフィルムっぽくしてしまう。なら、デジカメで撮って同じことをした方が楽なのではないかと思う。でもそれじゃ嫌なんだな。この感覚誰かうまく説明できないかな。

 ところで、初めて買ったレコードを覚えているだろうか。僕らの世代は微妙な世代で、初めて買ったのはレコードでもCDでもなく、ミュージックテープ(笑)だった。その後徐々にCDが普及し始めた頃、友達から南野陽子さんのレコードを買った。あいつはCDを買ったのだろうな。歌はまぁ評判の通りであるが、結構力の入った曲が多いし、ジャケットもかわいかったなぁ。CDじゃつまらないと思うけどなぁ。

壊れかけのレディオ

 僕の部屋には父親が青春時代に使っていたラジオが置いてある。後ろを見ると10石とか書いてある。スマホで言うとクアッドコアとかオクタコアとかを誇るような感覚なのだろうか。昔は「インバーター搭載」とか「ツインカム24バルブ」とか「トラネキサム酸処方」とか少し専門用語を入れて迫られると「なんか性能良さそう」という気がしたな。思春期に少年からオトナに変わり中年となった今も、その「石」が効いているのか、なかなかいい音を出し続けている。
 AMの電波はそのうち停波してしまうのだろうが、このラジオはFMが入るし、アナログなのでワイドFMの電波も聴けるようだ。もっとも最近はライン入力からラジコやスポティファイを流すことが多い。圧縮音源もこのラジオから鳴らすと暖かい音で聴こえるのが不思議だ。

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